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  "title": "電力小売全面自由化に合わせた家庭向け低圧電力販売への参入とガス・電気のセット販売",
  "subtitle": "開かれる市場を取りに行くのか、開かれる自陣を守るのか——ガス最大手が電気を売り始めた理由",
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  "issue": "全面自由化下の顧客基盤の防衛と収益源の組み替え",
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      "text": "2016年4月の電力小売全面自由化に合わせ、東京ガスが家庭や小規模事業所向けの低圧電力販売へ参入し、都市ガスとのセット販売で顧客を囲い込んだ判断。2015年12月24日に大手電力に先んじて総合エネルギーサービスプラン「ずっともプラン」を発表し、顧客の反応を受けて2016年2月1日には料金の値下げに踏み切った。"
    },
    {
      "label": "背景",
      "text": "2014年6月11日に改正電気事業法が成立し、契約数約8,400万件・規模約7.5兆円の低圧市場が2016年に開放されることが決まった。同時に2017年4月には都市ガスの小売も全面自由化され、LNG調達で国内首位の東京電力エナジーパートナーが首都圏のガス市場へ入ってくることが確定していた。"
    },
    {
      "label": "内容",
      "text": "「ずっともプラン」は電気を多く使う世帯向けの3メニューと「ガス・電気セット割」で構成した。自社電源は130万キロワットから扇島の新設で160万キロワットへ広がり、300万キロワット規模までの見通しが立っていた。販売目標は5年後に東京電力管内の首都圏需要の1割とし、獲得の主力にはガス器具の販売・保安を担う東京ガスライフバルを据えた。"
    },
    {
      "label": "含意",
      "text": "参入初年度の2017年3月期は電力セグメントの営業利益が前期の93億円から45億円へ縮み、連結営業利益も584億円へ落ちた。その後、電気の供給先は2019年1月時点で165万件を超え、電力セグメントの売上高は2022年3月期に4,651億円へ伸びた一方、都市ガスでは65万件超が他社へ流れた。"
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      "name": "東京ガス",
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        "note": "首都圏で約1,100万件の都市ガス顧客を持つガス最大手。発電と電力卸には参入済みで、合弁のエネットは新電力最大手であった"
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    "summary": "電力小売の全面自由化（2016年4月）と都市ガス小売の全面自由化（2017年4月）が相次いで施行され、首都圏のガス市場に大手電力が参入することが決まった制度変更を受け、電力販売への参入とセット販売によって既存のガス顧客をつなぎ止める形へ収益構造を組み替えた判断"
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      "title": "発電が自由化され、大手電力へ卸売りする独立系発電事業者の参入が可能になる"
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      "title": "大規模需要家向けの電力小売が自由化され、新電力（特定規模電気事業者）が誕生"
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      "title": "電力小売の全面自由化を柱とする改正電気事業法が成立"
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      "title": "総合エネルギーサービスプラン「ずっともプラン」を発表、大手電力に先んじて料金メニューを提示"
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      "title": "川崎・扇島で天然ガス火力発電所が稼働し自社電源が160万キロワットへ、あわせて電気料金の値下げを発表"
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      "title": "低圧電力の供給を開始し、家庭向け電力販売へ参入",
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      "title": "都市ガスの小売が全面自由化され、東京電力エナジーパートナーなどが首都圏のガス市場へ参入"
