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      "title": "外交営業の否定と広告・電話営業への転換、株式保護預り手数料の無料化",
      "subtitle": "対面で売るか、広告で集めて薦めないか——業界横並びの手数料慣行に最初に手をつけた6年間",
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        "note": "・1995年6月から社長"
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      "highlights": [
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          "label": "概要",
          "text": "1990年代前半、松井証券が対面の外交営業を捨てて新聞広告と電話による集客へ移り、1996年には業界がほぼ横並びで年3000円を徴収していた有価証券の保護預り手数料を事実上無料にした判断。日本証券業協会の拒否を、3年間100円という値づけでかわした。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "1986年ごろの給与体系変更で歩合給を圧縮した結果、エース級の営業幹部5人が退社し、重要な顧客も離れて営業部隊が壊滅した。広告営業は理念ではなく、その穴を埋める苦肉の策として始まった。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "株を薦めない営業へ切り替え、信用取引の委託保証金を大手の最低1000万円に対し200万円、保護預り手数料を年3000円から1000円へ下げた。1996年1月の協会への打診が拒まれると、2月から3年間100円とし、3月下旬に条件つきで容認された。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "業界横並びの手数料慣行を最初に破った。ただし当時の松井道夫氏は、付加価値の低い戦略が自由化後には体力のある大手に淘汰されるとも語っており、優位は制度が変わる遅さにも支えられていた。"
        }
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      "parties": [
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          "name": "松井証券",
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            "note": "東証正会員の地場証券。信用取引に強みを持つ中小証券で、営業収益21億円・従業員128人（1995年3月期）"
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        }
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      "dates": {
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          "title": "松井道夫氏が社長に就任"
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          "title": "日本証券業協会へ保護預り手数料の無料化を打診し、拒否される"
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          "title": "保護預り手数料を3年間100円へ引き下げ、事実上の無料化",
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          "title": "協会が条件つきで保護預り手数料ゼロを容認"
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          "title": "店頭銘柄の株式・転換社債の委託手数料を半額へ"
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      "snapshot": {
        "fiscal_year": "1995年3月期",
        "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」（会社概要・単体）",
        "companies": [
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            "name": "松井証券",
            "fiscal_year": "1995年3月期（単体）",
            "president": "松井正俊",
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              "sub_title": "兜町の弱小と、海運から来た娘婿",
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                {
                  "text": "松井証券の屋号は、六を丸で囲んだ「マルロク」である。6人の相場師が1918年に米の仲買商「松井房吉商店」を起こしたことに由来する。証券会社としての設立は1931年3月にさかのぼる。老舗ではあっても規模は小さかった。松井道夫氏が入社した1987年当時、東京証券取引所に会員権を持つ正会員は100社を超えていたが、そのなかで松井証券の株式委託件数は下から2番目にとどまった。信用取引に強いという色はあった。それでも兜町では、弱小の地場証券に数えられた。",
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                    {
                      "fact": "屋号「マルロク」は1918年創業の米仲買商「松井房吉商店」に由来し、1987年当時の株委託件数は東証正会員100社超で下から2番目だった",
                      "原文": "松井の屋号は六を丸で囲んだ「マルロク」。そもそも六人の相場師が、米の仲買商「松井房吉商店」（18年創業）を起こしたことに由来する。（中略）当時の松井の株委託件数は、東証に会員権を持つ一〇〇社超の正会員証券で、下から数えて二番目だった。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「1部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                      "fact": "松井証券の設立は1931年3月、資本金6億1000万円",
                      "原文": "設立　1931年3月／資本金　6億1000万円",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                },
                {
                  "text": "松井氏が業界の常識を疑ったのは、前職での経験による。1976年に一橋大学経済学部を卒業して日本郵船へ入り、11年を海運で過ごした。当時の運賃は、荷主と船会社が集う運賃同盟の場で決まった。航路でコンソーシアムを組めば運ぶ船まで同じになり、差別化の材料がなかった。ところが同盟が崩れて価格競争が始まると、荷主の要求は運賃の引き下げに変わり、格安の盟外船会社へ移る顧客が後を絶たなかった。「顧客は納得できるコストにしか金を払わない」（週刊東洋経済 2020/6/13）。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "日本郵船時代に運賃同盟の崩壊を経験し、顧客が価格で乗り換える現実を目の当たりにした",
                      "原文": "ところが、同盟が崩壊して価格競争が始まった。荷主の要求は「運賃を安くしろ」に変わり、格安の新興盟外船会社に乗り換える顧客が後を絶たなかった。このとき「顧客は納得できるコストにしか金を払わない」という現実を目の当たりにした。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券社長 松井道夫 社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」",
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              "sub_title": "証券界への転身と、営業部隊の壊滅",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "1986年、33歳で証券界に移った松井氏は、まず商売の構造に驚いた。株の売買を取り次いでいるだけで、一機関投資家から1か月に1億円の株式委託手数料が入ってくる。「こんなにぼろい商売があるのか」（日経ビジネス 1996/8/5）。同時に恐怖も覚えた。行政の庇護のもとで利益が上がる閉ざされた世界は、いつか自由化の洗礼を受ける。日本郵船を離れた松井氏は日興証券で1年の研修を受け、1987年に松井証券へ入社した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1986年に33歳で証券界へ移った際、一機関投資家から月1億円の委託手数料が入る構造に衝撃を受け、同時に自由化への恐怖を感じた",
                      "原文": "86年、33歳で日本郵船から証券界に移った時の衝撃が忘れられない。株の売買を取り次いでいるだけで、1機関投資家から1カ月に1億円の株式委託手数料が入ってくる。「こんなにぼろい商売があるのか。客のリスクで儲けられる。同じ日本で世界が違いすぎる」だが、同時に底知れぬ恐怖も感じた。「閉ざされた世界で、行政の庇護によって利益を上げる世界は、いつか自由化の洗礼を受ける。こんな客を無視した商売が長く続くはずがない」",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                    {
                      "fact": "日本郵船を退社後、日興証券で1年間の研修を受け、1987年に松井証券へ入社した",
                      "原文": "76年，一橋大学経済学部卒業後に日本郵船入社。（中略）日本郵船を退社し，日興証券で1年間の研修を受ける。87年，松井証券に入社。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                {
                  "text": "同じころ、松井証券の営業部隊は内側から崩れた。人件費を圧縮するために給与体系を変え、営業マンの歩合給を大幅に削ったところ、反発したベテランが会社を去った。営業部長・次長・課長といったエース級の5人が退社し、これにともなって重要な顧客も離れた。従来の営業部隊が壊滅的な状態に陥ったなかで、苦肉の策として新聞広告による集客を始めた。「広告営業に転換したのは、前向きな理由からではなかった」（日経ビジネス 1995/6/12）。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "人件費圧縮のための給与体系変更で歩合給を圧縮した結果、エース級5人が退社し顧客も去り、苦肉の策として広告営業を始めた",
                      "原文": "広告営業に転換したのは、前向きな理由からではなかった。9年前に人件費圧縮のために給与体系を変更し、営業マンの歩合給を大幅に圧縮した。これに反発したのが、ベテラン営業マンたちだった。営業部長、次長、課長などエース級の5人が退社し、それにともなって重要な顧客も去っていった。従来の営業部隊が壊滅的な状態に陥ったなかで、苦肉の策として始めたことが、広告営業だった。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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        {
