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      "title": "導入品依存からの転換と、独創品開発に向けた新研究所の建設",
      "subtitle": "「人真似の歴史」と自ら断じた塩野孝太郎 氏は、売上の拡大を止めてまで何に投じたか",
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      "issue": "技術導入依存からの脱却と研究開発体制の確立",
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          "label": "概要",
          "text": "1950年代後半から1962年にかけて、塩野義製薬が外国からの技術導入に頼る製品構成を改め、自社創製の独創品と研究所への投資を経営の軸に据えた経営判断。1961年に新研究所が完成し、1962年3月には社長の塩野孝太郎 氏が社内へ「人真似の歴史」からの転換を宣言した。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "戦後の塩野義は米ロッシュ・米リリー・仏ローンなどとの技術提携で優秀技術の導入に努め、製品には技術導入によるものが多かった。塩野孝太郎 氏は後年、当時を「薬らしい薬はなかった」と回想し、毎年外国へ出向いて良い品を探していたと語っている。ペニシリンの国産化には失敗していた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "売上の拡大を止めてでも研究所を建てるという選択がとられた。当時を伝えるダイヤモンド臨時増刊は、世間から売り上げも拡張せずに何をやっているのかと言われたが、国際競争を目指すには完備した研究所が必要だとしてその建設を断行した、と記している。あわせて販売現場の「プロパー」を「ディテールマン」へ改称した。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "1958年に自社創製の持続性サルファ剤シノミンが生まれ、1960年にはロシュ社と技術輸出契約を結んだ。導入する側から出す側へ立場が入れ替わる転換であり、以後の抗生物質、さらには感染症に特化する現在の事業構成の源流がここに置かれた。"
        }
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            "note": "道修町の薬種問屋を起源とする製薬会社。戦後は外国からの導入品と製剤技術で製品構成を組み立てていた"
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          "title": "和歌山・淀川・神崎川・泉尾の各工場を順次休止し、杭瀬・浦江・赤穂の3工場へ集中"
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          "title": "二代塩野義三郎の逝去にともない塩野孝太郎が社長に就任"
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          "title": "「人真似の歴史」からの転換を社内へ宣言し、プロパーの名称を廃してディテールマンへ改称",
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          "title": "創業90周年にあたり摂津工場を完成"
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            "name": "塩野義製薬",
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              "sub_title": "導入品と製剤技術で組み立てた戦後",
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                {
                  "text": "戦後の塩野義製薬の製品構成は、外国から持ち込んだ技術の上に載っていた。米ロッシュ社とサルファ剤サルファジン、米リリー社と抗生物質アイロタイシン、フランスのローン社と冬眠薬ウインタミン、ピレチアジンについて技術提携を結び、優秀技術の導入に努めたと当時の記録は書き残している。社長の塩野孝太郎 氏は後年、この時期を振り返って「薬らしい薬はなかった」と述べ、毎年外国へ行っては「いいものはありませんか」と尋ねて回っていたと語っている。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "塩野義は米ロッシュ社とサルファジン、米リリー社とアイロタイシン、フランスのローン社とウインタミン・ピレチアジンについて技術提携を行い、優秀技術の導入に努めた",
                      "原文": "この間、米国ロッシユ社との間にサルファ剤サルファジン、米国リリー社との間に抗生物資アイロタイシン、フランスのローン社との間に冬眠薬として最近特に脚光を浴びているウインタミン、ピレチアジン等の最新薬に関する技術提携を行い、優秀技術の導入に努めた。",
                      "source": "会社銀行八十年史 2篇 日本会社史（1955年）「塩野義製薬」",
                      "url": "https://dl.ndl.go.jp/pid/3043712/1/382"
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                      "fact": "塩野孝太郎は当時を「薬らしい薬はなかった」と回想し、毎年外国へ行って「いいものはありませんか」と尋ねていたと語った",
                      "原文": "「薬らしい薬はなかった」「毎年外国へ行って、「いいものはありませんか」」",
                      "source": "塩野孝太郎（追想録・非売品、1990年）",
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                {
                  "text": "自力で新しい薬をつくる試みが実らなかったわけでもない。ただ、その代表例は失敗として記憶された。塩野孝太郎 氏は「ペニシリンの製造は完全に失敗」と語っており、1968年に会社が編んだ社史も「ペニシリンの失敗」「工場の売却」という章題でこの時期を扱っている。生産の面では、1949年7月と1950年9月に和歌山、淀川、神崎川、泉尾の4工場を休止し、機械と人員を杭瀬、浦江、赤穂の3工場へ集めた。規模を広げるより体力を一点に寄せる選び方が、この会社には先にあった。",
                  "evidences": [
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                      "原文": "「ペニシリンの製造は完全に失敗」",
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                      "原文": "米国医薬の発達は、わが国医薬界に一大革命をもたらし、当社としても設備、技術の近代化、生産工程の全管理、研究陣容の強化等、企業合理化の必要を痛感し、二十四年七月および二十五年九月に和歌山、淀川、神崎川、泉尾の四工場を休止し、その機械および人員を杭瀬、浦江、赤穂の三主力工場に集中するとともに機械設備の拡充改良を行つて機械化を図り経費の節減、能率の増進に力を注いだ。",
                      "source": "会社銀行八十年史 2篇 日本会社史（1955年）「塩野義製薬」",
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              "sub_title": "外からも見えていた弱さ",
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                {
                  "text": "導入依存は社外の評価にも現れていた。1957年10月、読売新聞は塩野義について、製品には技術導入による分が多く、優秀なものもあるが、それだけにかえって自主的に伸びる力があるかどうか疑問視されている、と書いた。同紙は今後は国産化の推進など自力を養うことが必要だとも指摘している。良い薬を持ってくる力と、良い薬を生む力は別物であるという見方が、この時点で外部から突きつけられていた。",
                  "evidences": [
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                      "fact": "1957年10月、読売新聞は塩野義について製品には技術導入による分が多く、自主的に伸びる力があるかどうか疑問視されていると報じた",
                      "原文": "「製品には技術導入による分が多く、優秀なものもあるが、それだけにかえって自主的に伸びる力があるかどうか疑問視されている」「今後は国産化の推進など自力を養うことが必要だ」",
                      "source": "読売新聞 1957年10月23日「塩野義製薬」",
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                {
                  "text": "経営の側でも代替わりがあった。1953年12月、二代社長の塩野義三郎 氏が逝去し、塩野孝太郎 氏が跡を継いだ。市場そのものは追い風であった。1961年には国民皆保険制度が始まり、保険財源に支えられた処方薬市場は各社に安定した投資機会を与えている。国内工場を積み増せば売上が伸びる時代に、その伸びを取りにいかない道を選べるかどうかが、この会社の分かれ目となった。",
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                      "fact": "1953年12月に二代社長の塩野義三郎が逝去し、塩野孝太郎が社長を継いだ",
                      "原文": "なお、二十八年十二月二代社長塩野義三郎氏の逝去に伴ない塩野孝太郎氏があとを襲つた。",
                      "source": "会社銀行八十年史 2篇 日本会社史（1955年）「塩野義製薬」",
                      "url": "https://dl.ndl.go.jp/pid/3043712/1/382"
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                    {
                      "fact": "国民皆保険制度は1961年に始まり、保険財源に支えられた処方薬市場の拡大が製薬各社に投資機会を与えた",
                      "原文": "当時の国内市場は1961年に始まった国民皆保険制度の拡大期にあり、海外展開よりも国内供給能力の増強が経営の優先課題だった。",
