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  "title": "直近の動向と展望",
  "subsections": [
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      "title": "広告一点集中の高投資モデルから収益性重視への組み替え",
      "text": "1899年に創業者の山田安民氏が信天堂山田安民薬房を起こした後、1909年「ロート目薬」と1954年「シロン」を主力に据え、山田輝郎氏が少品種超量産で胃腸薬・目薬それぞれ国内シェア40%を取った。1983年に胃腸薬首位を競合へ譲り、症状別細分化への対応遅れが露呈。1975年8月のメンソレータム商標取得と1988年7月の米メンソレータム社買収で軟膏を第三の柱に据え、1991年に中国で合弁を組んでアジア基盤を作り、2001年からのスキンケア投資で肌ラボを第四の柱に育てた。一方、売上高の約27%を広告へ投じる高投資型モデルは、2012年以降の国内スキンケア成熟期に営業利益貢献の伸び悩みとして表れ、1983年と同じ広告依存の問題が再び表面化した。\n\n2018年に吉野俊昭社長が急逝し、山田邦雄会長が会長兼社長へ復帰したのち、2019年6月に武田薬品工業子会社出身の杉本雅史氏が同社初の社外出身社長として就任した。杉本社長は健康の総合企業への転換を方針に据え、広告宣伝費を積み増す配分から、横ばいに据え置きつつ営業利益を取りに行く配分へ切り替えた。FY2017〜FY2022で広告宣伝費・販売促進費を448億円から464億円へ横ばいに抑えつつ、営業利益を190億円から339億円へ約1.8倍に拡大し、2022年3月期は3期連続で利益率が改善した。創業125年を超え、ロート製薬は山田家5代の同族経営のもとで、大衆薬中心の事業構造から皮膚科学発の研究開発とアジア生産網へ資本配分を寄せる段階にある。\n\n主な投資先は東南アジア生産網と肌ラボに集中している。2010年前後から東南アジアへの生産投資を積み増し、需要地近接の製造拠点を置くことで輸送コストと為替リスクを抑え、各国の規制や嗜好に即した製品開発を速める体制を組んだ。中国売上はFY2010の119億円からFY2015に347億円へ伸び、FY2016に246億円へ一時後退したのち、FY2022に379億円まで戻した。1991年の中国合弁を起点としたアジア事業は、販売網拡張から現地生産併設へ重心を移している。並行して2001年から本格投資した肌ラボは推定売上高が2005年15億円から2011年136億円へ約9倍に伸び、第四の柱として国内収益を下支えした。\n\nロート製薬の125年は、主力品を継ぎ足しながら山田家5代で意思決定の独立性を保った歴史である。1899年の胃腸薬・1909年の目薬・1975年のメンソレータム・2001年の肌ラボと、4世代分の主力を市場成熟ごとに重ねた。一方、売上原価とほぼ同額の広告を主力品に集中投下して第一想起を取る販売手法は、1980年代の症状別細分化と2012年以降のスキンケア成熟の二度にわたって利益率低下として跳ね返り、拡大期に機能した広告集中・少品種モデルが、成熟期には品揃え機動力と広告効率の両面で重荷になる構図が浮かんだ。杉本社長体制下のロート製薬は、広告依存の収益構造を残したまま胃腸薬・目薬・軟膏・スキンケアを同居させる事業ポートフォリオを、皮膚科学発の研究開発とアジア生産網への資本配分で組み替えている段階にある。",
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          "title": "有価証券報告書",
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        {
          "title": "日経ビジネス",
          "year": 2018,
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        {
          "title": "日本経済新聞",
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  "summary": [
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      "label": "歴史的背景",
      "body": "1899年に創業者の山田安民氏が大阪で信天堂山田安民薬房を起こし、胃腸薬・目薬・メンソレータム・スキンケアと主力品を継ぎ足す形で、山田家5代の同族経営が経営権を維持してきた。少品種超量産と広告一点集中により胃腸薬・目薬それぞれ国内シェア40%を取り、産業の成熟期に合わせて主力品と販売網を再配分してきた。"
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      "label": "経営課題",
      "body": "拡大期に通用した広告一点集中型の高投資モデルは、2012年以降の国内スキンケア成熟期に営業利益貢献の伸び悩みとして表れ、1983年の胃腸薬首位陥落と同じ広告依存の問題が再来した。山田家5代の同族経営のもと、大衆薬中心の事業構造から総合ヘルスケア企業へ移行できるかが、創業125年目の経営課題である。"
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      "label": "経営方針",
      "body": "2019年6月、武田薬品工業子会社出身の杉本雅史氏が同社初の社外出身社長として就任し、「健康の総合企業に」（日本経済新聞2019/07/30）を方針に掲げた。広告宣伝費を積み増す配分から、横ばいに据え置きつつ営業利益を取りに行く配分へ切り替え、2022年3月期は3期連続で利益率を改善した。"
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    {
      "label": "主な投資",
      "body": "2010年前後から東南アジアへの生産投資を積極化し、販売拠点の拡張にとどまらず、需要地に近い場所へ製造拠点を置くことで輸送コストと為替リスクを抑えた。中国売上はFY2010の119億円からFY2022の379億円へ約3倍に拡大し、販売網中心の段階から現地生産併設の段階へ重心が移った。"
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