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          "label": "決断",
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              "sub_title": "株を薦めない、という営業",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "松井氏は1990年に常務取締役営業本部長となり、経営の実権を握った。翌1991年、証券会社の常識を覆す方針を掲げた。株を薦めない、という営業である。営業マンが客を訪ねて株を薦める行為は、コストがかかるうえにリスクも大きい。当時の損失補填問題も、営業マンが薦めた株の値下がりに端を発した。対面が必要というのは供給者側の思い込みにすぎない。のちに松井氏は、この判断をそう説明した（週刊東洋経済 2020/6/13）。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1991年に「株を薦めない」戦略を打ち出し、新聞広告の活用へ切り替えた。訪問営業はコストとリスクが大きく、損失補填問題も勧誘した株の値下がりが原因だった",
                      "原文": "「株を薦めない」――。証券会社の常識を覆すような、大胆な戦略を打ち出したのは91年のことだった。松井が考えたのは、新聞広告の活用だ。営業マンが客を訪ねて株を薦めることは、コストがかかるだけでなく、リスクも大きい。損失補填問題も、営業マンが薦めた株が値下がりしたことが原因だ。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                    {
                      "fact": "松井道夫氏は1990年に常務取締役営業本部長として経営を掌握し、対面営業を売り手側の思い込みと位置づけた",
                      "原文": "道夫氏は９０年に常務取締役営業本部長に就任し経営を掌握、９５年に社長就任した。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「1部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                    {
                      "fact": "松井道夫氏は対面営業を供給者側の思い込みと述べている",
                      "原文": "でも、顧客側から見たらどうなのか。対面が必要というのは、供給者側の思い込みにすぎないんじゃないのと。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券社長 松井道夫 社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」",
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                {
                  "text": "支店の担当エリアを営業マンが回る地域密着型の営業を、松井氏は「お仕着せ商法」（日経ビジネス 1995/6/12）と切り捨てた。投資の判断は顧客に委ね、証券会社の原点である売買仲介に絞って効率を上げた。裏を返せば、株に疎い客には使いにくい店になった。本店営業部は午後5時に閑散とした。営業マンが外回りに出ているのではない。すでに退社していたためである。1995年4月入社の新入社員17人のうち10人を本店営業部へ配し、全社員の3分の1を広告営業に充てた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "地域密着型の営業を「お仕着せ商法」と否定し、投資判断は顧客任せとしたため、株に疎い顧客には取引が難しかった",
                      "原文": "だが、松井はこうしたやり方を「お仕着せ商法」（松井常務）として否定する。投資の判断は顧客任せ。したがって、株に疎ければ、松井での取引は難しい。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                    {
                      "fact": "本店営業部は午後5時に閑散とし、1995年4月入社の新入社員17人中10人を配属して総勢40人、全社員の3分の1を広告営業に充てた",
                      "原文": "東京・中央区にある松井証券の本店営業部は、午後5時になると閑散とする。営業マンが「外回り」に出ているわけではない。退社した後だからだ。（中略）今年4月に入社した新入社員17人のうち、10人を本店営業部に配属し、総勢40人体制にした。全社員の3分の1が広告営業部隊ということになる。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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              "sub_title": "保護預り手数料をめぐる協会との攻防",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "価格でも横並びを崩した。信用取引の委託保証金は、大手証券が最低1000万円とするなかで200万円まで下げた。業界がほぼ横並びで年3000円を徴収していた有価証券の保護預り手数料も、3分の1の1000円へ引き下げた。「本当は我々が顧客にカネを払いたいくらい」（日経ビジネス 1995/6/12）。保管を任されれば、その顧客から売買手数料が入る。松井氏はそう理屈づけた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "信用取引の保証金を大手の最低1000万円に対し200万円とし、業界横並び年3000円の保護預り手数料を3分の1の1000円まで引き下げた",
                      "原文": "個人でもわずか200万円の保証金で信用取引が出来るというコピーがあったからだ。大手証券では、最低でも1000万円は必要だと言われていた。（中略）証券会社が横並びで年間3000円徴収している有価証券の保護預り手数料を、3分の1の1000円まで引き下げている。「本当は我々が顧客にカネを払いたいくらい。有価証券の保管を任されるということは、うちに売買手数料が入るということ」（松井常務）",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                    }
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                },
                {
                  "text": "1996年1月、松井氏は日本証券業協会に保護預り手数料の無料化を打診した。返ってきた答えは「徴収しないことは許可できない」（日経ビジネス 1996/8/5）だった。そこで2月から3年間100円へ引き下げ、事実上の無料とした。広告には今後も引き下げの努力を続けると明記し、協会への挑戦状ともとれる言葉を並べた。3月下旬、協会は「他の手数料に波及させない」（日経ビジネス 1996/8/5）という条件つきで、保護預り手数料ゼロを認めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1996年1月に日本証券業協会へ無料化を打診したが拒否され、2月から3年間100円へ引き下げ、3月下旬に協会が条件つきでゼロを容認した",
                      "原文": "今年1月、日本証券業協会に対して、「無料にしたい」と打診した。だが、回答は「徴収しないことは許可できない」だった。そこで松井は2月から3年間100円に引き下げた。事実上「無料」としたわけだ。そして、広告に「今後も引き下げの努力を続ける」と明記した。証券業協会に対する挑戦状ともとれる言葉だった。3月下旬、ついに協会は「他の手数料に波及させない」という条件つきながら、「保護預かり手数料ゼロ」を認めた。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "松井道夫氏は保護預り手数料を本来受け取るべきものではないと考えていた",
                      "原文": "証券業界では、ほぼ横並びで年間3000円を徴収している。だが、松井は以前から「本来、もらうべきものではない」と考えていた。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                    }
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        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
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              "sub_title": "個人客の流入と、自由化の先取り",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "個人の客が松井証券に流れ込んだ。1日に50件の新規顧客を獲得する日もあり、口座数は3年前の3倍以上に膨れ上がって1万口座を超えた。1995年3月期の東京証券取引所での委託売買金額は約1500億円、シェアは0.17%と、バブル期の2.5倍に伸びた。同じ期に経常黒字を確保した国内証券は222社中20社にすぎず、松井証券はその1社に入った。経常赤字に陥ったのは1991年度の一期だけにとどまった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1日50件の新規顧客獲得もあり、口座数は3年前の3倍以上・1万口座を超えた。経常赤字は1991年度のみ",
                      "原文": "松井の数々の型破りの戦略に、個人の客が殺到している。1日50件の新規顧客が獲得できることもある。口座数は3年前の3倍以上に膨れ上がり、1万口座を超えた。（中略）経常赤字に陥ったのはわずかに1991年度だけ。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                    {
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                      "原文": "1995年3月決算では国内証券会社222社で経常黒字を確保した会社はわずかに20社しかない。松井はそのうちの1社で、当期利益でも黒字を維持している。東京証券取引所での委託売買金額は95年3月期で約1500億円，シェアは0.17％と，バブル期と比べて2.5倍に伸びている。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                },
                {
                  "text": "値段を動かせる場所は、制度の隙間にもあった。顧客から受けた株式売買のうち10億円未満の取引には、業界横並びの固定手数料がかかる。一方で店頭登録株式は、手数料率がもともと自由だった。松井証券はそこに目をつけた。委託手数料の完全自由化が1999年10月に実施される前の1997年、店頭銘柄の株式と転換社債の委託手数料を半額へ下げた。免許制のもとで動ける範囲は狭く、松井氏は「早く手枷足枷を外してほしい」（日経ビジネス 1996/8/5）と訴えた。",
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                    {
                      "fact": "店頭は手数料率がもともと自由である点に着目し、手数料自由化前の1997年に店頭銘柄の株式・転換社債の委託手数料を半額にした",