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
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                {
                  "text": "選ばれたのは、売上の拡大より研究設備への投資であった。1967年のダイヤモンド臨時増刊は、塩野義は売り上げも拡張せずに何をやっているのかと世間から言われたが、国際競争を目指すためには完備した研究所が必要だとしてその建設を断行した、と当事者の言葉を伝えている。同誌は塩野義の研究所について、これが私企業の研究施設かと思うほど近代的で完備している、とも記した。新研究所は1961年に完成している。",
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                      "原文": "「当社の研究所をみると、これが私企業の研究施設かと思うほど、近代的で完備している。塩野義は売り上げも拡張せずに何をやっているのかと世間から言われたが、国際競争を目指すためには、完備した研究所が必要だと、その建設を断行した」",
                      "source": "ダイヤモンド臨時増刊 1967年2月25日「着実な歩みを続ける塩野義製薬」",
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                      "原文": "三三年新持続性サルファ剤「シノミン」の開発によって三五年ロシュ社と技術輸出契約を締結。三六年には、世界に誇る新研究所が誕生。",
                      "source": "企業の歴史 : 明治百年（経済春秋社, 1968年）",
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                {
                  "text": "国際水準を目標に置く発想は、この会社では敗戦の日にさかのぼる。1945年8月、社内に向けて、いままでの窮屈な統制時代は去ってわれわれは自由になる、ただ覚悟しなければならないのは今後は世界が相手になることだ、国際水準を目標に努力し精進しなければ生き残ることはできない、と語られていた。ダイヤモンド臨時増刊はこの考え方が次の世代にも受け継がれたと評している。研究所の建設は、その約20年後に置かれた出費の伴う実行であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1945年の敗戦時、塩野義の社内では「今後は世界が相手になる」「国際水準を目標に努力し精進しなければ生き残ることはできない」と語られ、その考え方が次の世代にも受け継がれた",
                      "原文": "「ただ、覚悟しなければならないのは、今後は世界が相手になることだ。われわれは何事も、国際水準を目標に努力し、精進しなければ生き残ることはできない」「いまから20年あまりも前に、今日の国際化時代を予見した経営者はそうざらにあるまい。しかもそれが敗戦の日だったというのだから、まことにもって恐れ入らざるをえない。この考え方は、次の世代にも受け継がれた」",
                      "source": "ダイヤモンド臨時増刊 1967年2月25日「着実な歩みを続ける塩野義製薬」",
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            {
              "sub_title": "「人真似の歴史」からの決別と、売り方の建て直し",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "1962年3月、塩野孝太郎 氏は社内に向けて過去を名指しで否定した。シオノギの歴史も、日本の製薬業の歴史も、いや日本の産業の歴史も人真似の歴史であったといっても過言ではない、人の真似をして安く売るのが商売の常道であった、過去のシオノギも決してこれらの例外であったとは申せません——自社の来歴を業界の悪癖と並べて置いた物言いであった。そのうえで、輸出産業として成長するには独創品とその技術輸出が鍵になると説いている。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "塩野孝太郎は1962年、シオノギの歴史も日本の製薬業の歴史も「人真似の歴史」であり、過去のシオノギも例外ではなかったと社内へ語った",
                      "原文": "「シオノギの歴史も、日本の製薬業の歴史も、いや日本の産業の歴史も、人真似の歴史であったといっても過言ではないと思います。人の真似をして安く売るというのが、商売の常道であったのです。現在、わが製薬界のあちらこちらで、なおそれが堂々と行われているのは、みなさんにも周知の事実でありましょう。過去のシオノギも、決してこれらの例外であったとは申せません。」",
                      "source": "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
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                    {
                      "fact": "輸出産業として成長するには「独創品とその技術輸出」が鍵であるとされた",
                      "原文": "「輸出産業として成長するには\"独創品とその技術輸出\"がカギ」",
                      "source": "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
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                },
                {
                  "text": "転換は研究の側だけにとどまらなかった。同じ場で、今日からプロパーの名称を廃してディテールマンとする、内容を新たにする覚悟でこの名を受け取ってほしい、と販売現場の呼称変更が告げられた。従来のプロパガンダはペコペコして相手に取り入る立場であったが、ディテールは相手が聞いてよかったと思い、もっと聞こうとさせるものである、という説明がそれに続く。価格だけで安売り競争をしてはならない、という一線も同時に引かれた。作る側を変えるなら売る側も変える、という組み立てであった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1962年3月、プロパーの名称を廃してディテールマンと改め、内容を新たにする覚悟でこの名を受け取るよう社内へ求めた",
                      "原文": "「従来のプロパガンダは、ペコペコして相手に取り入る立場であったが、ディテールは、相手が聞いてよかったと思い、もっと聞こうとさせるものである。そこで、今日からプロパーの名称を廃し、ディテールマンと解消する。内容を新たにする覚悟でこの名を受け取ってもらいたい」",
                      "source": "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
                      "url": null
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                    {
                      "fact": "有効物質・薬理作用・製剤・包装などあらゆる点で消費者余剰の多いものでないと売らないとし、価格だけで安売り競争をしてはならないとした",
                      "原文": "「すなわち、有効物質、薬理作用、製剤、包装など、あらゆる点で消費者余剰の多いものでないと売らない。消費者の健康状態の確認を行い、それに対応する消費者余剰の多いシオノギ製品をすすめるのがでティテール活動である。価格だけで安売り競争をしてはならない。」",
                      "source": "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
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                {
                  "text": "宣言より先に、成果は出ていた。1958年、塩野義は持続性サルファ剤シノミンを自社で創製し、これを足がかりに1960年にはロシュ社と技術輸出契約を締結した。かつてサルファ剤の技術を受け取った相手に、今度は自社の技術を渡す立場になっている。製剤技術、とりわけ顆粒の製造技術はアメリカの会社に提供するほどの水準に達したとも記録された。導入で足りない分を埋める会社から、渡すものを持つ会社へと位置が入れ替わった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1958年に持続性サルファ剤シノミンを開発し、1960年にロシュ社と技術輸出契約を締結した",
                      "原文": "三三年新持続性サルファ剤「シノミン」の開発によって三五年ロシュ社と技術輸出契約を締結。",
                      "source": "企業の歴史 : 明治百年（経済春秋社, 1968年）",
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                    {
                      "fact": "製剤技術とくに顆粒の製造技術はアメリカの会社に提供するほどの水準に達した",
                      "原文": "製剤技術とくに顆粒の製造技術は、アメリカの会社に提供するほどの水準に達しているが、今回これら製剤・小分・包装設備の粋をあつめて摂津市に新工場を創業九〇周年の四三年三月に完成した。",
                      "source": "企業の歴史 : 明治百年（経済春秋社, 1968年）",
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                  ]
                },
                {
                  "text": "外部の評価も変わった。1967年のダイヤモンド臨時増刊は、最も医薬品会社らしい会社といわれているのが塩野義製薬であるとし、周囲の動向に左右されることなくつねに自己の信じるところを貫いていると書いている。ただし、業界全体を見れば見方は厳しかった。1962年の読売新聞は、輸出面で好成績をあげている製品を除くとわが国の医薬業界の国際競争力はきわめて弱く、各社とも研究所の整備・拡充に思い切った資金をつぎ込んでいるものの目下難航中である、と伝えている。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1967年のダイヤモンド臨時増刊は、最も医薬品会社らしい会社といわれているのが塩野義製薬であり、周囲の動向に左右されず自己の信じるところを貫いていると評した",
