{
  "title": "直近の動向と展望",
  "subsections": [
    {
      "title": "東海道新幹線の収益でリニアを支え切れるか（筆者所感）",
      "text": "JR東海の姿は、戦前の弾丸列車構想と1955年に国鉄総裁に就任した十河信二の判断に既に書き込まれていた。十河は東海道線の輸送限界を「狭軌では速力はでないし、輸送力が少ないし、安全度が低くて危ない」（汎交通 1958/09）と説き、国鉄全線の100分の3にすぎない東海道線が全国の旅客貨物輸送量4分の1を担う実態を新線建設の前提に据えた。建設費が当初予算1,972億円から3,800億円に膨張して十河は退任を強いられ、1964年10月1日の開業セレモニーには招かれなかった。1987年の分割民営化でJR東海が引き継いだのは、十河が政治と財政の妥協点を探りながら作り上げた東海道新幹線という単一の収益源と、その路線価格を上回る5.1兆円の国鉄債務であった。\n\n東海道新幹線の高収益が、過大債務の返済と次の投資判断を同時に支えた。1991年10月の保有機構からの譲り受けで施設を自社保有に移し、1992年3月の300系「のぞみ」、1999年の700系、2007年のN700系、2020年のN700Sと車両を順に更新、2003年10月の品川駅開業で始発駅2駅体制を整え、2015年3月に最高速度285km/hへ引き上げ、2020年3月に1時間12本「のぞみ」ダイヤへ移行した。2008年の日本車輌製造の連結子会社化は車両の設計から製造までを内製化する選択であり、2019年3月期の運輸業セグメント利益6,648億円が連結利益の約94%を占めるという単一路線依存の極端なポートフォリオを支えた。多角化は名古屋駅周辺の不動産・ホテル事業として新幹線需要に同心円的に集積する形に限定された。\n\nリニア中央新幹線の全額自己負担という決断は、東海道新幹線という前世代の路線を作った国家計画の論理を、自社の資本で再演する選択である。2014年10月の着工時に5兆円規模とされた品川〜名古屋間の総工費は11兆円へ倍増し、静岡工区の遅延で2027年開業の断念を2024年に表明した。2016年11月の財政投融資を活用した3兆円規模の長期借入で有利子負債は2018年3月期に4兆3,551億円まで膨らみ、完全民営化以前の水準に戻った。コロナ禍の2021年3月期に純損失2,015億円を計上した後、2025年3月期に純利益4,584億円で過去最高益を更新した東海道新幹線の収益力が、リニア建設を支え続けられるか。鉄道事業の利益で次世代鉄道を建設するという独自モデルが成立するかは、静岡工区のトンネル1本に左右される構造命題として残されている。",
      "references": [
        {
          "title": "有価証券報告書",
          "year": null,
          "month": null,
          "date": null,
          "url": null,
          "quotes": []
        },
        {
          "title": "決算説明会 FY23",
          "year": null,
          "month": null,
          "date": null,
          "url": null,
          "quotes": []
        },
        {
          "title": "日経ビジネス",
          "year": 2023,
          "month": 12,
          "date": 22,
          "url": null,
          "quotes": []
        }
      ]
    }
  ]
}