                      "原文": "店頭については手数料率がもともと自由である点に着目、手数料自由化前の９７年に、店頭銘柄の株・転換社債の委託手数料を半額にした。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「1部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                      "原文": "顧客から注文を受けた株式売買について、10億円未満の取引には業界横並びに固定の手数料をとっている。（中略）だが、免許制によって大蔵省に行動を縛られている現状では、動ける範囲は狭すぎる。「早く手枷足枷を外してほしい。このまま時間を浪費していれば、生き残れる可能性は皆無に近づいていく」",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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              "sub_title": "業界の反発と、本人が認めた限界",
              "paragraphs": [
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                  "text": "同業からの風当たりは強かった。「そんなことをしたら証券業界から村八分になるぞ」（日経ビジネス 1995/6/12）と脅されたこともある。社内でも当初は違和感を持つ者が多かった。叔父にあたる会長の松井正俊氏は「最初は自由化反対だった」（日経ビジネス 1996/8/5）と明かした。兜町の住人は、証券の素人がおかしなことをしていると受け止めた。松井氏は後年、社長業を振り返って「よくあんなことをやったな」（週刊東洋経済 2020/6/13）と思える一件に、この外交営業の否定を挙げた。",
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                      "fact": "同業他社から村八分になると脅され、社内でも当初は自由化への反対論があった",
                      "原文": "「うちの利益を吹き飛ばすつもりか」「そんなことをしたら証券業界から村八分になるぞ」と脅されたこともある。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                    },
                    {
                      "fact": "叔父で会長の松井正俊氏は当初は自由化に反対だったと語った",
                      "原文": "松井の考え方には、当初は社内でも違和感を持つ者が多かった。叔父にあたる現会長の松井正俊は「最初は自由化反対だった。できることなら苦労したくないのが人情だ」と話す。",
                      "source": "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
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                    },
                    {
                      "fact": "兜町では当初「証券の素人がおかしなことをしている」と異端児扱いされ、松井道夫氏自身は外交営業の否定を最も思い切った判断として挙げた",
                      "原文": "兜町の住人は当初「証券の素人がおかしなことをしている」と異端児扱いした。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「1部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                      "fact": "松井道夫氏は社長業30年で最も思い切った判断として外交営業の否定を挙げた",
                      "原文": "思い返して、よくあんなことをやったなと思えるのは、外交営業の否定だ。当時の業界は対面を前提として、優秀なセールスマンと称する人たちを雇って営業するのが常識だった。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券社長 松井道夫 社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」",
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                {
                  "text": "松井氏自身は、この戦略の限界を早くから認めていた。付加価値が低いサービスほど、また規制に守られた時間が長いほど、自由化後の過当競争は激しくなる。その理屈は自社にも当てはまる。いまの営業戦略は付加価値が低く、続ければ自由化後には体力のある大手に淘汰される、と1995年の時点で語った。取材した記者も、証券業界の自由化が完了するには時間がかかると書き添えた。当時の優位は、制度が変わる遅さにも支えられた。",
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                      "fact": "1995年時点で松井道夫氏は、付加価値の低い現戦略では自由化後に大手に淘汰されると自らの限界を認めていた",
                      "原文": "「付加価値が低いサービスほど、そして規制で守られていた時間が長いほど、自由化後の過当競争は激しい」そうした観点から、松井は自らの限界も感じている。今の営業戦略は付加価値が低く、これを続けていれば、自由化後には体力のある大手に淘汰されるというのだ。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                    {
                      "fact": "記者は自由化の完了には時間がかかり、松井証券の戦略がすぐに陳腐化することはないだろうと留保を付けた",
                      "原文": "だが、証券業界の自由化が完了するには時間がかかる。現在の松井の戦略が、一気に陳腐化することはないだろう。",
                      "source": "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
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                  ]
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            },
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              "sub_title": "事故から始まった原則",
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                {
                  "text": "外交営業の否定は、理念が先に立った改革ではなかった。1986年ごろに歩合給を圧縮した結果、エース級の営業幹部5人が抜け、重要な顧客まで去り、営業部隊は壊滅した。残された手段が新聞広告による集客であり、そこに前向きな理由はなかったと当時の誌面もはっきり書いた。松井氏はその後始末として始めた方式を、対面が必要というのは供給者側の思い込みにすぎないという原則へ組み替えた。手段が先にあり、理屈は後から付いた。"
                },
                {
                  "text": "値下げできた範囲は、規制の緩い隙間にかぎられていた。株式の委託手数料は10億円未満の取引で固定されたままで、松井証券が動かせたのは保護預り料と、もともと自由だった店頭銘柄しかない。松井氏自身、付加価値の低さゆえに自由化後は大手に淘汰されると1995年に認めた。顧客の側も、投資判断を丸ごと引き受けられる者でなければこの店を使えない。事故から生まれた原則が業界の慣行を破ったことと、その原則がなお制度の遅さに守られていたことは、同時に成り立っていた。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "日経ビジネス 1996年8月5日号「型破りの営業でタブー揺るがす」",
        "日経ビジネス 1995年6月12日号「松井証券 推奨販売なしの営業戦略」",
        "週刊東洋経済 2001年8月4日号「1部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
        "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券社長 松井道夫 社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」"
      ],
      "authored": "2026-08",
      "last_updated": "2026-08-03"
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    {
      "slug": "box-rate-1999",
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          "text": "1999年10月1日の株式委託手数料の完全自由化に合わせ、松井証券が定額制の手数料体系「ボックスレート」を導入した経営判断。売買金額300万円まで3回まで3000円という水準は、自由化前の固定手数料のほぼ10分の1にあたる。松井道夫社長の主導による。"
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          "text": "導入から1か月でインターネット口座は3割増えたが、同じ年の夏にオリックス証券などがさらに大幅な割引を表明し、価格だけで見た優位は早くも薄れた。松井証券はその後、手数料競争から距離を置き、2005年3月期の平均手数料率はイー・トレード証券の2倍を超えた。"
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          "title": "東証一部へ直接上場。株式委託売買件数で大和証券・日興証券を上回る"
        },
        {
          "year": 2005,
          "month": 3,
          "title": "平均手数料率0.12%とイー・トレード証券0.05%の2倍超。手数料競争から距離を置く"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "2000年3月期",
        "source": "日経ビジネス 1999年12月20日・27日号「“e組織”で大企業を撃破」",
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          {
            "stock_code": "8628",
            "name": "松井証券",
            "fiscal_year": "2000年3月期（単体）",
            "president": "松井道夫",
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              "note": "1999年12月時点。パートタイマーを含む役職員数"