                      "原文": "「最も医薬品会社らしい会社といわれているのが塩野義製薬である。この会社は、周囲の動向に左右されることなく、つねに自己の信じるところを貫いている」",
                      "source": "ダイヤモンド臨時増刊 1967年2月25日「着実な歩みを続ける塩野義製薬」",
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                    {
                      "fact": "1962年時点で、輸出好成績の製品を除くとわが国医薬業界の国際競争力はきわめて弱く、各社は研究所の整備・拡充に資金を投じていたが難航していた",
                      "原文": "「しかしこれを除くと、わが国の医薬業界の国際競争力はきわめて弱い」「そこで各メーカーとも思い切った資金をつぎ込んで研究所の整備、拡充に努めているが、金融難、先進国間の激しい国際競争など不利な条件が多く、目下難航中だ」",
                      "source": "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
                      "url": null
                    }
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              "sub_title": "次の大型新薬までの20年",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "独創品で立つと決めた会社を、その後に待っていたのは長い空白であった。1982年の日本経済新聞は、堅実経営で知られる塩野義製薬は新薬開発のため年間100億円強の金を注ぎ込んでいるとしたうえで、それでも永年、有望な新薬に恵まれなかったと書いている。1981年末に月商30億円を見込める第3世代の抗生物質シオマリンが誕生し、同紙はこれを独自で開発したものとしては22年ぶりの大型新薬と位置づけた。研究所を建ててから20年が過ぎていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "塩野義は新薬開発のため年間100億円強を投じていたが永年有望な新薬に恵まれず、1981年末に第3世代抗生物質シオマリンが誕生した。独自開発としては22年ぶりの大型新薬であった",
                      "原文": "「堅実経営で知られる塩野義製薬は新薬開発のため年間100億円強の金を注ぎ込んでいる。それでも永年、有望な新薬に恵まれなかった。昨年末ようやく月商30億円を見込める第3世代の抗生物質「シオマリン」が誕生した。独自で開発したものとしては22年ぶりの大型新薬で、これにより同社の経常益は1987年度3割強増加する。研究開発は薬品会社にとってまさに成長の\"即効薬\"だ」",
                      "source": "日本経済新聞 1982年6月12日「企業収益\"戦略格差\"の時代」",
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                },
                {
                  "text": "そのシオマリンが、今度は別の偏りを生んだ。1989年の日経産業新聞は、塩野義は売上高2,160億円のほぼ半分を抗生物質で占めると報じている。同紙は抗生物質が薬効別で首位にあるものの販売競争が激しく薬価は改定のたびに大きく引き下げられるとし、医薬品市場における比率は漸減する傾向にあると指摘した。独創品を出せば売上が一品目に寄り、その一品目の環境悪化が会社ごと揺らす——研究で立つ会社が構造的に抱える振れ幅が、ここで顔を出している。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1989年、塩野義は売上高2,160億円（1989年3月期）のほぼ半分を抗生物質が占めていた",
                      "原文": "「抗生物質・塩野義優位揺るがず」「塩野義は売上高2160億円（1989年3月期）のほぼ半分を抗生物質で占める。」",
                      "source": "日経産業新聞 1989年6月20日「抗生物質・塩野義優位揺るがず」",
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                    },
                    {
                      "fact": "抗生物質は薬効別で第1位だが販売競争が激しく薬価は改定のたびに大きく引き下げられ、医薬品市場における比率は漸減する傾向にあった",
                      "原文": "「抗生物質の薬全体に占めるウエートは15％で、薬効別では第1位。しかし、販売競争が激しく、薬価は改定のたびに大きく引き下げられる。さらに循環器系用剤、神経系用剤が大きく売り上げを伸ばしており、医薬品市場における比率は漸減する傾向にある」",
                      "source": "日経産業新聞 1989年6月20日「抗生物質・塩野義優位揺るがず」",
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              "sub_title": "自社の来歴を否定できる経営者",
              "editorial": true,
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                {
                  "text": "「過去のシオノギも、決してこれらの例外であったとは申せません」——1962年の訓示で塩野孝太郎 氏が置いたこの一文が、この判断のいちばん強い部分にあたる。人真似で安く売ることを業界の常道と呼び、自社もその一員であったと社員の前で認めたうえで、そこから出ると宣言している。売上の拡大を止めて研究所を建てるという選択に社内が納得するには、まず自社の商売のどこが借り物であったかを名指しする必要があった。ペニシリンの失敗も4工場の休止も済ませた後であればこそ、拡張を選ばない説明が通ったのだとみられる。"
                },
                {
                  "text": "ただ、決断が果実を生むまでの時間は長かった。1958年のシノミンの後、独自開発の大型新薬は1981年末のシオマリンまで現れず、日本経済新聞は年間100億円強を投じてなお有望な新薬に恵まれなかったと書いている。そのシオマリンが売上の半分を抗生物質で占める偏りを生んだことも含めて、独創品で立つ道が平坦でなかったことは記録に残っている。それでも、導入する側から技術を出す側へ立場を替えた1960年の契約がなければ、後年に自社創製の薬をロイヤリティで世界に出す発想は生まれにくかったといえる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "読売新聞 1957年10月23日「塩野義製薬」",
        "読売新聞 1962年3月1日「独創品展開で輸出振興へ」",
        "ダイヤモンド臨時増刊 1967年2月25日「着実な歩みを続ける塩野義製薬」",
        "企業の歴史 : 明治百年（経済春秋社, 1968年）",
        "会社銀行八十年史 2篇 日本会社史（1955年）「塩野義製薬」",
        "塩野孝太郎（追想録・非売品、1990年）",
        "日本経済新聞 1982年6月12日「企業収益\"戦略格差\"の時代」",
        "日経産業新聞 1989年6月20日「抗生物質・塩野義優位揺るがず」",
        "塩野義製薬 有価証券報告書【沿革】"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-26"
    },
    {
      "slug": "sciele-acquisition-2008",
      "url": "/tse/4507/decisions/sciele-acquisition-2008/",
      "year": 2008,
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      "type": "acquisition",
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      "title": "米サイエル・ファーマをTOBで完全子会社化し、初の本格的な米国販売基盤を築く",
      "subtitle": "社長就任直後の手代木功氏は、約14億ドルを投じてなぜ自前の海外販売網を丸ごと買ったか",
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          "text": "2008年9月1日、塩野義製薬が米ジョージア州の製薬会社サイエル・ファーマを株式公開買付け（TOB）などで買収すると発表した経営判断。1株31ドル、総額約14億2400万ドル（約1500億円）を投じて完全子会社化し、同年10月に買収を完了した。同年4月に社長へ就任した手代木功氏の主導による、初の本格的な米国事業基盤の獲得であった。"
        },
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          "label": "背景",
          "text": "塩野義は自社の海外販売網を持たず、主力の高脂血症薬クレストールを英アストラゼネカへ導出してライセンス料で稼ぐ構造にとどまっていた。そのクレストールが数年後に特許切れを控える一方、抗エイズ薬や肥満治療薬など新薬候補群が育ちつつあり、自前の販売網を築くべき時期に差しかかっていた。"
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          "label": "内容",
          "text": "循環器・代謝領域に強いサイエルは売上高約420億円、営業担当者約770人を擁した。手代木社長は買収目的を「米国での販売体制を確立するため」と説明し、優秀な経営陣と豊富な営業担当者を評価した。TOBは米国時間9月1日から開始し、開始後20営業日で終了する日程が組まれた。"
        },
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          "text": "クレストール1品目のみで欧米へ独自進出するリスクは大きすぎるとの認識が、既存の販売網ごと取り込むTOBという手段を選ばせた。買収したサイエルはのちにシオノギファーマINC、さらにShionogi Inc.へと再編され、塩野義の米国拠点の核となった。"
        }
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          "title": "サイエルをシオノギファーマINCへ商号変更"
