The社史
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総合商社
4総合商社は、明治期の貿易商社を起源とし、戦後の財閥解体と再編を経て現在の形に至った日本固有の業態である。三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の5社が「五大商社」と呼ばれ、売上高はいずれも数兆円規模に達する。創業期はトレーディング(貿易仲介)が主力であったが、1980年代以降は事業投資へと軸足を移し、資源・エネルギー、食料、インフラ、金融など多岐にわたる分野で事業会社を保有・運営する「総合事業会社」へと変貌した。2020年にウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが五大商社の株式を取得したことで国際的な注目度が高まり、株価は歴史的な水準に上昇した。各社の競争優位はネットワーク、人材、リスク管理能力にあるが、資源価格の変動リスクや非資源分野の収益化が共通の経営課題である。
1858年
創業
伊藤忠商事
収益
139,456億円
2023/03
当期純利益
8,446億円
2023/03
1858年に初代伊藤忠兵衛が麻布の持ち下り商いで個人創業。繊維商社として発展し、1949年に株式会社として再出発した。1960年代まで繊維主軸だったが、1977年の安宅産業救済合併で鉄鋼・機械の商権を獲得し総合商社化を加速。2000年に不良資産の一括処理で3950億円の特損を計上した。2010年以降は岡藤正広のもとで非資源分野に重点投資し、CITIC提携やファミリーマート出資などで収益基盤を多角化した。
1945年
創業
住友商事
収益
68,178億円
2023/03
当期利益
5,651億円
2023/03
1945年に日本建設産業として発足し、住友グループの商社機能を担う。鉄鋼取引の拡大で金ヘン商社の異名をとり、1960年代に商品本部制を導入して総合商社化を推進した。1970年代には北米自動車販売やサウジ向け鋼管投資に着手する一方、情報サービスやリース事業にも参入。1996年に銅地金の不正取引が発覚し巨額損失を計上。2000年代以降は資源権益の取得を進めたが、ニッケルやタイトオイルの投資損失で2015年に最終赤字に転落した。
1918年
創業
三菱商事
収益
215,719億円
2023/03
当期純利益
11,806億円
2023/03
1918年に三菱合資会社の営業部門を分離して設立。戦後の再編を経て1954年に再発足し、1968年にブルネイLNG開発への参画を皮切りに事業投資を本格化した。資源分野では豪州原料炭やチリ銅山に大型投資を展開し、非資源ではローソンとの提携やセルマック買収など消費財・食品を強化。2016年にチリ銅山関連の減損で最終赤字に転落したが、事業ポートフォリオの入れ替えと財務改善を進め総合商社の首位を維持している。
1909年
創業
安宅産業
売上高
14,901億円
1977/03
経常利益
-311億円
1977/03
1909年に安宅商会として大阪で創業し、繊維・鉄鋼を柱に総合商社へ成長。官営八幡製鐵所との取引開始を足がかりに鉄鋼商権を拡大し、1956年に株式上場を果たした。安宅英一会長のもと積極拡大路線を推進したが、1973年にカナダの石油精製会社NRCとの総代理店契約を機に投機的取引が拡大。海外子会社の業績悪化が表面化し、1977年に経営破綻。伊藤忠商事による救済合併で消滅した総合商社の代表的な破綻事例となった。