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  "company_name": "ディスコ",
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  "published": "2026-04-09",
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    "location": "広島県呉市",
    "founder": "関家三男"
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    "title": "ディスコの歴史概略",
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        "start_year": 1937,
        "end_year": 1979,
        "main_title": "砲弾研磨から万年筆・ウエハー切断への転換",
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          {
            "title": "呉の軍需下請けから「切断砥石」への転換",
            "text": "1937年5月、広島県呉の海軍工廠で働いていた関家三男が独立し、工業用砥石を製造販売する個人商会「第一製砥所」を創業した。広島県呉は海軍の軍港として軍需工場が集積しており、主な仕事は海軍向けの砲弾を磨くための工業砥石の生産だった。関家三男自身は技術者ではなく、職人を雇って工場を回す経営者型の創業者だったと伝えられている。後発参入で受注には苦労したとされ、終戦までは中小の下請け事業者として運営されていた。戦時経済下で軍需に支えられた小規模事業者は全国に数多く存在したが、戦後までこの事業形態が続いた点に、関家三男の経営者としての粘り強さが表れている。呉の軍需集積地帯で始まった砥石屋という出発点は、後年の半導体装置メーカーとしての姿からは想像しにくい佇まいであった。\n\n戦後、第一製砥所は積算電力計の内部に使う磁石の「切断砥石」生産に舵を切る。従来の「磨く」砥石から「切断する」砥石へ、用途を1歩ずらした領域転換だった。1.2mm間隔で磁石を切断する技術を確立し、この分野で国内シェア100%を握った。1958年11月に有限会社から株式会社へ改組、本社を東京都港区芝に移し、軍需下請けから精密切断砥石メーカーへ業態を切り替えた。創業から約20年を経て、戦後の産業再編の中で得た「切断砥石」という足場が、次の半導体時代の技術的な前身となった。軍需向け砥石という出発点から民需の精密切断領域へ事業の軸足を移す過程で培われた極薄切削のノウハウは、後にディスコが手がける精密装置群の設計思想にも受け継がれた。",
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                "title": "商工ジャーナル",
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          {
            "title": "万年筆と半導体 ── 2つの注文が運命を決めた",
            "text": "1965年、パイロット社からペン先の溝を切る精密砥石を作ってほしいという依頼が来る。共同開発や開発費援助の申し出もあったが、関家憲一は自社単独での開発を選んだ。「1965年になって、ある万年筆メーカーさんからの依頼で、ペン先の溝を切る砥石を開発しました。当時、共同開発とか開発費援助のお話も、いろいろなメーカーからあったらしいのですが、それはお断りして、当社独自で開発しました」（関家憲一 商工ジャーナル 1995/06）。0.14mm（140ミクロン）という当時としては極薄のレジノイド砥石を独自完成させ、ペン先加工で国内市場をほぼ独占となる。ボールペンが普及するまでの十数年間、この事業がディスコの収益を支える柱となった。共同開発を断った判断は、技術を外部に渡さず内製で磨き続けるという、以後の同社の開発文化の原型となった場面でもある。\n\n1968年、同社は半導体製造向け切断砥石の開発を開始する。シリコンウエハーを切断するための極薄砥石だった。1969年12月には米国にDISCO ABRASIVE SYSTEMS社を設立し、半導体メーカーが集積するシリコンバレー近傍に直販拠点を置く動きを取った。1970年9月には精密切断装置を開発・販売開始、1975年2月には半導体用ダイシングソーの販売を開始した。砥石メーカーから、砥石を搭載した精密装置メーカーへの業態転換である。1965年の万年筆向け砥石は「精密」の実績を作り、1968年からの半導体向け切断砥石は「スケール」の入口になった。2つの注文が、ディスコを別々の次元に押し上げた形である。1937年の砲弾研磨から約30年を経て、軍需・民需・ハイテクという3つの領域を縦断した経営転換が完成に近づいていった。",
