{
  "spec_version": "3",
  "endpoint": "decision",
  "stock_code": "7806",
  "company_name": "MTG",
  "content_lang": "ja",
  "meta_lang": "en",
  "canonical_url": "https://the-shashi.com/tse/7806/decisions/governance-rebuild-2019/",
  "api_url": "/api/7806/decisions/governance-rebuild-2019.json",
  "updated": "2026-08-09",
  "license": "© 2026 Yutaka Sugiura. All rights reserved.",
  "attribution": "The社史 (the-shashi.com) — https://the-shashi.com/tse/7806/decisions/governance-rebuild-2019/",
  "slug": "governance-rebuild-2019",
  "url": "/tse/7806/decisions/governance-rebuild-2019/",
  "year": 2019,
  "month": 9,
  "schema_version": "1.0",
  "decision_id": "7806-governance-rebuild-2019",
  "type": "governance",
  "tags": [
    "tr-scandal",
    "gv-board",
    "gv-talent",
    "tr-turnaround"
  ],
  "title": "不適切な会計処理を受けた取締役会の刷新と、京セラ出身の大田嘉仁氏の会長招聘",
  "subtitle": "創業社長が退かないまま、統治をどう作り直すか——外から迎えた会長と、入れ替えた取締役会",
  "status": "implemented",
  "status_label": "実施",
  "scheme": null,
  "ratio": null,
  "issue": "不適切な会計処理後の統治の立て直し",
  "decider": [
    {
      "name": "松下剛",
      "role": "社長"
    },
    {
      "name": "取締役会"
    }
  ],
  "highlights": [
    {
      "label": "概要",
      "text": "2019年、上海の子会社などでの不適切な会計処理が不正と認定されたことを受け、MTGが取締役会を刷新し、京セラ出身の大田嘉仁氏を会長に迎えて統治を立て直した経営判断。松下剛社長は辞任せず、業績の回復を自らの責任の取り方とした。"
    },
    {
      "label": "背景",
      "text": "2018年7月の上場から一年で、中国の電子商取引規制の強化により日本・韓国の免税店売上が急減し、業績予想の下方修正が続いた。第三者委員会は、公表数値の未達成は許されないという全社的な風潮と中国への過剰な期待を不正の一因に挙げた。2019年9月期は純損失262億円で、継続企業の前提に疑義が生じた。"
    },
    {
      "label": "内容",
      "text": "2019年9月1日付で大田嘉仁氏が会長に就任し、12月25日の定時株主総会で社外取締役4名を含む取締役会へ改めた。監査等委員会は社外3名で構成し、会計監査人は有限責任監査法人トーマツからPwC京都監査法人へ交代した。あわせて目標値の策定・進捗管理・修正の各過程を見直し、卸先から消費者への販売を示すセルスルー情報を最重要指標に据えた。"
    },
    {
      "label": "含意",
      "text": "創業から一人で社長を務めてきた人物が席にとどまったまま、統治の担保を社外から調達した点にこの判断の特徴がある。制度の側では目標が現場へ降りる経路そのものが組み替えられ、2021年1月には社内の指針が光フィロソフィーとして書き改められた。"
    }
  ],
  "parties": [
    {
      "stock_code": "7806",
      "name": "MTG",
      "role": "当事者",
      "at_deal": {
        "note": "美容機器・健康機器のブランドを開発するファブレス企業。2018年7月に東証マザーズへ上場した直後、上海子会社などの不適切な会計処理が判明した"
      }
    }
  ],
  "dates": {
    "reported": "2019-05",
    "announced": "2019-09",
    "agreed": null,
    "closed": "2019-12",
    "terminated": null
  },
  "breakdown": {
    "reason_type": "shareholder",
    "summary": "上場直後の不適切な会計処理と巨額赤字を受け、取締役会・会計監査人・目標管理の各層を入れ替えて統治を作り直した再建"
  },
  "timeline": [