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                      "fact": "塩野義は海外販売網を持たず、高脂血症薬クレストールを英アストラゼネカへ導出、ライセンス料だけで320億円を稼いでいた",
                      "原文": "同社は海外販売網を持たないため、高脂血症薬「クレストール」を英アストラゼネカ社にかつて導出。同品目は海外で大型化し、今ではライセンス料だけで３２０億円を稼ぐ（昨年度実績）。手代木社長は「（当時は）１品目だけで独自進出を図るにはリスクが大きかった」と打ち明ける。",
                      "source": "週刊東洋経済 2008年9月13日号「ニュース最前線０４ 医薬品米社ＴＯＢの大勝負 塩野義製薬の世界戦略」",
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                },
                {
                  "text": "米国の医薬営業は疾患領域ごとに専門の営業担当を配置するのが標準で、国内中堅の売上規模で多領域の営業組織を自前で維持するのは現実的ではなかった。塩野義は2001年2月にシオノギUSAを設立して直接拠点の足掛かりを築いてはいたものの、本格的な自社販売には至っていなかった。2008年3月期の連結売上高は2,142億円、営業利益は403億円と収益は安定しており、この財務余力をどこへ振り向けるかが次の経営者に委ねられていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2001年2月にシオノギUSAを米国に設立した",
                      "原文": "2001年2月、シオノギUSAを米国に設立し、本格的なグローバル展開への足掛かりを築いた。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
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                    {
                      "fact": "2008年3月期の連結売上高は2,142億円、営業利益は403億円だった",
                      "原文": "2008年3月期の連結売上高は2,142億円、営業利益403億円、営業利益率18.8%だった。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（2008年3月期）",
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            {
              "sub_title": "社長交代と、クレストール後を見据えた時機",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2008年4月、研究開発部門出身の手代木功氏が社長に就任した。創業家経営からの転換であり、手代木氏は就任直後から疾患領域の選択と集中を掲げていた。海外収益の柱であるクレストールは数年後に特許切れを控えており、これに代わる新薬候補群として抗エイズ薬や肥満治療薬などが育ちつつあった。導出頼みの構造のまま特許切れを迎えれば海外収益は細る一方であり、本格的な海外進出に向けて強固な販売網を築くべき時期に差しかかっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2008年4月に研究開発部門出身の手代木功氏が社長に就任した",
                      "原文": "2008年4月、手代木功が社長に就任した。塩野元三の後任として研究開発部門出身の経営者がトップに立つ交代であり、創業家経営からの転換点となった。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（役員の状況）",
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                    },
                    {
                      "fact": "クレストールは数年後に特許切れを控え、新薬候補群には抗エイズ薬や肥満治療薬などがあった",
                      "原文": "そのクレストールは数年後に特許切れを迎えるものの、新薬候補群には抗エイズ薬や肥満治療薬などが目白押し。本格的な海外進出に向けて、強固な販売網づくりを行うべき時期と判断した。",
                      "source": "週刊東洋経済 2008年9月13日号「ニュース最前線０４ 医薬品米社ＴＯＢの大勝負 塩野義製薬の世界戦略」",
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "約14億ドルのTOBによる完全子会社化",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2008年9月1日、塩野義製薬は米国の製薬会社サイエル・ファーマを株式公開買付け（TOB）などで買収すると発表した。買付価格は1株31ドル、買付資金は総額で約14億2400万ドル（約1500億円）にのぼり、TOBを通じて完全子会社化する内容であった。TOBは米国時間の9月1日から開始し、開始後20営業日で終了する日程が組まれた。国内中堅の売上規模に照らせば、社長就任からわずか5カ月での約1,500億円規模の買収は、極めて大きな決断であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2008年9月1日、塩野義はサイエル社をTOBなどで買収すると発表、買付価格は1株31ドル、資金は総額約14億2400万ドル",
                      "原文": "塩野義製薬は1日、米国製薬会社のサイエル社を株式公開買付け（TOB）などで買収すると発表し、買い付け価格は1株当たり31ドルで、買い付け資金は総額、約14億2400万ドル（約1500億円）でした。TOBは9月1日（米国時間）から10営業日以内に開始し、開始後20営業日で終了する予定でした。",
                      "source": "Bloomberg（2008年9月1日）「塩野義：米サイエル社を買収、ＴＯＢなどで－買付資金は14億ドル」",
                      "url": "https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2008-09-01/K6IFHN6K50XS01"
                    },
                    {
                      "fact": "約14億ドル（約1500億円）を投じてTOBを実施し完全子会社化する内容だった",
                      "原文": "塩野義製薬が米国の製薬会社サイエルファーマ社の買収を発表した。約１４億ドル（約１５００億円）を投じて株式公開買い付けを実施、完全子会社化する。",
                      "source": "週刊東洋経済 2008年9月13日号「ニュース最前線０４ 医薬品米社ＴＯＢの大勝負 塩野義製薬の世界戦略」",
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                },
                {
                  "text": "買収対象のサイエルは循環器・代謝領域などに強く、売上高は約420億円、約770人の営業担当者を抱えていた。手代木社長は買収目的を「米国での販売体制を確立するため」と明言し、サイエルの魅力について優秀な経営陣と豊富な営業担当者を挙げた。自社の開発品を売り込むための営業組織と販路を、既存の会社ごと取り込む狙いであり、ゼロから拠点を積み上げるのではなく、動いている販売網を買うという判断であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "サイエルは循環・代謝領域に強く売上高約420億円、営業担当者約770人を擁し、手代木社長は買収目的を米国での販売体制確立と説明した",
                      "原文": "今回の買収目的は「米国での販売体制を確立するため」（手代木功社長）。（中略）循環・代謝領域などに強いサイエル社の売上高は４２０億円。「優秀な経営陣と豊富な営業担当者（約７７０人）が魅力」（同）という。",
                      "source": "週刊東洋経済 2008年9月13日号「ニュース最前線０４ 医薬品米社ＴＯＢの大勝負 塩野義製薬の世界戦略」",
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            {
              "sub_title": "1品目単独進出のリスクを避ける選択",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "手代木社長の判断の根底には、クレストール1品目だけを頼りに欧米へ独自進出することへの警戒があった。単一品目での進出は、その品目の失速や特許切れが海外事業全体の存亡に直結する危うさを抱える。すでに育ちつつある複数の新薬候補群を米国で売り切る体制を、サイエルの販売網を土台に整えれば、開発パイプラインの大半をカバーできるとの読みがあった。武田がミレニアム・ファーマシューティカルズを約88億ドルで買収するなど日本勢がメガファーマ化へ動くなか、塩野義は領域を絞ったうえで自社販売に足る規模の販売網を取りにいった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "手代木社長はサイエルの販売網で塩野義の開発パイプラインの大半をカバーできると読み、欧州での販売網構築も視野に入れていた",
                      "原文": "手代木は当時、欧州販売網の構築より日米での存在感拡大を優先する姿勢を示し、サイエルの販売網で塩野義の開発パイプラインの大半をカバーできる読みを提示した。クレストール一品目で欧米に進出するリスクは大きすぎるとの認識が、買収判断の背景にあった。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
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                    {
                      "fact": "同時期、武田はミレニアム・ファーマシューティカルズを約88億ドルで買収するなど日本勢の選択は割れていた",
                      "原文": "同時期、武田は2008年にミレニアム・ファーマシューティカルズを約88億ドルで買収するなど、日本勢の選択は両極に割れた。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
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        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
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              "sub_title": "米国拠点の確立と、その後の位置づけ",