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              "text": "2014年6月11日、電力小売の全面自由化を柱とする改正電気事業法が成立した。2016年をめどに一般家庭や小規模の商店・事業所向けの市場が開放され、戦後60年以上続いた大手電力による販売の独占体制が終わることが決まった。新たに開かれるのは契約数で約8,400万件、規模で約7.5兆円の市場で、販売電力量では全体の4割ながら、大手電力が利益の9割を稼いできた領域であった。"
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            {
              "text": "東京ガスはこの時点ですでに発電と電力卸に参入しており、NTTファシリティーズ・大阪ガスと組む合弁のエネットは、販売量で新電力全体の40.5％を占める最大手であった。膨大な顧客基盤に加え、各家庭を回る営業拠点と検針・回収の仕組みを持つ点も有利とされ、自由化の2年前に同社は「新電力本命」と目されていた。広瀬道明社長は「1年以内にスキームを考える」と述べていた。"
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              "text": "もっとも、開放されるのは電力の市場だけではなかった。2017年4月には都市ガスの小売も全面自由化され、首都圏では東京電力エナジーパートナーが東京ガスの供給区域へ入ってくることが決まっていた。LNG調達で国内首位の東電を相手に、広瀬社長は都市ガスを供給する約1,100万世帯のうち「2〜3割は他社に奪われる可能性がある」と述べ、切り崩される側に回る前提を隠さなかった。"
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            {
              "text": "先に自由化した英国には手本があった。ガス最大手のセントリカは電力でもシェア25％の最大手へ伸び、ガスと電気のセット販売による値引きに加え、リフォームや屋内機器の修理といったサービスの幅が決め手になっていた。電気そのものの利幅より、家庭との契約を抱え続けることに意味がある——ガス会社が電力へ出ていく根拠は、この先例に支えられていた。"
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      ]
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    {
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              "text": "2015年12月24日、東京ガスは総合エネルギーサービスプラン「ずっともプラン」を発表した。電気を多く使う顧客に向けて料金メニューを3種類そろえ、ガスと電気をあわせて契約すると割り引く「ガス・電気セット割」を付帯させた。申し込みの受け付けは2016年1月4日午前9時から、低圧電力の販売開始は同年4月からとした。最大手の東京電力より2週間早い提示であった。"
            },
            {
              "text": "社内には他社の出方を見てからにすべきだという声もあった。広瀬社長は「私たちはチャレンジャーであり、加えてガス会社は新規参入組の中でも特に期待されている立場」だとして先行を選んでいる。ところが発表後の反応は鈍く、「この価格では迫力不足だ」という指摘が顧客と営業現場の双方から届いた。同社は1月中旬に料金の見直しへ着手し、2月1日に値下げを発表した。"
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              "text": "値下げを支える電源の手当ては、すでに進んでいた。従来からの自社電源130万キロワットに加え、2016年2月初めには川崎・扇島で天然ガス火力発電所を新たに稼働させて160万キロワットへ広げ、神戸製鋼所の神鋼真岡発電所からの供給などによって300万キロワット規模まで伸ばす見通しが立っていた。広瀬社長は「むしろ電源が余らないように契約を獲得できるかが課題」と語っている。"
            },
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              "text": "販売の目標は、5年後に東京電力管内の首都圏需要の1割と置いた。管内には約2,000万世帯が暮らしており、高い目標であることは広瀬社長自身が認めている。値下げ後も業界最安値とは言いがたい水準にとどまったが、同社が頼りとしたのは長年培った付加価値と、切り替えを初めて経験する顧客が抱く安心感であった。競争の焦点は価格の一点ではなく、顧客との接点の側に置かれていた。"
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      ]
    },
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      "label": "結果",
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              "text": "2016年4月、東京ガスは低圧電力の供給を始めた。ところが参入初年度の数字は伸びなかった。電力セグメントの売上高は2017年3月期に1,457億円と前期の1,245億円から増えた一方、営業利益は93億円から45億円へ半減している。連結の営業利益も584億円と、前期の1,920億円から大きく落ち込んだ。家庭向けへ間口を広げた最初の1年は、代償の側が先に表に出た。"