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              "sub_title": "戦後の収益源が自由化される日",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "1999年10月1日、戦後一貫して証券会社の最大の収益源であった上場株式の売買委託手数料が完全に自由化された。業界全体がこの手数料から得た収入は約6000億円にのぼった。業界は、10分の1に縮めば淘汰と再編は避けられないと見ていた。松井証券の役職員は140人にすぎず、仲介業務で首位を走る野村証券とは規模の比べようがなかった。制度が守ってきた価格が消える日を、松井証券は業界の末端に近い一社として迎えた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1999年10月1日に上場株式の売買委託手数料が完全自由化された。業界全体の株式売買委託手数料収入は約6000億円で、松井証券の役職員数は140人であった",
                      "原文": "役職員数わずか140人の小さな松井証券は、証券の仲介業務で業界トップの野村証券と四つに組んだ戦いに挑む。この日、戦後一貫して証券会社の最大の収益源だった上場株式の売買委託手数料が完全に自由化される。／証券業界全体が手にしている株式売買委託手数料収入は、約6000億円。これが10分の1になったら、多くの証券会社はすさまじい勢いで淘汰・再編の波に呑み込まれることだろう。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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                },
                {
                  "text": "松井証券の起源は、1918年創業の米の仲買商にさかのぼる。兜町の老舗でありながら、松井道夫氏が入社した1987年当時の株式委託件数は、東証の正会員100社超のうち下から2番目にあった。1990年代初頭に外交営業を廃し、1996年に保護預かり料を無料にし、1998年5月にインターネット取引へ進んだ。口座は1999年9月末までに1万4300を数えた。自由化は、この転換が始まったばかりの時期に来た。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "松井証券は1918年創業の米の仲買商を起源とし、松井道夫氏が入社した1987年当時の株委託件数は東証正会員100社超で下から2番目であった",
                      "原文": "松井道夫社長（四八歳）が入社した１９８７年当時とは大違いだ。当時の松井の株委託件数は、東証に会員権を持つ一〇〇社超の正会員証券で、下から数えて二番目だった。／そもそも六人の相場師が、米の仲買商「松井房吉商店」（１８年創業）を起こしたことに由来する。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「［企業レポート］１部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                    {
                      "fact": "松井証券は1998年5月にインターネット取引を始め、1999年9月末までに1万4300口座を集めた",
                      "原文": "米国でブームになっていたインターネット取引に目を付けて進出したのは、98年5月のことだった。それが今年9月末までに1万4300口座を集め",
                      "source": "日経ビジネス 1999年12月20日・27日号「“e組織”で大企業を撃破」",
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                    }
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            },
            {
              "sub_title": "海運同盟の崩壊で見たもの",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "松井道夫氏は1976年に一橋大学経済学部を卒業して日本郵船に入り、11年を過ごした。当時の海運では、政府公認の価格カルテルが運賃を決めていた。同盟の内側であれば運賃はどこでも同じで、航路でコンソーシアムを組めば運ぶ船まで同じになる。差別化の手立てを持たない船会社に、荷主は「誠意」（週刊東洋経済 2020/6/13）を求めた。その中身を尋ねると、ピカピカのコンテナを持ってこいという答えが返った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "日本郵船時代、運賃は同盟で決まり船も同じで差別化の手立てがなく、荷主は船会社に「誠意」を求めた",
                      "原文": "強力なカルテルがあった当時、価格は運賃同盟という場の交渉で決まっていた。荷主も船会社も参加する同盟内ならどこでも運賃は同じで、航路でコンソーシアムを組んでいれば運ぶ船も同じ。差別化するものがなかったから、荷主はしょうがなく「誠意」というものを求めていた。／誠意をどうやって示せばいいのか。荷主に聞くと「ピカピカのコンテナを持ってこい」と言われた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫「社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」」",
                      "url": null
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                },
                {
                  "text": "レーガン政権の規制緩和で同盟が崩れると、荷主の要求は運賃の引き下げに変わり、格安の新興盟外船会社へ乗り換える顧客が後を絶たなかった。松井氏はここで「顧客は納得できるコストにしか金を払わない」（週刊東洋経済 2020/6/13）という現実を見た。規制に守られた産業が国際競争にさらされればどうなるか。松井氏は証券業界より20年早く、一社員としてその答えを見た。自由化への応じ方は、この記憶から決めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "同盟崩壊後、荷主の要求は運賃引き下げに変わり格安の盟外船会社へ移った。松井道夫氏はこれを株式委託手数料の完全自由化での行動の根拠としたと述べている",
                      "原文": "ところが、同盟が崩壊して価格競争が始まった。荷主の要求は「運賃を安くしろ」に変わり、格安の新興盟外船会社に乗り換える顧客が後を絶たなかった。このとき「顧客は納得できるコストにしか金を払わない」という現実を目の当たりにした。／この経験は、後の株式委託手数料の完全自由化の際に、私の行動の根拠となった。お客さんは誠意を買ってはくれない。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫「社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」」",
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                    {
                      "fact": "規制に守られた産業が自由な国際競争にさらされる状況を、松井道夫氏は日本郵船の一社員として20年前に経験していた",
                      "原文": "規制で守られた産業が、ひとたび自由な国際競争にさらされればどうなるのか――証券業界が現在、置かれている状況を、松井は郵船の一社員として20年前に経験した。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
                      "url": null
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
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              "sub_title": "7割引の当初案と、1通の電子メール",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "松井証券が1999年5月初旬に公表した10月以降の新手数料表は、割引率が最大でも7割引にとどまった。松井道夫氏自身、当初は野村証券と正面から戦うつもりはなく、局地戦で勝てばよいと考えていた。その考えを変えたのは、顧客から届いた1通の電子メールだった。「松井証券を過大評価しすぎていた。残念だ」（日経ビジネス 1999/9/13）という短い文面が、割引率の設定そのものを問い直させた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1999年5月初旬に公表した新手数料表の割引率は最大7割引で、松井道夫氏は当初、野村証券と正面から勝負せず局地戦で勝てばよいと考えていた。考えを変えたのは顧客からの電子メールであった",
                      "原文": "とはいえ、松井自身、最初は野村証券とまともに勝負しようとは考えなかった。局地戦で勝てばいいと思っていたのだ。5月初旬に同社が公表した10月以降の新手数料表では、手数料の割引率は最大でも7割引き。松井が考えを変えるきっかけになったのは、顧客から届いた1通の電子メールだ。／「松井証券を過大評価しすぎていた。残念だ」",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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                {
                  "text": "松井氏は役員会のメンバーと夜中まで何度も議論を重ね、2昼夜眠らないこともあった。結論として5月の手数料表を撤回し、割引率を広げたうえで、個人にわかりやすい表へ組み替えた。「こういうイヤなお客のおかげで、目を覚ますことは多いですね」（日経ビジネス 1999/9/13）と松井氏は語った。顧客1人の苦言が、価格政策を書き換えた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "松井道夫氏は役員会メンバーと夜中まで議論し2昼夜眠らないこともあった。5月の手数料表を撤回して割引率を拡大し、わかりやすい手数料表の採用を決めた",
                      "原文": "「こういうイヤなお客のおかげで、目を覚ますことは多いですね」と松井は言う。／では、急速な手数料低下を望む投資家にどう対応すればいいのか。松井は役員会メンバーと夜中まで何度も議論した。2、3昼夜も眠らないこともあった。5月に出した手数料表を撤回し、割引率を拡大するとともに、個人に分かりやすい手数料表の採用を決めた。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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            {
              "sub_title": "なぜ7割ではなく9割か",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "割引率を9割に決めた理由は、価格の低さそのものではなく、決着までの時間にあった。7割引では勝負がつくまでに時間がかかる。その間にインターネット取引を手がける証券会社が倒産すれば、取引形態そのものの印象が悪くなりかねない。9割引なら業界他社と真っ向からぶつかる分、決着は早い時期につく。「経営の最大のコストは時間だ」（日経ビジネス 1999/9/13）という持論が、割引率の水準を決めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "7割引では決着に時間がかかり、その間にインターネット取引を提供する証券会社が倒産すればネット取引自体の印象が悪くなる。9割引なら他社と真っ向からぶつかる分、決着が早くつくと考えた",