    {
      "year": 2018,
      "month": 7,
      "title": "東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場"
    },
    {
      "year": 2019,
      "month": 5,
      "title": "上海の子会社などにおける不適切な会計処理の疑いを公表"
    },
    {
      "year": 2019,
      "month": 7,
      "title": "第三者委員会の調査報告書を受領し、取締役会で再発防止策を決議"
    },
    {
      "year": 2019,
      "month": 9,
      "title": "大田嘉仁氏が会長に就任。東証へ改善報告書を提出",
      "highlight": true
    },
    {
      "year": 2019,
      "month": 11,
      "title": "2019年9月期の最終赤字見通しを267億円へ下方修正"
    },
    {
      "year": 2019,
      "month": 12,
      "title": "定時株主総会で取締役会を刷新し、会計監査人をPwC京都監査法人へ変更"
    },
    {
      "year": 2020,
      "month": 9,
      "title": "営業利益12億円で黒字に復帰し、継続企業の前提に関する疑義が解消"
    },
    {
      "year": 2021,
      "month": 1,
      "title": "社内の指針を光フィロソフィーとして新たに策定"
    }
  ],
  "snapshot": {
    "fiscal_year": "2019年9月期",
    "source": "MTG 有価証券報告書（2019年9月期・連結）",
    "companies": [
      {
        "stock_code": "7806",
        "name": "MTG",
        "fiscal_year": "2019年9月期（連結）",
        "president": "松下剛",
        "hq": "愛知県",
        "sales": {
          "num": 360,
          "unit": "億円"
        },
        "segments": [],
        "operating_profit": {
          "num": -144,
          "unit": "億円"
        },
        "ordinary_profit": {
          "num": -147,
          "unit": "億円"
        },
        "net_profit": {
          "num": -262,
          "unit": "億円",
          "note": "親会社株主に帰属する当期純損失"
        },
        "equity_ratio": null,
        "roe": null,
        "employees": {
          "num": 1170,
          "unit": "人",
          "note": "連結・臨時雇用者289人を除く"
        },
        "avg_salary": null
      }
    ]
  },
  "report": [
    {
      "section": "background",
      "label": "背景",
      "subsections": [
        {
          "sub_title": "下方修正が続いた上場一年目",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "MTGが東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場したのは2018年7月で、美容ローラーのReFaとトレーニング機器のSIXPADを抱えた大型上場であった。ところが実質的な上場初年度の2019年9月期は、3月後半に通期予想を大幅に下方修正し、5月10日発表の中間決算では営業利益が7.1億円と前年同期比86%減にとどまった。松下剛社長は、この10年は平均で年4割成長してきたとしたうえで、上場一年生として最も外してはいけない決算だったと語っている。"
            },
            {
              "text": "失速の理由として松下剛社長が挙げたのは、中国で電子商取引に関する規制が強化され、日本や韓国の免税店での売上が予想以上に減ったことであった。5月13日には上海の子会社などで不適切な会計処理の疑いを公表し、第三者委員会の調査を経て不正と認定された。同委員会が一因に挙げたのは、上場直後で公表数値の未達成は許されないという全社的な風潮と、グループ内で唯一成長が見込まれた中国への過剰な期待である。原因は個人の逸脱よりも、目標が現場へ降りる過程に置かれた。"