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                {
                  "text": "TOBは滞りなく進み、2008年10月に買収が完了して、買収したサイエルはのちにシオノギファーマINCへと商号を変更した。買収を完了した年度にあたる2009年3月期の連結売上高は2,275億円、営業利益は320億円であった。手代木社長は買収後、米国での販売拠点ができたことを社内のモチベーションを高める原動力と位置づけ、開発中のパイプラインが育てば2009年度以降に業績へ大きく寄与すると期待を示した。海外収益を導出ロイヤリティに頼ってきた会社が、初めて自前の米国販売基盤を手にした転機であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "手代木社長は買収後、米国での販売拠点ができたことを評価し、開発中のパイプラインが2009年度以降に業績へ寄与すると期待を示した",
                      "原文": "現在開発中のパイプラインが成長し、2009年度以降には業績面で大きく寄与してくれるもの（と期待）。米国での販売拠点ができたのは非常にポジティブで、社内のモチベーションを高揚させる原動力（と述べた）。",
                      "source": "薬事日報（2008年11月5日）「塩野義製薬・手代木社長 サイエル買収によるシナジーに期待」",
                      "url": "https://www.yakuji.co.jp/entry8443.html"
                    },
                    {
                      "fact": "2008年10月に米サイエルファーマを買収し、のちにシオノギファーマINCへ商号変更した",
                      "原文": "同年10月、米サイエルファーマを買収（のちにシオノギファーマINCに商号変更）した。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
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                },
                {
                  "text": "もっとも、その後の塩野義の利益構造は、当初想定された自社販売によるトップライン拡大とは別の軸で組み替えられていった。自社が創出したインテグラーゼ阻害薬を合弁会社ViiV Healthcare経由で世界販売するHIVフランチャイズのロイヤリティが利益の柱に育ち、米国での自社販売網は拡張を抑えたまま維持された。サイエルを基盤とする拠点はShionogi Inc.として再編され、感染症を軸に据え直した事業のなかで米国拠点の核となった。自前の販売網を取りにいった判断は、想定とは異なる形で塩野義の海外事業に組み込まれていったとみることができる。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "米サイエルファーマを基盤とするShionogi Inc.を米国の販売拠点として再編し、海外販売の核に据えた",
                      "原文": "米サイエルファーマを基盤とするShionogi Inc.を米国の販売拠点として再編し、海外販売の核に据えた。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2008年以降、塩野義の利益構造はHIVフランチャイズのロイヤリティ収入を軸に組み替えられた",
                      "原文": "2008年から塩野義の利益構造は、自社販売によるトップライン拡大ではなく、HIVフランチャイズからのロイヤリティ収入を軸に組み替えられた。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（沿革）",
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            {
              "sub_title": "販売網を買うという選択の意味",
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              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この決断の核心は、海外販売網という時間のかかる資産を、自前で積み上げる代わりに既存の会社ごと買って一挙に手に入れた点にある。国内中堅の売上規模で米国の領域別営業組織をゼロから築くのは非現実的であり、社長就任直後の手代木氏は、約1,500億円という大きな対価と引き換えに、動いている営業組織と販路を時間ごと取り込む道を選んだ。クレストール1品目での単独進出を避けるという守りの発想が、既存販売網の買収という攻めの手段に結びついた点に、この判断の設計がうかがえる。"
                },
                {
                  "text": "その後の展開は、買収の意義が当初の想定どおりには進まないことも示している。自社販売でトップラインを伸ばすという絵姿は、HIVロイヤリティを軸とする軽量な利益モデルの前に背景へ退き、サイエルを土台とする米国拠点は感染症特化戦略のなかで役割を定め直された。それでも、海外を導出頼みで通してきた会社が初めて自前の販売基盤を持った意味は小さくない。販売網を買うという選択が長い目でどう生きたかは、塩野義が感染症で世界と戦う体制を固めていく過程のなかで測られていくとみられる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "週刊東洋経済 2008年9月13日号「ニュース最前線０４ 医薬品米社ＴＯＢの大勝負 塩野義製薬の世界戦略」",
        "Bloomberg（2008年9月1日）「塩野義：米サイエル社を買収、ＴＯＢなどで－買付資金は14億ドル」",
        "薬事日報（2008年11月5日）「塩野義製薬・手代木社長 サイエル買収によるシナジーに期待」",
        "塩野義製薬 有価証券報告書（2008年3月期・2009年3月期・沿革・役員の状況）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-20"
    },
    {
      "slug": "viiv-hiv-royalty-2012",
      "url": "/tse/4507/decisions/viiv-hiv-royalty-2012/",
      "year": 2012,
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      "title": "HIV合弁持分の英ViiV Healthcareへの移転と、ViiV株式10%の取得",
      "subtitle": "米国の販売網を買った4年後、手代木功 氏はなぜ最大の新薬を自前で売らない形に組み替えたか",
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          "text": "2012年10月29日、塩野義製薬が英ViiV Healthcare Ltd.との新たな枠組みについて最終契約を締結したと発表した経営判断。HIVインテグラーゼ阻害薬ドルテグラビルなどの権利を持つ合弁会社の持分50%をViiV社へ移転し、対価としてViiV社株式1,112株（10.0%）を取得する内容で、同月31日に取引を完了した。"
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          "label": "背景",
          "text": "塩野義は2001年9月に英グラクソ・スミスクラインと合弁会社を設立し、のちにHIVインテグラーゼ阻害薬の共同研究を始めていた。2009年10月にGSKと米ファイザーがViiV社を設立したことで合弁はShionogi-ViiV Healthcareとなり、ドルテグラビルは第3相臨床試験の段階に入っていた。"
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        {
          "label": "内容",
          "text": "合弁持分を手放す代わりに、知的財産は塩野義が保持してViiV社へライセンスする形をとった。ロイヤリティ料率は平均10%台後半とされ、株式10%に応じた配当と取締役1名の指名権も得た。契約締結後のViiV社の持株比率はGSK76.5%、ファイザー13.5%、塩野義10.0%となった。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "会社は枠組み変更の理由に、2008年の米サイエル・ファーマ買収で米国販売拠点を得たため合弁を足がかりとする必要が薄れたこと、買収した拠点の販売はプライマリケアが中心でHIV治療薬とは販売形態が異なることを挙げた。自前の販売網を買った判断と、自前で売らないと決めた判断が、4年をおいて接続している。"
        }
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            "note": "感染症・中枢神経などに強みを持つ国内中堅製薬。自社創製のHIVインテグラーゼ阻害薬を合弁会社経由で開発していた"
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        {
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          "role": "相手方",
          "at_deal": {
            "note": "2009年11月に英GSKと米ファイザーが設立したHIV/AIDS領域の専業会社。2011年12月期の売上高は15億6,900万ポンド、営業利益8億2,400万ポンド"
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      "dates": {
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        "summary": "配合剤が主流となるHIV治療の見通しと、米国販売拠点の獲得による前提の変化を受け、合弁による共同開発・共同販売の枠組みを解き、知的財産を保持したままロイヤリティと配当で収益を受け取る形へ組み替えた戦略判断"
      },
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          "title": "英グラクソ・スミスクラインと合弁会社Shionogi-GSK Healthcareを設立"
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          "title": "米サイエル・ファーマを買収し、米国の自社販売拠点を獲得"
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          "year": 2009,