                      "原文": "なぜ手数料7割引きでなく、9割引きなのか。7割引きだと勝負がつくまでに時間がかかるからだという。その間にインターネット取引を提供する証券会社が倒産すれば、インターネット取引自体の印象が悪くなるかもしれない。9割引きなら、業界他社と真っ向からぶつかる分、勝負の決着は早い時期につくのではないかという。／「経営の最大のコストは時間だ」というのが松井の持論だ。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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                },
                {
                  "text": "松井証券はこの体系を「ボックスレート」と名づけ、売買金額300万円までなら3回まで3000円という定額制を採った。1日の取引金額が300万円、約定回数が3回増えるごとに手数料も3000円ずつ動く。水準は自由化前の固定手数料のほぼ10分の1に下がった。1000円の株を1000株持つ投資家は、従来なら24円以上の値上がりを待つ必要があったが、新体系では3円以上で売り時を探せた。松井氏はこの体系について、インターネット取引の顧客数を5倍に増やさなければ採算が合わないと語った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "新手数料は自由化前の固定手数料のほぼ10分の1で、1日の取引金額300万円・取引回数3回ごとに3000円刻み。1000円の株1000株では従来24円以上の値上がりが必要だったが3円以上で売却できる。採算にはネット取引の顧客数を5倍にする必要があった",
                      "原文": "10月の証券手数料自由化に合わせ、松井証券は手数料を、従来の固定手数料のほぼ10分の1に下げる。税金を除いて計算すると、1000円の株を1000株保有している投資家が売却益を上げるには、従来なら24円以上株価が上がるまで待たなければならなかったが、新手数料なら3円以上で売る時機を探せる。1日の取引金額が300万円ずつ、1日の取引回数の合計が3回ずつ増えるたびに、手数料も3000円刻みで変動する。／新しい手数料を採用した場合、インターネット取引の顧客数を5倍に増やさないとソロバンは合わない、と松井は言う。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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                    {
                      "fact": "ボックスレートは売買金額300万円までなら3回まで3000円の定額制で、キャッチフレーズは「指し値三回三〇〇〇円」であった",
                      "原文": "９９年１０月、売買手数料の完全自由化を機に「指し値三回三〇〇〇円」がキャッチフレーズの手数料体系「ボックス・レート」を導入した。売買金額が三〇〇万円までなら三回まで三〇〇〇円の定額制で、２０００年９月からは回数制限を撤廃。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「［企業レポート］１部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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              "sub_title": "1か月で3割増えた口座と、早くも薄れた優位",
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                {
                  "text": "導入の効果は口座数にすぐ表れた。インターネットの口座は1999年9月末の1万4300から10月末には1万8800へと、1か月で3割増えた。従業員を増やさないまま処理量を吸収し、パートタイマーを含めても役職員は200人にとどまった。11月にはインターネット経由だけで単月1979億円を仲介し、店頭に主力を置いて1000人以上を抱える準大手証券に並ぶ水準へ達した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "ネット口座は1999年9月末の1万4300から10月末に1万8800へ3割増え、11月にはインターネットだけで単月1979億円を仲介した。役職員はパートを含めて200人であった",
                      "原文": "同社はパートタイマーも含めて200人の役職員しかいない。だが、11月には単月でインターネットだけで1979億円の売買を仲介した。これは店頭に主力を置き従業員を1000人以上抱える準大手の証券会社に匹敵する水準だ。／それが今年9月末までに1万4300口座を集め、その1カ月後の10月末には1万8800口座と、3割増しの勢いで伸ばした。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年12月20日・27日号「“e組織”で大企業を撃破」",
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                  ]
                },
                {
                  "text": "価格での優位は、しかし同じ年の夏に早くも薄れた。オリックス証券とDLJディレクトSFG証券がさらに大幅な割引を表明し、手数料だけを見れば松井証券の優位性は失われた。システムの側でも別の問題が起きた。あるセミプロ投資家が自家製のプログラムで分刻みに注文を出し、処理能力がたびたび限界に達してシステムダウンを繰り返した。松井証券は10月からネット取引のシステム容量を1000倍に広げ、2000年3月までにさらに1000倍とする計画を立てた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1999年夏にオリックス証券やDLJディレクトSFG証券がさらに大幅な割引を表明し、手数料だけを見れば松井証券の優位性は薄れた",
                      "原文": "今夏にオリックス証券、DLJディレクトSFG証券などがさらに大幅な手数料の割引を表明、手数料だけを見れば、松井証券の優位性は薄れた。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "セミプロ投資家が自家製プログラムで分刻みに注文を出したため処理能力が限界に達しシステムダウンが頻発した。10月からシステム容量を1000倍に、2000年3月までにさらに1000倍にする計画を立てた",
                      "原文": "システムダウンの原因を調べていくうちに分かったのは、あるセミプロ投資家が自家製のプログラムを使って分刻みで売買注文を出してくること。それで、システムの処理能力が頻繁に限界に達したのだ。そこでインターネット取引のシステム容量を、10月から今年3月の1000倍に増やす。2000年3月までにはさらに1000倍にする。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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              "sub_title": "定額制は標準になり、価格競争は続かなかった",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2000年9月、松井証券はボックスレートの回数制限を撤廃し、「何回でも3000円」へ切り替えた。2001年8月には東証一部へ直接上場し、株式委託売買件数では大和証券と日興証券を上回った。イー・トレード証券が同年9月に同型の「アクティブプラン」を導入したように、定額制は業界の標準になった。標準を作った松井氏自身は、自由化の時点で証券仲介業は「5年後には消滅する」（日経ビジネス 1999/9/13）と述べた。自社の収益基盤が消えることまで見込んだ発言である。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2000年9月に回数制限を撤廃し「何回でも3000円」へ切り替えた。2001年8月に東証一部へ直接上場し、株委託売買件数で大和証券・日興証券を抜いた。イー・トレード証券は2001年9月から同型の「アクティブプラン」を導入した",
                      "原文": "山が動いた。インターネット専業の松井証券が、株委託売買件数で、リテイル大手の大和証券と日興証券を抜いたのだ。／その松井は８月１日に東証一部に上場する。東証二部やジャスダック（旧・店頭市場）を経由しない直接上場だ。／２０００年９月からは回数制限を撤廃。「何回でも三〇〇〇円」に切り替えた。／たとえばイー・トレード証券は、今年９月からボックス・レートと同様の「アクティブプラン」を導入する。",
                      "source": "週刊東洋経済 2001年8月4日号「［企業レポート］１部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
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                      "fact": "松井道夫氏は1999年時点で、顧客の注文を取引所に取り次ぐ証券仲介業は5年後に消滅すると予測していた",
                      "原文": "「顧客の注文を証券取引所に取り次ぐ証券仲介業は、5年後には消滅する」と松井は予測する。ということは、松井証券自身が、現在の収益基盤を失う。",
                      "source": "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
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                  "text": "定額制で先行したことは、価格競争を走り続けることを意味しなかった。イー・トレード証券が一段低い価格へ踏み込み、楽天証券が追随すると、松井証券は手数料競争から距離を置いた。2005年3月期の平均手数料率0.12%はイー・トレード証券の0.05%の2倍を超え、口座数・売買代金・預かり資産の3指標では相手が松井証券の2倍に達した。手数料の水準そのものは、自由化前の115ベーシスから2006年ごろのSBI証券の3〜4ベーシスまで下がった。",
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                      "fact": "2005年3月期の松井証券の平均手数料率0.12%はイー・トレード証券の0.05%の2倍超で、イー・トレードがさらなる低価格に踏み切り楽天証券が追随すると松井証券は手数料競争から距離を置いた。3指標ではイー・トレードが松井の2倍に達した",
                      "原文": "前期の売買代金当たりの平均手数料率では、松井の０・１２％はイー・トレード０・０５％の２倍を超える。／イー・トレードがさらなる低価格路線に踏み切り、楽天証券が追随すると、松井は手数料競争からは距離を置くようになった。／足元では預かり資産、売買代金の３指標すべてで松井の２倍に到達した。",
                      "source": "週刊東洋経済 2005年6月4日号「［ビジネスリポート］「先駆者」松井証券の深まる孤立 “松井革命”第２幕 絶好調の中の「死角」」",
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                      "fact": "手数料水準は自由化前の115ベーシスからネット開始時の30ベーシスへ下がり、2006年ごろにSBI証券が3〜4ベーシスまで引き下げた",
