{
  "title": "直近の動向と展望",
  "subsections": [
    {
      "title": "円安で揺らいだ円高前提のSPAと島忠買収で見えた異業態統合の難しさ",
      "text": "1967年12月に創業者の似鳥昭雄氏が札幌で「似鳥家具店」を開業し、1972年の渡米視察で米国の家具価格が日本の3分の1である現実を見て「日本の暮らしを米国並みに豊かに」を据えた同社は、1978年の札幌ドミナント、1989年の札証上場、1993年の本州進出を経て、1994年のインドネシア法人と2004年のベトナム完全子会社工場・中国平湖物流拠点で海外SPA型サプライチェーンを完成させた。2010年の持株会社化と2016年の白井俊之氏の社長就任を挟んで36期連続増収増益・時価総額2兆円超を実現したこの仕組みは、2022〜2024年の1ドル115円台から150円台へのドル高円安で円安方向に逆回転し、2024年3月期に減収減益となって連続増収増益の記録は途絶えた。\n\n2024年2月、似鳥昭雄氏は社長兼務として復帰し、創業者自身が日々の意思決定に再び戻った。円高下で広がっていたコスト優位は円安では縮み、利益率を押し下げる側に作用するため、対応は二段構えになる。短期では為替予約による損益のならしと販売価格の見直しで足元のマージンを守り、中長期では国内調達比率の引き上げや調達通貨の分散でSPAモデルの前提条件を組み替える。決算期を2月期から3月期へ変更してもなお減収減益を避けられなかった事実は、円安が一時要因ではなく収益構造そのものに及んでいることを示し、米国並み価格を守る手段の選び直しに戻ったことを意味する。\n\n2021年1月、ニトリはDCMとの経営統合交渉を覆す形で島忠へのTOBを成立させ、首都圏中心の店舗網を取り込んで家具以外の業態へ店舗網を広げようとした。買収後はニトリ商品の導入によるブランド転換を進めたが、家具専門店とホームセンターでは顧客層・単価・回転率・来店頻度が異なり、商品の入れ替えはニトリ側が見込んだ集客効果を出さず、ニトリ商品を入れたぶん島忠固有のDIY・園芸の品揃えは薄まった。島忠関連で減損94億円を計上し、買収前の2016年8月期営業収益1559億円から買収後の2024年3月期売上高1105億円へ縮小した数字は、自社企画品を同質店舗で売るSPAの強みが異業態の店舗網には移植しにくいことを示した。\n\nつまり、ニトリの36期連続増収増益は円高とアジア低賃金という外部条件に支えられた円高前提SPAの利益であり、島忠買収はそのSPAを家具以外の業態に拡張する試みだった。為替反転で本体の利益率前提が外れ、異業態統合で店舗網拡張の前提も外れたことで、垂直統合の強みが商品と店舗の同質性および為替の追い風という二つの条件に依存していた事実が数字に現れた。創業者の似鳥氏が現役で社長兼務に戻ったいま、ニトリは半世紀かけて組み立てた海外生産基盤を温存したまま為替中立な収益構造へ移し替える作業と、同質店舗網の外側に成長余地を見出す作業の両方に取り組み、創業以来の「米国並み価格」という理念をどの手段で守り続けるかという経営の選び直しに戻っている。",
      "references": [
        {
          "title": "有価証券報告書",
          "year": null,
          "month": null,
          "date": null,
          "url": null,
          "quotes": []
        },
        {
          "title": "東洋経済オンライン",
          "year": 2024,
          "month": 1,
          "date": 22,
          "url": null,
          "quotes": []
        }
      ],
      "charts": [
        {
          "path": "9843-simachu",
          "chart_type": "table",
          "paragraph": 3,
          "caption": "買収前の2016/8期営業収益1559億円・経常利益127億円から、買収後の2024/3期は売上高1105億円・セグメント利益21億円へ縮小した。\nブランド転換後の既存顧客離反と異業態統合の摩擦が業績面に表れた。"
        }
      ]
    }
  ],
  "summary": [
    {
      "label": "歴史的背景",
      "body": "1967年12月に創業者の似鳥昭雄氏が札幌で「似鳥家具店」を開業し、1972年の渡米視察で米国の家具価格が日本の3分の1である現実を見て「日本の暮らしを米国並みに豊かに」を据えた。1994年のインドネシア進出と2004年のベトナム完全子会社工場・中国平湖物流拠点でSPA型サプライチェーンを完成させた。"
    },
    {
      "label": "経営課題",
      "body": "2022年から2024年にかけて1ドル115円台から150円台へのドル高円安が利益率を直撃し、海外調達比率が高いほど円安局面で利益率が下がることが2024年3月期の数字に表れた。同期に36期連続増収増益記録は途絶え、円高前提で組み立てたSPAモデルを為替反転下でどう組み替えるかが残された宿題となった。"
    },
    {
      "label": "経営方針",
      "body": "2024年2月に似鳥昭雄氏が社長兼務に復帰し、「危機感が変革を生む」（東洋経済オンライン 2024/01/22）の認識のもと日々の意思決定に再び戻った。短期では為替予約による損益のならしと国内調達比率の引き上げを進め、中長期では海外生産基盤に依拠したSPAモデル自体の前提条件を組み替える着手が必要になった。"
    },
    {
      "label": "主な投資",
      "body": "2021年1月、ホームセンター島忠へのTOBを実施しDCMとの経営統合交渉を覆す形で買収を成立させたが、ニトリ商品を入れたぶんDIY・園芸の品揃えが薄まり集客効果は出ず、減損94億円を計上した。買収前の2016年8月期営業収益1559億円から、買収後の2024年3月期売上高1105億円へ縮小し、家具とホームセンターでは単価・回転率・来店頻度が異なるという事実が業績に現れた。"
    }
  ]
}