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          {
            "title": "「ディスコ」への商号変更と米欧アジア同時展開",
            "text": "1977年4月、同社は商号を「株式会社ディスコ」に変更した。「第一製砥所」という砥石屋の名前から、半導体装置メーカーとしてのブランドに切り替える節目である。ディシング（切断）とディスク（砥石）を連想させる社名で、事業の実態と顧客層に合わせた改称だった。1979年2月にはシンガポール駐在員事務所を開設し、同年9月にはHelmut Seier氏との共同出資でスイスにDISCO SEIER AGを設立する。米国・東南アジア・欧州の3地域に販売網を同時に張る体制が1970年代末には整った構図である。半導体産業そのものが日米欧で同時並行に立ち上がっていた時期であり、直販拠点を各地域に置くことで、主要顧客との距離をできるだけ短く保つ戦略が、この時期に打ち出された。稼働後の微調整や消耗品供給が収益を支える構造のなかで、近接した直販網が大きな意味を持った。\n\n1980年1月、ディスコは精密平面研削装置を開発・販売開始する。「切る」に加えて「削る」工程も自社装置でカバーする体制の第一歩である。同じ1980年、ダイシングソーの世界シェアは約60%に達していた。テキサス・インスツルメンツ、モトローラ、フェアチャイルドといった当時の米半導体大手が主要顧客として名を連ねていた時期である。半導体前工程の中でも特にウエハー切断という工程に特化し、他社が参入しない極薄切削の技術で優位を築いていく構造は、この時期にほぼ固まっている。ウエハー切断という地味な工程を専業メーカーが深く掘り下げることで、大手装置メーカーが手を出しにくいポジションを確保した構図である。1968年の切断砥石開発から約12年、ディスコは世界トップのダイシングソーメーカーへ成長した。",
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        "main_title": "拡散炉の失敗と「Disco Values」",
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            "title": "同族経営の第2世代と世界シェア60%",
            "text": "1984年、創業者の関家三男が社長を退任し、息子の関家憲一が第2代社長、関家臣二が代表取締役副社長に就任した。創業から47年、創業家の第2世代への経営移行である。関家憲一体制は、1983年12月に本社を東京都大田区に移転して隣接地に研究開発拠点を新設するなど、開発力の強化に本腰を入れた時期として記憶されている。1984年3月には産業用ダイヤモンド工具事業へ進出し、砥石・ダイヤモンド工具・精密装置を垂直統合で扱う体制を整える。同族経営の第2世代への移行と同時に、開発機能の強化と製品ラインナップ拡充を進めたこの時期は、1980年代後半に向けた成長の助走期間となった。1965年のパイロット向け砥石で自社開発を選んだ第2代社長のスタイルが、R&D投資重視という形で引き継がれていった。\n\n1982年3月に独DISCO DEUTSCHLAND GmbH設立、1989年10月に日本証券業協会の店頭売買銘柄として株式公開を実施する。1980年代のディスコは世界の半導体前工程装置で確固たるニッチトップを占めつつ、資本市場にも登場した時期である。ダイシングソーといえばディスコというブランドが業界内で定着し、同族経営・非上場の中小メーカーというイメージから、専業半導体装置メーカーとして外部からも認知される段階に移行していった。欧州現地法人設立と店頭公開を合わせて実施したことで、資金調達・人材確保・顧客対応の3面で経営基盤を大きく拡充する局面となり、後の多角化と事業集中という振れ幅を生む経営環境がこの時期に整えられていった。資本市場での情報開示義務が課されたことは、後のDisco Values制定に向けた経営規律の面でも布石となった。",
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          {
            "title": "拡散炉の50億円 ── 多角化の失敗が残したもの",