                      "原文": "松井証券がネットを始めたときは、手数料は３０ベーシス（０．３％）。自由化前の１１５ベーシスと比べたら、４分の１ほどだった。／２００６年ごろ、今から１５年前にＳＢＩ証券が率先してさらに１０分の１の３〜４ベーシスになり、過当競争が究極まで行き着いた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫「社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」」",
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                  "text": "5月に公表した手数料表は、最大でも7割引だった。それを9割引へ書き換えさせたのは調査でも競合分析でもなく、「松井証券を過大評価しすぎていた。残念だ」（日経ビジネス 1999/9/13）という顧客1人の電子メールである。7割で足りない理由を、松井道夫氏は価格の高低ではなく決着までの時間で説明した。勝負が長引く間にインターネット取引を掲げた同業が倒れれば、取引形態そのものへの信用が損なわれる。値下げの判断でありながら、松井氏が実際に測っていたのは時間であった。"
                },
                {
                  "text": "9割引が買えた時間は短かった。同じ年の夏にはオリックス証券とDLJディレクトSFG証券がさらに大幅な割引を表明し、価格だけで見た優位は自由化の日を迎える前に失われた。松井証券はその後、手数料競争から距離を置き、2005年3月期の平均手数料率はイー・トレード証券の2倍を超えた。日本郵船で見た「顧客は納得できるコストにしか金を払わない」（週刊東洋経済 2020/6/13）という現実は、値下げに踏み切った側にも同じように働いた。"
                }
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            }
          ]
        }
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      "references": [
        "日経ビジネス 1999年9月13日号「ひと 競争力は野村を凌ぐ「兜町の素人」10月1日、手数料9割引きで大勝負」",
        "日経ビジネス 1999年12月20日・27日号「“e組織”で大企業を撃破」",
        "週刊東洋経済 2001年8月4日号「［企業レポート］１部上場松井証券 老舗の弱小証券会社が大手を凌駕しえた理由」",
        "週刊東洋経済 2005年6月4日号「［ビジネスリポート］「先駆者」松井証券の深まる孤立 “松井革命”第２幕 絶好調の中の「死角」」",
        "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫「社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ」」"
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      "authored": "2026-08",
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      "title": "デイトレード限定「一日信用取引」の導入と、委託手数料に依存しない収益構造への移行",
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          "text": "2013年1月、松井証券が信用取引の保証金に関する府令改正に合わせ、返済期限を当日限りとするデイトレード限定の「一日信用取引」を導入した経営判断。手数料と金利・貸株料を原則無料にした業界初のサービスで、松井道夫社長のもとで7期続いた減収を反転させた。"
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          "text": "2006年3月期をピークに営業収益は縮み、2007年3月期にはSBIイー・トレード証券に経常利益で抜かれた。2006年9月に無期限信用取引の手数料を完全無料化したものの、他社の手数料率がすでに0.01%台まで下がっていたため乗り換えは起きず、3か月で撤回して顧客の流出を招いた。"
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          "text": "返済期限を当日限りに区切り、1注文の約定金額300万円以上は手数料も金利・貸株料も無料、300万円未満は手数料無料で金利・貸株料2%とした。2014年3月には同じ仕組みを使う「プレミアム空売りサービス」を加え、他社では個人が売建できない銘柄に銘柄ごと10〜20bpの空売り料を課した。"
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          "text": "2014年3月期の営業収益は399億円（前期比1.9倍）へ伸びた一方、手数料を取らない商品に取引が集まったため、収益源は委託手数料から金融収支と品貸料へ移った。2017年3月期は一日信用取引の比率57%で営業収益が2割近く減り、相場の変動に振られる構造が残った。"
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                  "text": "松井証券の営業収益は2006年3月期の571億円を頂点に縮んだ。2007年3月期は営業収益437億円（前期比23%減）、経常利益227億円（同39%減）で、株式委託手数料率も前期の11.4bpから8.5bpへ下がった。同じ期、SBIイー・トレード証券が経常利益245億円を稼いで初めて松井証券を上回った。その4年前、相手の利益は松井証券の8分の1にすぎなかった。",
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                      "source": "松井証券 2007年3月期 決算説明会要旨（2007年5月7日・日本証券アナリスト協会作成）",
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                      "source": "松井証券 2007年3月期 決算説明会要旨（2007年5月7日・日本証券アナリスト協会作成）",
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                      "原文": "０７年３月期は松井のプライドを傷つける決算だった。ネット証券首位のＳＢＩイー・トレード証券が経常利益２４５億円を稼ぎ出し、初めて松井を上回った。４年前、松井の８分の１の利益にすぎなかったイー・トレードが、である。",
                      "source": "週刊東洋経済 2007年7月21日号「ネット証券フロントランナー 市場のニーズ読み違えた“革命児”松井証券の焦燥」",
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                {
                  "text": "減収は7期にわたった。2012年3月期の営業収益は177億円（前期比20%減）、経常利益は74億円で、株式委託売買代金は8.0兆円まで縮んだ。松井証券は2011年10月に即時決済信用取引を始めて反転を試みた。しかし流動性が足りず、顧客同士が「お見合い」（決算説明会要旨 2012/4/26）する状態が続いた。価格の決定方式を緩め、取引開始を8時30分へ早める手直しを重ねた。",
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                      "fact": "2012年3月期は営業収益177億円・経常利益74億円、株式委託売買代金は8.0兆円へ減少した",
                      "原文": "2012年（平成24年）3月期の連結業績は、営業収益177億円（前期比20％減）、経常利益74億円（同12％減）、当期純利益43億円（同21％減）と減収減益となった。（中略）当期の株式委託売買代金は8.0兆円と前期と比較して23％減少し、株式委託手数料は89億円（前期比20％減）となった。",
                      "source": "松井証券 2012年3月期 決算説明会要旨（2012年4月26日・日本証券アナリスト協会作成）",
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                    {
                      "fact": "2011年10月に始めた即時決済信用取引は流動性不足で顧客同士がお見合いする状態にあり、約定条件の緩和と取引時間の拡大で手直しした",
                      "原文": "当社は、昨年10月から即時決済信用取引の取扱いを開始したが、現状では流動性が不足しており、顧客同士がお見合いしてしまう状況にある。こうした状況に対応するため、4月から価格の決定方式を見直し約定条件を緩和する他、取引時間を拡大し、取引所立会市場の開始時刻より30分早い8時30分からの取引を可能とした。",
                      "source": "松井証券 2012年3月期 決算説明会要旨（2012年4月26日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "松井証券の営業収益は2006年3月期の571億円を最高に、2012年3月期の177億円まで7期連続で減少した",
                      "原文": "営業収益は2006年3月期571億円、2007年3月期437億円、2008年3月期399億円、2009年3月期267億円、2010年3月期243億円、2011年3月期221億円、2012年3月期177億円と推移した。",
                      "source": "松井証券 有価証券報告書（2006年3月期〜2012年3月期）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "2006年の手数料無料化が効かなかった理由",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "手数料の無料化は、すでに一度試していた。2006年9月、松井証券は無期限信用取引の売買手数料をゼロにし、代わりに金利を引き上げた。無期限信用取引そのものは、2003年に業界へ先駆けて始めていた。しかし各社がすぐ追随し、手数料率は最安で0.01%台まで下がっていた。1000万円を売買しても手数料は100円あまりで、無料にしても「乗り換えるほどのインパクトはなかった」（週刊東洋経済 2007/7/21）。3か月後の12月、松井証券は無料化を撤回した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2006年9月に無期限信用取引の手数料を完全無料化したが、他社追随で手数料率が最安0.01%台まで下がっており顧客は増えず、3か月後の12月に撤回した",
                      "原文": "昨年９月、「無期限信用取引」の手数料完全無料化で反撃に出た。（中略）だが、この施策は大失敗に終わる。松井はサービス開始から３カ月後の昨年１２月に、無期限信用取引の手数料無料化を撤回した。（中略）無期限信用取引自体は、松井が０３年に業界に先駆けて始めている。が、すぐに各社が追随、手数料率も最安０・０１％台まで下がっていた。「１０００万円の取引で１００円ちょっとの手数料を無料化しても、わざわざ証券会社を乗り換えるほどのインパクトはなかった」（関係者）。",
                      "source": "週刊東洋経済 2007年7月21日号「ネット証券フロントランナー 市場のニーズ読み違えた“革命児”松井証券の焦燥」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2006年9月の改定は無期限信用取引の売買手数料をゼロにする代わりに金利を引き上げるもので、その後に無料化は廃止された",
