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  "title": "直近の動向と展望",
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      "title": "首都圏ガス独占者からエネルギー商社へ定義を変えられるか（筆者所感）",
      "text": "東京ガスの140年を貫いたのは、ガスの原料と供給構造を時代ごとに丸ごと作り替えるという経営の型だった。1885年の官営瓦斯局払い下げによる石炭ガスでの創業から、1962年の3,600kcalから5,000kcalへの石炭ガスから石油系ガスへの転換、1969年のアラスカからの日本初LNG輸入、1988年に完遂した天然ガス転換まで、原料を石炭から石油系、さらに天然ガスへ切り替えるたびに、製造設備の改修と顧客のガス機器の対応を同時に進める重い事業を引き受けてきた。1972年からの天然ガス転換事業では、地区ごとに新旧のガスが混在しないよう切り替え日を設定し、作業員が各家庭を訪問して400万世帯のガス機器を一台ずつ調整する作業を、16年がかりで完了させた。\n\nこの原料転換の歴史を裏返すと、東京ガスが引き受けてきたのは、首都圏のガス需要を独占的に支える代償としての巨額のLNG基地・パイプライン投資だった。1966年の根岸、1973年の袖ケ浦、1998年の扇島、2016年の日立と、東京湾岸を中心にLNG基地を積み増し、1976年の天然ガス環状幹線と海底幹線で基地間を結ぶ冗長な供給網を整えた。1983年のマレーシア、1989年のオーストラリア、1994年のインドネシア、1998年のカタールと、LNG調達先を分散して20〜25年の長期契約のポートフォリオを組んだ判断は、特定国依存を避ける安全保障の発想に立つ。だがこの安定供給の体制は、原料費調整制度のもとでLNG価格が上がれば売上は増えるが利益率は圧縮される構造でもあり、2006年3月期から2015年3月期に売上が倍近く拡大しても営業利益が比例しない収益構造の限界が浮かび上がった。\n\nこの限界を乗り越える試みが、自由化下の事業構造の組み替えと北米上流への踏み込みである。2016年の電力小売自由化で家庭向け電力市場へ参入し、電力セグメントの営業利益は2017年3月期の45億円から2023年3月期に511億円へ10倍以上に伸び、ガスに次ぐ第2の収益柱に育った。2022年4月の東京ガスネットワーク分社化と、2023年12月の米ロッククリフ・エナジーの約27億ドルでの取得は、北米シェールの上流権益に踏み込む踏み切り点であり、笹山晋一社長は「これからは『量』に依存しないビジネスモデルを展開していく必要がある」と述べた。ただしロッククリフ買収後の海外ROAは2%弱で、2023年3月期4,088億円から2025年3月期1,136億円までの経常利益の振れ幅は、市況に収益が左右される構造を示している。首都圏ガス独占供給者からエネルギー商社への定義変更が成立するかが問われている。",
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