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  "title": "直近の動向と展望",
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      "title": "なぜ5000億円の失敗を15人チームの技術が取り返せたのか（筆者所感）",
      "text": "2005年9月、三共と第一製薬は株式移転方式で共同持株会社「第一三共」を発足させた。翌年に米国でメバロチン特許切れを控え、単独では新薬開発費と販売網を抱えきれないとの危機感が動機だった。初代社長の庄田隆氏が示した戦略の表看板は、旧三共の高血圧薬オルメサルタン軸の欧米市場での自前販売網構築である。2007年4月の吸収合併で、旧三共の抗体研究と旧第一製薬の薬物「DX-8951」が同じ社内に並んだが、その意味はまだ誰にも見えていなかった。\n\nこのオルメサルタン軸を補強するため、2008年11月にインド最大手のランバクシー・ラボラトリーズを約5000億円で買収した。だが買収直後に同社の品質問題が発覚し、2010年に米FDAがランバクシー子会社製の後発薬承認を却下、米国向け輸出が停止した。買収前のデューデリジェンスで見抜けなかった製造現場の実態が、統合の前提を崩した。2009年3月期に同買収の減損等を主因に純損失2155億円を計上、合併4年で統合シナジーを食い潰した。同年6月、庄田社長から中山讓治氏に社長が交代し、2015年3月にランバクシーをサン・ファーマシューティカルへ実質譲渡した。\n\nところが同じ2010年、買収が軋みを立てていた裏で、第一三共は社内で約15名の陣容で抗体薬物複合体（ADC）の研究に着手していた。リンカー設計の難しさから大手が次々開発を中止した領域で、競合が手薄だからこそ勝機があると判断した賭けだった。統合で偶然結合した旧三共の抗体技術と旧第一製薬の「DX-8951」を結びつけた「DXd」リンカー技術は、2015年に対外発表され、2019年12月にFDAがエンハーツをHER2陽性転移性乳がんの3次治療薬として承認した。2019年にアストラゼネカと共同開発契約を結び一時金13.5億米ドルを受領、エンハーツはFY25にグローバル売上5528億円まで拡大し、ランバクシーで開いた2155億円の穴を埋めた。\n\nこうして「外を買う」表戦略は、「中で作る」を制度化する形へ反転した。2022年6月就任の奥澤宏幸社長は、2023年10月に米国メルクとDXd ADC3製品の共同開発提携を結び、2024年12月にはグリコトープ社から抗体の知財権を約220億円で買い取り6番目のADC「DS-3939」を自社開発に組み込んだ。一発の巨額買収から、必要な要素を必要なだけ買う経営への静かな転換である。だが、FY25にエンハーツが連結売上1兆8863億円の約29%を占める単品依存は、ランバクシー買収時に嫌った構造を自前の新薬で再現した。",
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