                      "原文": "手数料体系の改定は、まず4月に行い、次いで9月には無期限信用取引の売買手数料をゼロとする代わりに金利を引き上げるという改定を行った。その後、無期限信用取引の手数料無料化は廃止し、委託手数料率は3月には9.8bpに回復している。",
                      "source": "松井証券 2007年3月期 決算説明会要旨（2007年5月7日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "撤回は顧客の流出を招いた。2007年3月期第4四半期の市場シェアは9%へ落ちた。松井証券自身、無期限信用取引の手数料無料化を撤廃した混乱で12月に顧客が流出したと説明した（決算説明会要旨 2007/5/7）。SBIホールディングスの北尾吉孝CEOは同じ年、「手数料競争が終わった段階で決着がついた」（週刊東洋経済 2007/7/21）と語った。無料にする対象を誤れば、収益だけが減って顧客は動かない。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2007年3月期第4四半期の市場シェアは9%へ低下し、無期限信用取引の手数料無料化撤廃による混乱で12月に顧客が流出したとみられた",
                      "原文": "市場シェアについては、通期で10％となっているが、第4四半期以降は9％と若干落ち込んでいる。要因としては、無期限信用取引の手数料無料化の撤廃等による混乱から、12月に顧客が流出した影響が考えられる。",
                      "source": "松井証券 2007年3月期 決算説明会要旨（2007年5月7日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "SBIホールディングスの北尾吉孝CEOは2007年、手数料競争が終わった段階で決着がついたと述べた",
                      "原文": "イー・トレードの親会社である、ＳＢＩホールディングスの北尾吉孝ＣＥＯは「手数料競争が終わった段階で決着がついた。シェアを見れば勝敗がわかるだろう」と勝利宣言する。",
                      "source": "週刊東洋経済 2007年7月21日号「ネット証券フロントランナー 市場のニーズ読み違えた“革命児”松井証券の焦燥」",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "府令改正に合わせた業界初のデイトレード限定サービス",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2013年1月、信用取引の保証金に関する府令が改正され、規制緩和が実現した。松井証券はその開始に合わせて「一日信用取引」を導入した。返済期限を当日限りに区切り、手数料と金利・貸株料を原則無料にした、業界初のデイトレード限定の信用取引である。1注文あたりの約定金額が300万円以上なら手数料も金利・貸株料も無料、300万円未満は手数料のみ無料で、金利・貸株料は2%を徴収した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2013年1月の保証金府令改正に合わせ、手数料および金利・貸株料が原則無料となる業界初のデイトレード限定の信用取引「一日信用取引」を導入した",
                      "原文": "今年の1月より信用取引に関する保証金府令が改正され、信用取引の規制緩和が実現した。当社では、規制緩和の開始にあわせて「一日信用取引」を導入した。これは、手数料および金利・貸株料が原則無料となる、業界初のデイトレード限定の信用取引サービスである（1注文あたりの約定金額が300万円以上の場合、手数料/金利・貸株料は無料。300万円未満の場合、手数料は無料だが、金利・貸株料は2％を徴収）。",
                      "source": "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "一日信用取引は返済期限が当日で、デイトレード時の手数料は0円、金利・貸株料は0%である",
                      "原文": "一日信用取引とは、松井証券が証券業界で初めて導入した、返済期限が当日のデイトレード専用信用取引。デイトレード時の取引コストは手数料0円、金利/貸株料0%。",
                      "source": "松井証券「一日信用取引 概要・魅力」",
                      "url": "https://www.matsui.co.jp/stock/margin/d-margin/about/"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "2006年と違ったのは、無料にする相手の絞り方にあった。デイトレーダーは同じ資金を1日に何度も回転させるため、1回あたりの差が回数分だけ積み上がる。0.01%台まで下がった手数料は長く建玉を持つ顧客に乗り換えの理由を与えないが、回転の速い層には無視できない差になる。松井証券は導入から3か月の時点で、手数料の安い競合他社からデイトレーダーを獲得できているとみていた（決算説明会要旨 2013/4/25）。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "松井証券は一日信用取引の導入により、手数料の安い競合他社からデイトレーダーを獲得できているとみていた",
                      "原文": "こうした状況から、当社では、手数料の安い競合他社からデイトレーダーを獲得できているのではないかと考えている。当社では、サービス開始以降、売建取扱銘柄の拡充や条件付き注文の追加対応を実施する等、利便性の向上に努めている。",
                      "source": "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "相場の反転と重なった導入",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "導入は2012年11月以降の株価上昇と重なった。2013年3月期の株式委託売買代金は12.6兆円（前期比57%増）へ伸びた。第4四半期の3か月だけで7.0兆円と、第3四半期までの累計5.6兆円を上回った。一日信用取引の月間売買代金も1月の4200億円から4月には7700億円を超えた。株式の売買シェアは前年の7%台から4月に10%へ、信用取引のシェアは8%台から12%へ上がった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2013年3月期の株式委託売買代金は12.6兆円（前期比57%増）で、第4四半期の7.0兆円が第3四半期までの累計5.6兆円を上回った",
                      "原文": "当期の株式委託売買代金は12.6兆円と、前期比57％増加した。当期第4四半期（3カ月）の売買代金は7.0兆円に達し、第3四半期までの累計売買代金（5.6兆円）を上回った。",
                      "source": "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "一日信用取引の月間売買代金は1月の4,200億円から4月には7,700億円を超え、売買シェアは7%台から10%、信用シェアは8%台から12%へ上昇した",
                      "原文": "売買代金も着実に増加しており、月間売買代金は1月の4,200億円から4月は足元ですでに7,700億円を超えている。（中略）昨年7％台であった売買シェアは、4月に入って10％まで上昇した。信用シェアに至っては、昨年の8％台から4月は12％まで上昇している。",
                      "source": "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "2013年3月期の業績は営業収益208億円（前期比17%増）、経常利益102億円（同38%増）、当期純利益64億円（同51%増）で、7期ぶりに増収増益へ転じた。営業収益経常利益率は49%、第4四半期の3か月だけでは65%に達した。ただし府令改正と相場の反転と新サービスが同じ四半期に重なったため、増益のどれだけが一日信用取引の寄与かを切り分けることはできない。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2013年3月期は営業収益208億円・経常利益102億円・当期純利益64億円で7期ぶりの増収増益となり、営業収益経常利益率は通期49%、第4四半期は65%であった",
                      "原文": "2013年（平成25年）3月期の業績は、営業収益208億円（前期比17％増）、経常利益102億円（同38％増）、当期純利益64億円（同51％増）と、7期ぶりに増収増益となった。（中略）当期における営業収益経常利益率は49％と、極めて高い水準を維持している。なお、当期第4四半期（3カ月）の同比率は65％と過去のピーク時の水準に達している。",
                      "source": "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2013年3月期の営業収益は208億円、経常利益102億円、当期純利益64億円であった",
                      "原文": "2013年3月期（単体）の営業収益は208億円、経常利益は102億円、当期純利益は64億円であった。",
                      "source": "松井証券 有価証券報告書（2013年3月期・単体）",
                      "url": null
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                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "シェアの奪取と、伸びなかった手数料",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "効果は翌期にはっきり出た。2014年3月期の株式委託売買代金は39.5兆円（前期比3.1倍）、営業収益399億円（同1.9倍）、経常利益272億円（同2.7倍）。個人株式委託売買代金に占めるシェアは8.4%から11.1%へ上がった。信用取引の6社シェアはサービス開始前の8%から16%へ伸び、2014年2月には楽天証券を上回った。営業収益経常利益率68%は8年ぶりの最高を更新した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2014年3月期は営業収益399億円（前期比1.9倍）・経常利益272億円（同2.7倍）、売買代金39.5兆円（同3.1倍）でシェアは8.4%から11.1%へ上昇し、経常利益率68%は8年ぶりの最高となった",
                      "原文": "2014年3月期の業績は、営業収益は399億円（前期比1.9倍）、経常利益は272億円（同2.7倍）、当期純利益は163億円（同2.5倍）と、大幅な増収増益となった。これは、当社の株式委託売買代金が年間で39.5兆円（前期比3.1倍）となり、市場シェアが前期の8.4％から11.1％まで増加したためである。（中略）なお、営業収益に対する経常利益率は68％と、2006年3月期以来8年ぶりに過去最高を更新した。",
                      "source": "松井証券 2014年3月期 決算説明会要旨（2014年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "信用取引の6社シェアはサービス開始前の8%から16%へ上昇し、2014年2月には楽天証券を上回った",
                      "原文": "2013年1月より一日信用取引の取り扱いを開始し、売買代金および取引人数は着実に増加している。信用取引の6社シェアについてもサービス開始前の8％から16％に上昇しており、2014年2月には楽天を上回るなど、市場占有率の高いデイトレーダーを他社から順調に獲得している。",