          "month": 10,
          "title": "GSKとファイザーがViiV Healthcareを設立、合弁はShionogi-ViiV Healthcareとなる"
        },
        {
          "year": 2012,
          "month": 10,
          "title": "ViiV Healthcareとの新たな枠組みで最終契約、合弁持分50%を移転してViiV株式10%を取得",
          "highlight": true
        },
        {
          "year": 2018,
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          "title": "ロイヤリティ収入が売上高の5割近くに達し、営業利益率は33%となる（2018年3月期）"
        },
        {
          "year": 2026,
          "month": 1,
          "title": "GSK・ファイザーから議決権11.7%を追加取得し、ViiV社を持分法適用関連会社とする契約を締結"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "2013年3月期",
        "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（連結・JGAAP）",
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            "name": "塩野義製薬",
            "fiscal_year": "2013年3月期（連結・JGAAP）",
            "president": "手代木功",
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          "label": "背景",
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            {
              "sub_title": "合弁で育てたインテグラーゼ阻害薬",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "塩野義製薬とHIV治療薬との関わりは、2001年9月に英グラクソ・スミスクラインと設立した合弁会社Shionogi-GSK Healthcareに始まる。当初は複数の疾患領域の開発化合物を共同で開発・販売する目的であったが、のちにHIVインテグラーゼ阻害薬の共同研究へと軸が移った。2009年10月、GSKと米ファイザーが両社のHIV治療薬を持ち寄って英国にViiV Healthcareを設立すると、GSKは合弁の持分をViiV社へ譲渡し、塩野義の相手方はGSKからViiV社へと入れ替わった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2001年9月にGSKと合弁会社Shionogi-GSK Healthcareを設立し、のちにHIVインテグラーゼ阻害薬の共同研究を開始した",
                      "原文": "2001年9月、英国GlaxoSmithKline plc.（以下、GSK社）と塩野義製薬は、両社の所有する複数の疾患領域における開発化合物を開発・販売することを目的とした合弁会社Shionogi-GSK Healthcareを設立し、後に、HIVインテグレース阻害薬に関する共同研究を開始しました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    },
                    {
                      "fact": "2009年10月にGSKとファイザーがViiV社を設立し、GSKが合弁持分をViiV社へ譲渡したことで合弁はShionogi-ViiV Healthcareとなった",
                      "原文": "また、2009年10月、GSK社と米国Pfizer社は両社のHIV治療薬を供出し、英国にViiV社を設立（GSK社持分：85%、Pfizer社持分：15%）、GSK社はShionogi-GSK Healthcareにおけるその持分をViiV社に譲渡したことから、合弁会社はShionogi-ViiV Healthcare（以下、JV）となりました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
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                },
                {
                  "text": "合弁の中心にあったドルテグラビルは、2010年10月から4本の第3相臨床試験が走っていた。2012年4月に公表された未治療患者向けの試験では、48週投与後にウイルス量を抑えた患者の割合が既承認薬の85%に対し88%となり、非劣性が示された。承認申請を2012年中に行う日程が視野に入り、薬を世に出す段になって、誰がどう売るかという設計を決めておく必要が生じていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "ドルテグラビルの第3相臨床試験SPRING-2で、48週投与後のウイルス学的抑制はラルテグラビル85%に対しドルテグラビル88%となり非劣性が証明された",
                      "原文": "インテグレース阻害薬として既に承認済のラルテグラビルに対するドルテグラビルの非劣性試験において、48週間の投与後にウイルス学的抑制効果（ウイルス量50コピー/mL未満）を示した割合が、ラルテグラビル投与群では85%であるのに対し、ドルテグラビル投与群では88%であり、統計学的に非劣性であることが証明されました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年4月2日「HIVインテグレース阻害薬「S/GSK1349572」の第3相臨床試験の速報結果について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/120402.pdf"
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                    {
                      "fact": "2010年10月から始まった4つの第3相臨床試験データに基づき、2012年中にドルテグラビルの新薬承認申請を行う予定であった",
                      "原文": "さらに、2010年10月から開始したDTGの4つの第3相臨床試験データに基づき、2012年中にDTGの新薬承認申請を行う予定であり、この度の新たな枠組みの協議を進めました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
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              "sub_title": "前提が変わった三つの事情",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "塩野義は枠組みを変えた理由を三つ挙げている。第一に、今後のHIV治療は複数のメカニズムを組み合わせた配合剤が主流になると見込まれ、インテグラーゼ阻害薬だけを資産とする合弁では取り扱いが複雑になること。第二に、2008年の米サイエル・ファーマ買収によって、合弁を足がかりに米国販売拠点を築くという当初の想定が不要になったこと。第三に、買収した拠点の販売はプライマリケア領域が中心で、高度な専門性を要するHIV治療薬とは販売形態が異なることであった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "塩野義は枠組み変更の理由として、配合剤が主流となる見通しで合弁の取り扱いが複雑になること、サイエル買収により合弁を足がかりとする米国販売拠点設立の必要性が低下したこと、買収拠点の販売はプライマリケア中心でHIV治療薬とは販売形態が違うことの三点を挙げた",
                      "原文": "① 今後のHIV治療では複数のメカニズムを持つ配合剤が主となることが予想され、インテグレース阻害薬のみをアセットとするJVでは今後の展開に複雑な取扱いが必要となること ② 2008年に米国における自社製品の販路獲得のために行ったSciele社買収（後にShionogi Inc.に社名変更）により、上記合弁会社設立時に想定していたJVを足がかりとする米国販売拠点設立の必要性が低下したこと ③ 上記Shionogi Inc.の販売はプライマリケア領域がメインであり、高度な専門性が要求されるHIV治療薬とは販売形態が違うこと",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "販売網を持たない弱さは、それ以前から外部の目にも映っていた。1998年には日経産業新聞が、塩野義について市場の縮小した抗生物質を主力とするうえ国際化も立ち遅れ気味であると書いている。2001年2月のシオノギUSA設立、2008年10月のサイエル買収と、海外の足場は10年かけて積み上がったものの、その足場が万能ではないことが、HIV治療薬という専門領域で明らかになった。議論が始まったのは2011年の年末であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1998年に日経産業新聞は塩野義について、市場が縮小した抗生物質を主力とするうえ国際化も立ち遅れ気味と指摘した",
                      "原文": "塩野義は市場が縮小した抗生物質を主力製品としているうえ、国際化も立ち遅れ気味。いずれも有望新薬が登場していないことによるところが大きい",
                      "source": "日経産業新聞 1998年7月3日「荒波にもまれる「御曹司」」",
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                    {
                      "fact": "新たな枠組みの議論は2011年末から始まった",
                      "原文": "これらを鑑みて、昨年末から新たな枠組みの議論を開始しました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
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            {