            },
            {
              "text": "翌2018年3月期には連結営業利益が1,163億円へ戻り、電力セグメントの売上高も2,176億円、営業利益は96億円と参入前の水準を超えた。2018年4月に社長へ就いた内田高史氏は、電気の新規申し込みが3月末時点で125万件に達し、その約7割をガス器具の販売・修理や定期保安点検を担う「東京ガスライフバル」が一件ずつ訪問して獲得したと説明している。"
            }
          ]
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        {
          "sub_title": "守るために売る、という説明",
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            {
              "text": "内田社長は2020年度までに220万件、自社の顧客件数の2割にあたる電力契約の獲得を掲げ、その狙いを「電気で新たな契約を獲得することが、既存のガス契約を守ることにもつながる」と説明した。一方、2017年4月に始まった都市ガスの自由化では、旧供給区域へ入った東京電力エナジーパートナーや日本瓦斯が初年度の目標を大きく上回り、それは同社にとって需要の「脱落」を意味していた。"
            },
            {
              "text": "2019年1月時点で電気の供給先は165万件を超え、申し込みベースでは180万件を上回った。内田社長はこれを「参入当初の予想をはるかに上回る成果」と述べる一方、都市ガスでは65万件超が他社へ切り替わったことも「想定を超える数字」だと認めている。電力セグメントの売上高はその後も伸びて2022年3月期に4,651億円へ達し、翌期からはガスと同じ「エネルギー・ソリューション」の区分に束ねられた。"
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              "text": "広瀬道明社長は参入の2カ月前、都市ガスを供給する約1,100万世帯のうち「2〜3割は他社に奪われる可能性がある」と語っていた。新規事業として語られた電力小売への参入は、その裏返しとして、ガスの顧客を手放さないための先手でもあったとみられる。2年後に内田高史社長が「電気で新たな契約を獲得することが、既存のガス契約を守ることにもつながる」と述べたとおり、電気は売り物であると同時に、契約をつなぎ止める道具として置かれていた。"
            },
            {
              "text": "ただ、その代償は初年度の数字にはっきり出ている。家庭向けへ広げた2017年3月期、電力セグメントの営業利益は前期の93億円から45億円へ縮み、連結営業利益も584億円まで落ちた。獲得件数が予想を上回った一方で、都市ガスからは65万件超が離れ、大口分野では赤字での契約獲得になりかねないと内田社長自身が認めている。規制のもとで安定していた収益を、価格とサービスで毎年取り直す収益へ入れ替えた——電力参入の意味は、件数の多寡よりもこの入れ替えにあったといえる。"
            }
          ]
        }
      ]
    }
  ],
  "references": [
    "週刊東洋経済 2014年6月20日号「核心リポート02 電力小売り全面自由化 新電力本命は東京ガス」",
    "週刊東洋経済 2016年1月15日号「核心リポート02 全面自由化の電気料金 “お得”に潜むリスクも」",
    "週刊東洋経済 2016年2月12日号「【第2特集 電力自由化！】 PART1 8兆円争奪戦 異業種入り乱れた競争が始まった！」",
    "週刊東洋経済 2016年2月12日号「【第2特集 電力自由化！】 PART1 8兆円争奪戦 INTERVIEW 東京ガス社長 広瀬道明 料金を大幅に下げ戦う道具はそろった」",
    "週刊東洋経済 2018年4月14日号「トップに直撃 東京ガス 社長 内田高史 Q.電力・ガス自由化時代をどう戦っていきますか？」",
    "週刊東洋経済 2019年3月2日号「トップに直撃 東京ガス 社長 内田高史 Q.電力・ガスの自由化 顧客獲得競争の勝算は」",
    "東京ガス プレスリリース 2015年12月24日「東京ガスグループの総合エネルギーサービスプラン『ずっともプラン』について」",
    "東京ガス 有価証券報告書（2016年3月期・連結）",
    "東京ガス 有価証券報告書（2017年3月期・連結）",
    "東京ガス 有価証券報告書（2018年3月期・連結）",
    "東京ガス 有価証券報告書（2023年3月期・連結）",
    "東京ガス 有価証券報告書（2017年3月期・連結）【セグメント情報】",
    "東京ガス 有価証券報告書（2023年3月期・連結）【セグメント情報】"
  ],
  "authored": "2026-08",
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