            }
          ]
        },
        {
          "sub_title": "赤字267億円という着地",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "本決算の発表は11月14日に予定されていたが、当日の昼前に会見の中止が伝えられた。翌15日、韓国の取引先の在庫に関する通報が会計監査人にあったとして開示の延期を発表し、その4日後に2019年9月期の最終赤字見通しを267億円へ引き下げた。従来予想は85億円の赤字であった。株価は11月22日に一時754円まで下がり、公開価格5800円から一年余りでおよそ10分の1になった。東証もこの時期、上場審査の引き締めへ動いていた。"
            },
            {
              "text": "有価証券報告書に残った2019年9月期の数字は、売上高360億円で前期比38.3%減、営業損失144億円、親会社株主に帰属する当期純損失262億円であった。特別損失100億円のうち91億円は減損損失で、そのうち約60億円は名古屋の建物・土地・ソフトウェアなど全社の共用資産が占めている。特定のブランドが行き詰まったのではなく、会社そのものの前提が引き直された。会社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在すると記載している。"
            }
          ]
        }
      ]
    },
    {
      "section": "origin",
      "label": "決断",
      "subsections": [
        {
          "sub_title": "辞めずに、統治を外へ開く",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "12月25日の定時株主総会で、松下剛社長は辞任を求める声に、責任の取り方はさまざまあるが自分の取り方は経営者として業績を回復させることにあると答えた。創業以来ただ一人の社長が席を離れないのであれば、統治の担保は外から持ち込む形をとった。会社は2019年9月1日付で大田嘉仁氏を会長に迎えた。大田氏は京セラで取締役執行役員常務を務め、2010年12月には日本航空の管財人代理として再建に加わった人物で、2018年4月からMTGの顧問にあった。"
            },
            {
              "text": "同じ総会で内部管理体制をどう構築するかを問われた松下社長は、まず取締役を刷新すること、トップにも管理のブレーキがかかり、社外の取締役からもチェックを受ける体制になることを説明した。実際に選任されたのは社外取締役4名で、大和証券グループ本社の取締役を務めた髙橋昭夫氏、企業のリスク管理を国内外で担ってきた大畠豊氏、公認会計士の井関新吾氏、弁護士の清水綾子氏が並ぶ。うち3名が監査等委員会を構成し、委員長には大畠氏が就いた。"
            }
          ]
        },
        {
          "sub_title": "会計監査人の交代と、目標の作り直し",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "会計監査人も同じ総会で替わった。有限責任監査法人トーマツは、再発防止策の実行途上では相当な監査工数の増加が見込まれ、監査人員の確保に不確実性が伴うとして、任期満了にあたり契約の更新を差し控えたいと申し出た。後任のPwC京都監査法人については、新たな視点からの監査が期待できること、独立性・品質管理体制・専門性、グローバルに展開する事業分野への理解を総合的に勘案したと説明されている。監査等委員である取締役も、同じ時期に一身上の都合で辞任していた。"
            },
            {
              "text": "制度の側で最も踏み込んだのは、目標値の扱いであった。9月24日に東証へ提出した改善報告書を踏まえ、会社は目標値の策定・進捗管理・修正の各過程を見直し、現場の実態を軽視した過度な目標値の設定を防ぐと定めた。策定にあたっては裏付け資料を用いて事業本部とブランド本部が協議し、本社管理部門は卸先が消費者に販売した数量と売上を示すセルスルー情報を最重要指標として検証する。企業風土についても、売上・利益の追求以上にコンプライアンスを重視する経営へ変えると書いた。"
            }
          ]
        }
      ]
    },
    {
      "section": "outcome",
      "label": "結果",
      "subsections": [
        {
          "sub_title": "黒字への復帰と、疑義の解消",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "2020年9月期の売上高は348億円と前期をやや下回ったが、営業利益は12億円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億円で、黒字に戻った。吉髙信取締役は決算説明会で、マーケティング費・人件費・研究開発費・荷造運賃などが39億円減り、戦略経費・固定費・活動費のすべてにわたって費用が減少したと説明している。有価証券報告書は、新商品の発売と徹底した経費削減によって業績が回復し、継続企業の前提に関する疑義は解消したと記した。"