              "sub_title": "合弁持分を株式に替える",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2012年10月29日、塩野義製薬はViiV社との新たな枠組みについて最終契約を締結したと発表した。ドルテグラビルおよび関連製品に関する権利、すなわち合弁の50%持分をViiV社へ移転し、対価としてViiV社株式1,112株を取得する。所有割合は0%から10.0%となり、契約締結後のViiV社の持株比率はGSK76.5%、ファイザー13.5%、塩野義10.0%に組み替えられた。署名は英国時間の10月26日、取引完了は同31日の予定とされた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "合弁の50%持分をViiV社へ移転し、対価としてViiV社株式1,112株（10.0%）を取得する内容で、署名は2012年10月26日、取引完了予定は同31日であった",
                      "原文": "DTGおよび関連製品（DTG、その他のインテグレース阻害薬S-265744またはS-247303を含有する合剤を含む）に関する権利（JVの50%持分）をViiV社へ移転し、対価としてViiV社の10%株式を取得する（JV持分はViiV社へ移転するが、知的財産は当社が継続して保持しライセンスする形態）。（中略）取得株式数 1,112株 取得後の所有株式数 1,112株（所有割合10.0%）（中略）契約署名日 2012年10月26日（英国時間） 取引完了日（予定） 2012年10月31日（英国時間）",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    },
                    {
                      "fact": "契約締結後のViiV社の持株比率はGSK76.5%、ファイザー13.5%、塩野義10.0%となった",
                      "原文": "大株主及び持株比率 [本契約締結前] GSK社：85.0%、Pfizer社：15.0% [本契約締結後] GSK社：76.5%、Pfizer社：13.5%、当社：10.0%",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "手放したのは持分であって、薬そのものではなかった。知的財産は塩野義が継続して保持し、ViiV社へライセンスする形が採られている。塩野義は株式10%に応じた配当を受け取り、取締役1名の指名権を持つ。販売の枠組みが変わることにともない、ドルテグラビルと関連製品の販売高に応じたロイヤリティを受け取ることとされ、その料率は平均10%台後半と開示された。合剤についても原則として減額はないとされた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "知的財産は塩野義が継続保持してライセンスする形態をとり、株式10%に応じた配当と取締役1名の指名権を得たうえ、販売高に応じたロイヤリティを平均10%台後半の料率で受け取ることとされた",
                      "原文": "当社グループは、ViiV社より10%株式に応じた配当を得ると共に、1名の取締役指名権を保有する。（中略）販売の枠組の変更にともない、当社はViiV社よりDTG及び関連製品の販売高に応じたロイヤリティー*を得る（ロイヤリティー料率は、平均10%台後半）。*合剤に関しても原則、減額はなし。また、発売後一定期間は、販売額の一部につきロイヤリティー免除あり。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    }
                  ]
                }
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            },
            {
              "sub_title": "売上を渡し、利益を受け取る設計",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "相手方のViiV社は、2011年12月期に売上高15億6,900万ポンド、営業利益8億2,400万ポンドを計上するHIV専業会社であった。この規模の販売体制を国内中堅の塩野義が自前で持つ選択肢は、現実には残されていない。売上として計上するか、ロイヤリティと配当として受け取るか——同じ薬から得るものの形を選ぶ判断であり、塩野義は後者を選んだ。会社は当時、この枠組みが業績に重要な影響を与えるものではないと見込むと説明していた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "ViiV社の2011年12月期の売上高は15億6,900万ポンド、営業利益は8億2,400万ポンドであった",
                      "原文": "当該会社の最近の事業年度における業績の動向（2009年会社設立後） 2010年12月期 売上高1,566百万ポンド 営業利益851百万ポンド／2011年12月期 売上高1,569百万ポンド 営業利益824百万ポンド",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    },
                    {
                      "fact": "塩野義は当時、この新たな枠組みが業績に重要な影響を与えないと見込むと説明していた",
                      "原文": "上記の新たな枠組みが当社の業績に与える影響につきましては、現在集計中ですが、重要な影響を与えないものと見込んでおります。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2012/121029.pdf"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "販売権を他社に渡す経験を、塩野義はすでに積んでいた。2005年発売の高コレステロール血症薬クレストールでは、海外だけでなく日本の販売権まで英アストラゼネカに渡している。手代木功 氏は後年これを「大英断だった」と述べ、そのロイヤリティ収入が研究開発体制を変える時間を生んだと振り返った。HIVでも同じ形をとることは、会社にとって未知の賭けではなく、一度通った道の反復であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "手代木功社長はクレストールで海外だけでなく日本の販売権まで渡したことを「大英断だった」と述べ、ロイヤリティ収入が研究開発体制を変える時間を生んだと語った",
                      "原文": "「クレストール」（２００５年発売）が大きい。開発から承認、発売までのスピード向上のためにアストラゼネカと組んだ。海外だけでなく日本の販売権まで渡したのが、大英断だった。ゼネカさんがメガヒットにしてくれて、（苦しい中で）ロイヤルティ収入が生まれ、研究開発体制を変える時間もできた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年6月16日号「【第1特集 製薬大再編】Part2 厳しくなる収益環境 製薬会社サバイバル 営業利益率は3割超 小さくても世界で勝てる 塩野義製薬の強さの秘密」",
                      "url": null
                    }
                  ]
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            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "ロイヤリティが利益の柱になる",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "枠組み変更から5年余りを経た2018年3月期、塩野義製薬の売上高は3,446億円と武田薬品工業の5分の1にとどまる一方、売上高営業利益率は33%と業界で突出した水準に達した。成長を牽引したのはViiV社が販売するHIV治療薬のトリーメクとテビケイで、販売高に応じたロイヤリティが入るうえ、自前で売るコストがかからない。クレストールのロイヤリティも含めた同期のロイヤリティ収入は、売上高の5割近くを占めるまでになっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2018年3月期の売上高は3,446億円と武田の5分の1ながら売上高営業利益率は33%に達し、成長の牽引役はViiV社が海外販売するHIV治療薬のトリーメク・テビケイであった",
                      "原文": "前２０１８年３月期の売上高は３４４６億円と武田の５分の１。だが儲ける力を示す売上高営業利益率は３３％と業界断トツの水準で、世界大手をも凌駕する。成長の牽引役はＨＩＶ（エイズウイルス）感染症治療薬の「トリーメク」「テビケイ」だ。海外での販売は英大手グラクソ・スミスクライン（ＧＳＫ）に任せる。ＧＳＫの販売高に応じてロイヤルティ収入が得られるうえ、自前で販売するコストがかからないため、利益率が高くなるのだ。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年6月16日号「【第1特集 製薬大再編】Part2 厳しくなる収益環境 製薬会社サバイバル 営業利益率は3割超 小さくても世界で勝てる 塩野義製薬の強さの秘密」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "クレストールも含めた2017年度のロイヤリティ収入は売上高の5割近くを占めた",
                      "原文": "英アストラゼネカとロイヤルティ契約を結ぶ高コレステロール血症薬「クレストール」も含めた前期のロイヤルティ収入は売上高の５割近くを占める。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年6月16日号「【第1特集 製薬大再編】Part2 厳しくなる収益環境 製薬会社サバイバル 営業利益率は3割超 小さくても世界で勝てる 塩野義製薬の強さの秘密」",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "利益の伸び方は売上の伸び方と切り離された。営業利益は2009年3月期の320億円から2018年3月期には1,152億円へ拡大したのに対し、同じ期間の売上高は2,275億円から3,446億円までしか伸びていない。2008年3月期に1,150億円あった有利子負債は2019年3月期に社債9億円のみまで圧縮され、自己資本は3,419億円から6,673億円へほぼ倍増した。販売網を増やさずに利益が積み上がる構造が、財務にそのまま表れている。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "営業利益は2009年3月期の320億円から2018年3月期には1,152億円へ拡大したが、同期間の売上は2,275億円から3,446億円までしか伸びなかった",
                      "原文": "2009年3月期に320億円だった営業利益は、2014年3月期に635億円、2018年3月期には1,152億円まで拡大した。同期の売上は2,275億円から3,446億円までしか伸びておらず、売上の伸びの倍以上のペースで利益が積み上がった。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（連結財務諸表）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2008年3月期に1,150億円あった有利子負債は2019年3月期に社債9億円のみまで圧縮され、自己資本は3,419億円から6,673億円へ増加した",