            "text": "1992年、ディスコは新規事業として進めていた「半導体拡散炉」から撤退し、50億円の損失を確定した。拡散炉は半導体ウエハーに不純物を拡散させる熱処理装置であり、ダイシングソーとは工程も顧客構成も異なる領域である。半導体需要の低迷と重なってディスコは最終赤字に転落し、賃金カット・残業規制・早期退職制度の導入という創業以来初の本格的な経費削減策に踏み込んだ。「切る・削る・磨く」という同社の中核技術とは異なる領域に広げたことが、需要悪化時に重い固定費として跳ね返った形である。創業以来55年、初めて本業の周辺に出て大規模損失を抱えた経験は、以後の同社経営思想を決定づける転機となり、後に関家一馬が繰り返し引用する経営教訓の源泉ともなった。\n\nこの失敗が、ディスコの経営思想を決定的に変えた。1997年、同社は「Disco Values」を制定する。事業領域を「切る・削る・磨く」の3つに限定し、それ以外の新規事業への投資を停止するという経営憲法である。同時に、社内通貨「Will」制度を導入し、経常利益に応じて社員が使える経費の枠を変動させる仕組みを組み込んだ。利益が出れば各部門・各社員の経費権限が拡大し、利益が縮めば権限も縮む構造である。1992年の拡散炉撤退で学んだ、本業以外に広げた固定費が会社を追い詰めるという教訓を、社員一人一人のインセンティブに直接埋め込む装置として設計された仕組みだった。事業領域の制約と金銭的インセンティブを組み合わせ、経営の方向性と社員の行動原理を同期させることを目指した。",
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            "title": "東証一部上場と2000年代の製品刷新",
            "text": "1999年12月、ディスコは東京証券取引所市場第一部に株式を上場する。1989年の店頭公開から10年での一部昇格だった。2002年8月には精密切断装置「レーザソー」を開発・販売開始し、砥石式ダイシングソーの次世代としてレーザー切断への対応を進めた。2003年11月には全自動グラインダ/ポリッシャ装置を開発・販売開始し、「磨く」工程の自動化装置を本格的に揃える。1997年の「切る・削る・磨く」に絞った宣言を、装置ラインナップとして具現化していく期間だった。拡散炉撤退の教訓を経営憲法に組み込んだ時期から約5年、事業領域を制約しながら、その内部では製品深化が進んでいたことを示す動きだった。レーザー切断と全自動化という2つの軸は、その後の同社製品群の中心を占める重要な技術基盤となる。\n\n2004年11月には本社・R&Dセンターを東京都大田区大森北に新設・移転した。FY05（2006年3月期）の売上は689億円、営業利益139億円（営業利益率20.2%）と、中堅半導体装置メーカーとして安定した収益構造を示していた。1992年の赤字転落から約15年、1997年のDisco Values制定から約10年を経て、事業集中と社内通貨の組み合わせが実際の業績に反映され始める時期である。2007年3月期には売上862億円、営業利益195億円と規模拡大も続き、次の成長段階への助走となった。リーマン・ショック前夜の好調な半導体装置市場のなかで、ディスコはすでに20%超の営業利益率を実現する状態にあり、後の40%台という収益水準への伏線は、この時期から静かに描かれ始めていた。事業集中とWill制度の組み合わせが、市況拡大期にはスケールメリットとして働く構造がここで確認できる。",
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        "start_year": 2008,
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        "main_title": "リーマン・ショック後の自律経営と生成AI時代への助走",
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            "title": "関家一馬の登場とリーマン・ショック直撃",
            "text": "2008年、関家憲一から関家一馬へ社長がバトンタッチされた。第3代の同族経営者である。就任直後のFY08（2009年3月期）、世界金融危機で半導体装置業界は需要蒸発に直面し、ディスコの売上は前年の916億円から531億円へ約42%減、営業利益は0.8億円まで縮んだ。しかし最終赤字には陥らず、1997年のDisco Values以来の固定費コントロールが危機局面で機能した形である。1992年の拡散炉撤退による赤字転落と比べると、同じ外部ショックでも会社の反応が明らかに変わっていたことを、この決算数字が示している。社内通貨Will制度の下で、利益が縮めば経費権限も自動的に縮むという仕組みが働き、現場が自発的にコスト抑制へ動く体制が機能した結果と言える。拡散炉の失敗から得た経営教訓を制度に落とし込んだ効果が、ここで目に見える形で現れた。\n\nFY09（2010年3月期）には売上617億円・営業利益46億円に回復し、FY10には売上997億円・営業利益159億円と早期に成長軌道に戻った。関家一馬の基本方針は明快で、「市場の動きに出荷を合わせるように柔軟性を付け、一方で営業利益率を引き上げて財務的なバッファーを持つ経営に力を入れてきました」（関家一馬 日経ビジネス 2023/08）と後年に語っている。半導体市況の振れ幅が大きいことを前提に、出荷のフレキシビリティと高営業利益率の両立を経営の設計思想として打ち出した格好である。固定設備型の半導体装置メーカーにとって、受注変動を吸収する柔軟性と高営業利益率を両立する発想は当時としては珍しく、Will制度と事業集中の組み合わせがその基盤として働いた。設計思想を明示した関家一馬のスタンスは、同社の次の10年を決める出発点ともなった。",