            },
            {
              "text": "翌2021年9月期は売上高428億円で前期比22.8%増、営業利益38億円、親会社株主に帰属する当期純利益55億円と伸びた。一方で会社は中期経営計画を示さない方針をとった。吉髙信取締役は、環境の変化が激しい時代には中期計画の前提が大きく変わるとして、約束した単年度の数値をひたすら達成し、それを繰り返すことが最も大切だと述べている。長い絵を示すことよりも、外さない決算を積むことを優先する説明であった。"
            }
          ]
        },
        {
          "sub_title": "外から来た統治が、社内の言葉になるまで",
          "paragraphs": [
            {
              "text": "1年後、松下剛社長はこの間の変化として、ガバナンスの強化と、管理会計・財務会計を含めた数字の見える化の速さを挙げた。数字が速く見えれば、すぐに手を打てる。あわせて、過去10年は平均で130%の成長を続けてきたため赤字という経験がなく、大きな赤字を出したことで全社員のコストと利益に対する意識が変わったとも述べている。大田嘉仁会長については、役員から部長・課長までフィロソフィーの研修を受け、ブレーキだけでなく攻めの側の指導も受けていると説明した。"
            },
            {
              "text": "外から持ち込まれた規律は、1年余りで社内の文書に落ちた。2021年1月1日、会社は従来のMTGフィロソフィーをもとに、経営における哲学であり判断のよりどころとなる指針を光フィロソフィーとして新たに策定した。企業理念のもとに光フィロソフィー・事業ビジョン・グループ経営方式の3つを経営の柱と位置づけ、有価証券報告書にもその体系を記している。招いた会長が持ち込んだ研修は、社内の規程として書き留められた。"
            }
          ]
        },
        {
          "sub_title": "速さを疑うところから始めた再建",
          "editorial": true,
          "paragraphs": [
            {
              "text": "過去10年を平均130%で伸びてきた会社には、赤字の経験がなかった。その速さのまま上場した最初の年に、公表数値の未達成は許されないという空気が社内に満ち、グループで唯一伸びると見られた中国へ期待が集まる。第三者委員会がこの二つを不正の一因に挙げた以上、立て直しは人の入れ替えだけでは足りない。目標値の策定から修正までを組み直し、実需をセルスルー情報で本社が確かめる仕組みを置いたのは、数字が現場へ降りる経路を作り替える作業であったとみることができる。"
            },
            {
              "text": "刷新の対象にならなかったものもある。松下剛社長は責任の取り方を業績の回復に置いて席にとどまり、大田嘉仁会長が役員から課長まで研修を続けた。統治の担保を制度と同時に中期経営計画を示さず単年度の達成を積む選択も、外れ続けた見通しへの反省であると同時に、長い説明を手控えることでもあった。2020年9月期の黒字は費用39億円の削減に支えられており、作り直した統治の効き目をこの時点の数字だけで切り分けることは難しい。"
            }
          ]
        }
      ]
    }
  ],
  "references": [
    "週刊東洋経済 2019年5月25日号「トップに直撃 ＭＴＧ 社長 松下 剛 サブスクで継続客を増やしていきたい」",
    "週刊東洋経済 2019年8月24日号「【第1特集 すごいベンチャー100】審査は再び引き締め機運 ＩＰＯ後に伸びた株落ちた株」",
    "週刊東洋経済 2019年12月7日号「深層リポート03 外しまくって巨額赤字転落 株価低迷ＭＴＧの視界不良」",
    "MTG 第24回定時株主総会 質疑応答要旨（2019年12月25日）",
    "MTG 2020年9月期 決算説明会 質疑応答（2020年11月16日）",
    "MTG 有価証券報告書（2019年9月期・連結）",
    "MTG 有価証券報告書（2020年9月期・連結）",
    "MTG 有価証券報告書（2021年9月期・連結）",
    "MTG 有価証券報告書【沿革】",
    "MTG 有価証券報告書（2019年9月期）【事業等のリスク】",
    "MTG 有価証券報告書（2019年9月期）【役員の状況】",
    "MTG 有価証券報告書（2020年9月期）【会計監査人の異動】",
    "MTG 有価証券報告書（2019年9月期）【対処すべき課題】",
    "MTG 有価証券報告書（2020年9月期）【事業等のリスク】",
    "MTG 有価証券報告書（2021年9月期）【経営方針】"
  ],
  "authored": "2026-08",
  "last_updated": "2026-08-09"
}