                      "source": "松井証券 2014年3月期 決算説明会要旨（2014年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "増えた売買は、手数料に結びつかなかった。無料の商品へ取引が集まったためである。2016年3月期は売買代金が38.9兆円（前期比6%増）へ伸びたのに、株式等委託手数料は189億円と前期並みにとどまった。2017年3月期は一日信用取引の比率が51%から57%へ上がり、手数料率は4.8bpから4.4bpへ下がって、営業収益は277億円（19%減）へ縮んだ。松井道夫社長は、松井証券でも取引の6割が手数料ゼロだと語った（週刊東洋経済 2020/6/13）。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2016年3月期は株式等委託売買代金が38.9兆円（前期比6%増）に伸びたが、一日信用取引の売買比率が高まり株式等委託手数料は189億円と前期並みにとどまった",
                      "原文": "当社の収益源である株式等委託売買代金は38.9兆円（前期比6％増）となった。今期は変動性の高い相場環境であったことから、手数料が無料の一日信用取引の売買比率が高まった。そのため、株式等委託手数料は前期とほぼ同水準の189億円となった。",
                      "source": "松井証券 2016年3月期 決算説明会要旨（2016年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2017年3月期は一日信用取引の割合が51%から57%へ上昇して手数料率が4.8bpから4.4bpへ低下し、営業収益は277億円（前期比19%減）となった",
                      "原文": "2017年3月期の業績は、営業収益が277億円（前期比19%減）、経常利益は150億円（同31%減）、当期純利益は107億円（同28%減）で減収減益となった。（中略）手数料率については、手数料が原則無料の一日信用取引の割合が前期の51%から57%に上昇したことで、前期の4.8bpから4.4bpへ低下している。",
                      "source": "松井証券 2017年3月期 決算説明会要旨（2017年4月28日）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "松井道夫社長は2020年、松井証券でも取引の60%ほどがすでに手数料ゼロだと述べた",
                      "原文": "松井証券でも（取引の）６０％ぐらいはすでに手数料ゼロだ。デイトレーダーという、個人の５０〜６０％を占める取引に対しては手数料ゼロを課しているから。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫『社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ』」",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "金融収支と品貸料への置き換え",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "委託手数料の代わりには、金融収支と品貸料が立った。2014年3月、松井証券は「プレミアム空売りサービス」を始めた。返済期日が当日限りという一日信用取引の仕組みを使い、他社では個人が売建できない銘柄を選んで貸す。銘柄ごとの空売り料は10〜20bpで、その収益は2015年3月期に9億円、2017年3月期に8.4億円にのぼった。金融収支も2014年3月期に114億円（前期比2.0倍）へ伸びた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2014年3月に始めたプレミアム空売りサービスは、返済期日が当日限りの一日信用取引の仕組みを使い、他社で売建できない銘柄に10〜20bpの空売り料を課す",
                      "原文": "今年3月からは、一日信用取引を通じて顧客に付加価値を提供する仕組みとして、「プレミアム空売りサービス」を開始した。返済期日が当日限りである一日信用取引の仕組みを利用することで、同業他社において、個人投資家が信用取引で売建できない銘柄を選定している点が特徴である。銘柄毎に課金しているプレミアム空売り料は10〜20bpとなっており、現在の1日平均売買代金は20億〜30億円である。",
                      "source": "松井証券 2014年3月期 決算説明会要旨（2014年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "金融収支は2014年3月期に114億円（前期比2.0倍）となり、2015年3月期はプレミアム空売りサービスの9億円を含めて117億円へ増えた",
                      "原文": "信用取引の平均残高は3,146億円（前期比1.8倍）となった。金融収支は114億円（同2.0倍）となっており、平均残高の増加率よりも大きくなっている。",
                      "source": "松井証券 2014年3月期 決算説明会要旨（2014年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "プレミアム空売りサービスの収益は2015年3月期に9億円、2017年3月期に8.4億円であった",
                      "原文": "一方で、金融収支は117億円（前期比3％増）となり前期実績を上回った。これは、14年3月から開始したプレミアム空売りサービスで、9億円の収益を計上したためである。",
                      "source": "松井証券 2015年3月期 決算説明会要旨（2015年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "この構造は相場に弱い。信用取引のシェアは2014年夏以降横ばいに転じ、2015年にはSBI証券が同種のサービスとHYPER空売りサービスを始めた。松井道夫社長は顧客がSBI証券に移ってはいないと説明した（決算説明会要旨 2015/4/28）。それでも2015年・2017年・2019年・2020年の各3月期は営業収益が減った。2020年、松井道夫社長はネット証券の収益モデルを「過当競争によって崩壊している」（週刊東洋経済 2020/6/13）と語った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "一日信用取引によるシェア拡大は2014年夏以降横ばいとなり、SBI証券が同じサービスとHYPER空売りサービスを開始したが、松井証券は顧客がSBI証券へ移ってはいないと説明した",
                      "原文": "2013年1月から始めた一日信用取引により信用取引のシェアは拡大したが、昨年夏以降から横ばいが続いている。信用取引残高にも大きな変化はない。SBI証券が当社と全く同じサービスを開始した影響も指摘されるが、顧客動向を見る限り、当社の実績に大きな変化が出るほどには、顧客がSBI証券に移ってはいない。SBI証券は、当社より有利な手数料体系を提示しているわけではなく、HYPER空売りサービスも当社のプレミアム空売りサービスを見て値段を設定している。",
                      "source": "松井証券 2015年3月期 決算説明会要旨（2015年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2015年3月期343億円、2017年3月期277億円、2019年3月期273億円、2020年3月期242億円と、営業収益が前期を下回る期が繰り返された",
                      "原文": "営業収益は2014年3月期399億円、2015年3月期343億円、2016年3月期344億円、2017年3月期277億円、2018年3月期322億円、2019年3月期273億円、2020年3月期242億円と推移した。",
                      "source": "松井証券 有価証券報告書（2014年3月期〜2020年3月期・単体）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "松井道夫社長は2020年、ネット証券の収益モデルは過当競争によって崩壊していると述べた",
                      "原文": "ネット証券のビジネスモデルは、私が随分前から言っているように、過当競争によって崩壊している。松井証券がネットを始めたときは、手数料は３０ベーシス（０．３％）。自由化前の１１５ベーシスと比べたら、４分の１ほどだった。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫『社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ』」",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "無料にする相手を選び直した判断",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2006年9月に無料にしたのは、無期限信用取引の売買手数料だった。2013年1月に無料にしたのは、当日限りに区切った信用取引の手数料と金利・貸株料だった。3か月での撤回と7期ぶりの増収増益は、値引きの大きさではなく無料の宛先で分かれた。0.01%台の手数料は長く建玉を持つ顧客に乗り換えの理由を与えないが、1日に何度も回転させる顧客には回数分だけ積み上がる。松井証券が取りにいったのは価格ではなく、価格差が効く客層であった。"
                },
                {
                  "text": "選び直した客層は、そのまま収益の弱さにもなった。手数料を取らない商品へ取引が移り、2016年3月期は売買代金が6%増えても株式等委託手数料はほとんど動かなかった。2017年3月期の営業収益は2割近く減った。代わりに立てた金融収支とプレミアム空売りの品貸料は、相場と貸株の需要に振られる。SBI証券が同種のサービスで追随してからは先行の差も薄れた。松井証券が無料化で得たのは、手数料ゼロが業界の当たり前になるまでの7年である。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "松井証券 2007年3月期 決算説明会要旨（2007年5月7日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2012年3月期 決算説明会要旨（2012年4月26日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2013年3月期 決算説明会要旨（2013年4月25日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2014年3月期 決算説明会要旨（2014年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2015年3月期 決算説明会要旨（2015年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2016年3月期 決算説明会要旨（2016年4月28日・日本証券アナリスト協会作成）",
        "松井証券 2017年3月期 決算説明会要旨（2017年4月28日）",
        "週刊東洋経済 2007年7月21日号「ネット証券フロントランナー 市場のニーズ読み違えた“革命児”松井証券の焦燥」",
        "週刊東洋経済 2020年6月13日号「スペシャルインタビュー 松井証券 社長 松井道夫『社長業30年の自負は古いものを捨てたことだ』」",
        "松井証券 有価証券報告書（2006年3月期〜2020年3月期・単体）",
        "松井証券「一日信用取引 概要・魅力」（https://www.matsui.co.jp/stock/margin/d-margin/about/）"
      ],
      "authored": "2026-08",
      "last_updated": "2026-08-03"
    }
  ]
}