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            "title": "世界シェア70%と国内生産拠点の拡充",
            "text": "2010年頃、ダイシングソーの世界シェアは約70%まで拡大した。1980年代の60%からの漸増である。台湾TSMC、韓国サムスン電子、中国半導体各社へと半導体生産の重心が移る中、ディスコはアジア顧客への対応で地歩を固めた。2010年6月に長野県茅野市に茅野工場A棟、2012年1月に広島事業所の呉工場C棟、2015年1月に桑畑工場A棟Bゾーンと、国内生産拠点の増築が続いていく。海外に生産を移さず、国内の主力3拠点（大田区本社・広島事業所・茅野工場）で生産する体制を維持した点も同社の特徴である。地政学リスクと品質管理の両面から国内生産に拘る選択は、グローバル展開を進める競合他社と対照的で、創業地である呉から派生した広島事業所を今も生産の一翼として維持する点に、同社の歴史的な連続性が表れている。\n\n2018年4月には長野事業所を新たに開設し、茅野工場を包含する広域拠点として再編した。2019年1月・2021年1月・2021年8月と、広島と長野の両事業所で棟を追加する動きが順次続く。FY17（2018年3月期）の売上は1,674億円・営業利益510億円・純利益372億円で、当時の過去最高益を更新した水準である。FY20（2021年3月期）には売上1,829億円・営業利益531億円・純利益391億円に達する。リーマン・ショックのFY08からちょうど10年強で、売上は3倍超、営業利益は実に約70倍（1992年赤字時との比較ではさらに大きい）に拡大した計算となった。1997年のDisco Valuesで決めた事業集中と、関家一馬の下で強化された柔軟性路線が、半導体前工程向けダイシングソー・グラインダ市場の拡大を全面的に取り込んだ成果として業績に現れた時期である。事業集中と国内生産を維持しながら成長を描くモデルが、この時期に確立された。",
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            "title": "羽田R&Dとプライム市場 ── 生成AI前夜の助走",
            "text": "2022年3月、ディスコは羽田R&Dセンターを開設した。首都圏でのR&D機能を本社・大田区以外にも確保する動きである。同年4月に東京証券取引所の市場区分見直しでプライム市場に移行し、同時にFY21（2022年3月期）は売上2,537億円・営業利益915億円・純利益662億円を記録した。営業利益率は36.1%に達しており、1997年のDisco Values制定時には想像もできなかった収益性に到達している。事業領域を「切る・削る・磨く」に絞る経営憲法が、25年後に歴史的な収益水準を生んだ結果である。拡散炉の失敗から学んだ「制約を自ら課す」経営設計が、四半世紀後に半導体業界の構造変化を受けて初めて具現化された時期と言える。プライム市場への移行は同時にガバナンス面での対外的な節目ともなった。\n\nこの時期のディスコは半導体前工程ニッチトップ・高収益構造・国内集中生産という3点セットで知られていた。関家一馬は独特の社内経営思想を明示的に語るようになり、テレビ東京「カンブリア宮殿」（2012年3月）やその後の複数メディアでWill制度・自律経営が取り上げられる機会が増えていった。ユニークな組織運営は外部から観察されるほどになり、1997年のDisco Values制定以来続けてきた経営実験が、外部の評価を得る段階まで成熟していた。生成AIブームという外部環境の追い風を受け止める準備が、内部体制の面でも整っていた時期である。1937年の創業から85年を経たディスコは、歴史上最も好調な市場環境へ進入する直前の局面にあった。砥石屋から世界の半導体前工程装置ニッチトップへと辿り着いた変遷の、さらに次の段階が始まろうとしていた。",
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      "title": "サマリー",
      "text": "1937年に広島県呉の海軍工廠から独立した関家三男が砲弾研磨用の工業砥石で始めた町工場は、戦後になって積算電力計用磁石の「切断砥石」に舵を切り、1958年11月に株式会社化して本社を東京都港区芝へ移した。1965年のパイロット社向け0.14mmレジノイド砥石、1968年のシリコンウエハー切断砥石と、他社が踏み込まなかった精密加工領域へ技術を順次伸ばしていく。1969年には米国にDISCO ABRASIVE SYSTEMSを設立して半導体メーカー集積地に直販拠点を置き、1975年には半導体用ダイシングソーの販売を開始、1977年4月に商号を「株式会社ディスコ」へ変更した。ダイシングソー世界シェアは1980年時点で約60%、2010年代には約70%に達し、半導体前工程の極薄切削領域でニッチトップの地位を固めた。砥石屋から精密装置メーカーへの業態転換が、この期間を通じて完成した。\n\nしかしこの会社には「事業集中」を決定づけた失敗がある。1992年に半導体拡散炉事業から撤退し50億円の損失を計上、賃金カット・残業規制・早期退職制度の導入という創業以来初の本格的な経費削減策に踏み込んだ。1997年に制定された「Disco Values」は事業領域を「切る・削る・磨く」の3つだけに限定する経営憲法であり、同時に社内通貨Willで経常利益を社員の経費権限に連動させる仕組みを組み込んだ。1999年12月には東証一部に上場し、2008年からは第3代の関家一馬が社長としてDisco Valuesを自律経営体制として運用してきた。この体制のもとで、FY24（2025年3月期）は売上3,933億円・営業利益1,668億円・営業利益率42.4%という生成AI時代の象徴的な数字に到達している。HBM・先端ロジック向けパッケージングで高精度化への要求が一段と高まったことが、その背景にある。"
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    "title": "直近の動向と展望",
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        "title": "営業利益率42% ── 生成AI特需の象徴",
        "text": "FY24（2025年3月期）、ディスコは売上3,933億円・営業利益1,668億円・純利益1,239億円を記録した。営業利益率は実に42.4%である。FY22（2023年3月期）の売上2,841億円・営業利益1,104億円、FY23（2024年3月期）の売上3,075億円・営業利益1,214億円から、FY24で売上28%増・営業利益37%増と、生成AI向け半導体需要の加速を直接反映した業績となった。HBM（高帯域メモリ）・先端ロジック向けパッケージングで、ウエハー切断・研削・研磨の高精度化への要求が一段と高まったことが背景にあり、ディスコが1968年以来積み上げてきた極薄切削の技術基盤が、ここで差別化要素として顕在化した格好である。数十マイクロメートル以下の精度でウエハーを切断・研磨する工程での同社の存在感は、他社が簡単に置き換えられない水準にまで高まっていた。\n\n関家一馬はこの生成AI特需を「切る・削る・磨く」への事業集中の結果として説明する。「生成AI向けの装置で強い引き合いが来ているのは、われわれが『切る・削る・磨く』領域に技術を絞り込んでいて、この分野での解決力とリソースを最も持つからだ」（関家一馬 東洋経済オンライン 2024/12）、「顧客の半導体メーカーが最先端品を展開する際には、その領域で最も深い知見を持っているパートナーを選ぶ」（関家一馬 東洋経済オンライン 2024/12）と語る。1992年の拡散炉撤退、1997年のDisco Values制定、2008年以降の関家一馬による自律経営 ── この3つの節目を経て積み上げた事業集中の姿勢が、生成AI時代の収益構造として目に見える形で現れている。拡散炉の失敗なくしてDisco Valuesはあり得ず、Disco Valuesなくして現在の高収益もあり得ないという歴史的連続性が、決算数字の背景にはある。",
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        "text": "関家一馬は自身の経営哲学について「ユニークであることは、狙っていない。ある課題に対するベストな解決策が、たまたまユニークだった」（関家一馬 日経ビジネス 2024/10）、「狙っているのではなくて、ユニークを恐れない。他社がやっていない、聞いたことがないといっても、これがディスコのベストソリューションと思えばやろう」（関家一馬 日経ビジネス 2024/10）と語っている。Will制度の本質は「社員それぞれが（日常の企業活動を）自分のこととして考えるかどうか」（関家一馬 日経ビジネス 2023/08）にあると本人は表現する。利益と個人の経費権限を連動させることで、会社を社員にとっての「自分ごと」にする仕組みとして設計されている。1992年の苦い経験を出発点に四半世紀以上かけて練り上げてきたこの経営思想が、現在の高収益体質を支える位置づけとなっている。\n\n半導体装置業界は生成AIブームが一巡したときの反動、中国半導体業界の地政学リスク、顧客集中リスクなど複数の外部要因に同時に晒されている。ディスコの場合、FY24の営業利益率42%という水準は構造的に維持できるものではなく、需要調整局面でどこまで柔軟に出荷を絞れるかが次の焦点となってくる。市場の動きに合わせて出荷を柔軟に調整する力と、高営業利益率によって財務バッファーを確保する姿勢という二本柱は、1992年の苦い経験から1997年に明文化された経営思想の延長線上にあり、次の半導体サイクルの谷でもこの設計思想が再び試される。1937年の呉で始まった砥石屋が、生成AI時代の先端装置メーカーとして確立した経営モデルの耐久性が、これから問われていく局面である。",
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