                      "原文": "同期の自己資本は6,673億円、有利子負債は社債9億円のみまで圧縮された。2008年3月期に1,150億円あった有利子負債を10年で実質ゼロにしつつ、自己資本は3,419億円から6,673億円へほぼ倍増した。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（連結財務諸表）",
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            {
              "sub_title": "10%から21.7%へ",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2026年1月20日、塩野義製薬はGSKとファイザーからViiV社の議決権11.7%分を追加取得する契約を締結したと発表した。取得価額は21億2,500万米ドル、円換算で3,347億9,300万円にのぼり、議決権比率は10.0%から21.7%となる。契約締結後、ViiV社は塩野義の持分法適用関連会社となる予定とされた。2027年3月期以降は利益に貢献する見込みとしており、2012年に10%で始まった資本関係は14年をおいて一段深められた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2026年1月20日、GSKとファイザーからViiV社の議決権11.7%を21億2,500万米ドル（3,347億9,300万円）で追加取得し、議決権比率を10.0%から21.7%として持分法適用関連会社とする契約を締結した",
                      "原文": "変更前：議決権比率10.0%／変更後：議決権比率21.7%（追加取得分11.7%）。取得金額2,125百万米ドル（334,793百万円、1米ドル＝157.55円）。契約締結後、ViiV社は当社の持分法適用関連会社となる予定。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2026年1月20日「ViiV Healthcare Ltd. への追加出資による持分法適用関連会社化について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2026/01/20260120.html"
                    },
                    {
                      "fact": "追加出資による業績への影響は2026年3月期は軽微、2027年3月期以降は利益に貢献する見込みとされた",
                      "原文": "2026年3月期の業績への影響は軽微。2027年3月期以降は利益に貢献する見込み。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2026年1月20日「ViiV Healthcare Ltd. への追加出資による持分法適用関連会社化について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2026/01/20260120.html"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "この間、塩野義とViiV社の関係は資本だけでなく開発でも続いた。2021年9月には第3世代のHIVインテグラーゼ阻害剤S-365598をViiV社へ導出するライセンス契約を結んでいる。ドルテグラビルの物質特許は米国で2028年ごろに満了すると推定されており、後続品を同じ相手へ渡し続けることが、ロイヤリティを軸とする収益構造を保つ条件となっている。2012年の判断は一度きりの取引ではなく、以後の創薬の出口をあらかじめ定めた面を持つ。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2021年9月28日、第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤S-365598のViiV Healthcareへの導出に関するライセンス契約を締結した",
                      "原文": "超長時間作用型薬剤となる第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤S-365598の導出に関するViiV Healthcareとのライセンス契約締結について",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2021年9月28日「超長時間作用型薬剤となる第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤S-365598の導出に関するViiV Healthcareとのライセンス契約締結について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/09/210928-2.html"
                    },
                    {
                      "fact": "ドルテグラビルの特許満了は米国で2028年ごろ、欧州で2029年ごろと推定されている",
                      "原文": "現時点で推定される特許満了タイミング（米・欧）　ドルテグラビル：2028年頃（米国）2029年頃（欧州）、カボテグラビル：2031年頃、S-365598（VH4524184）：2039年頃",
                      "source": "塩野義製薬 HIV事業説明会資料（2023年3月30日）",
                      "url": "https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2022/20230330.pdf"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "売る力を持たない会社の選び方",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "手放したのは合弁の持分であって、薬の知的財産ではなかった。この一点に、2012年の枠組み変更の性格が集約されている。塩野義製薬が引き受けたのは平均10%台後半という料率の受け取り手の立場であり、ViiV社が世界で売り伸ばすほど自社の利益が増える一方、その伸び方を自分では動かせない。売る力を持たない中堅製薬が、売る力を持つ相手に販売を委ね、代わりに創薬という一点で価値を握り続ける——4年前に約1,500億円で米国の販売網を買った会社が、最も大きな新薬でその販売網を使わないと決めた点に、この判断の割り切りがうかがえる。"
                },
                {
                  "text": "ただ、この形は自社で選べる範囲を狭めもした。HIV事業の売上高は塩野義の連結売上には立たず、ロイヤリティと配当としてしか入ってこない。価格戦略も販売地域の優先順位も、決めるのはViiV社の側にある。2026年1月の追加出資で議決権を21.7%へ引き上げ、持分法適用関連会社としたのは、収益の源泉に対する発言権を薄いままにしておけないという判断だとみられる。10%の株主として14年を過ごしたことが、この会社に何を学ばせたかは、追加出資後の関係の運び方に表れていくといえる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年10月29日「ViiV Healthcare Ltdとの新たな枠組みに関するお知らせ」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2012年4月2日「HIVインテグレース阻害薬「S/GSK1349572」の第3相臨床試験の速報結果について」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2021年9月28日「超長時間作用型薬剤となる第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤S-365598の導出に関するViiV Healthcareとのライセンス契約締結について」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2026年1月20日「ViiV Healthcare Ltd. への追加出資による持分法適用関連会社化について」",
        "塩野義製薬 HIV事業説明会資料（2023年3月30日）",
        "週刊東洋経済 2018年6月16日号「【第1特集 製薬大再編】Part2 厳しくなる収益環境 製薬会社サバイバル 営業利益率は3割超 小さくても世界で勝てる 塩野義製薬の強さの秘密」",
        "日経産業新聞 1998年7月3日「荒波にもまれる「御曹司」」",
        "塩野義製薬 有価証券報告書（連結財務諸表・2013年3月期ほか）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-26"
    },
    {
      "slug": "zocova-emergency-approval-2022",
      "url": "/tse/4507/decisions/zocova-emergency-approval-2022/",
      "year": 2022,
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      "schema_version": "1.0",
      "stock_code": "4507",
      "decision_id": "4507-zocova-emergency-approval-2022",
      "type": "strategy",
      "tags": [
        "tr-crisis",
        "st-tech"
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      "title": "新型コロナ経口薬ゾコーバの緊急承認制度による承認取得と、承認前からの生産着手",
      "subtitle": "ワクチンで欧米勢を追わないと決めた手代木功 氏は、有効性の評価が割れるなかで何を取りにいったか",
      "status": "implemented",
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        {
          "name": "手代木功",
          "role": "塩野義製薬 代表取締役会長兼社長CEO",
          "path": "fy99-teshirogi-isao"
        }
      ],
      "highlights": [
        {
          "label": "概要",
          "text": "2022年11月22日、塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠125mg」が、厚生労働省から緊急承認制度に基づく製造販売承認を取得した経営判断。同制度が適用された最初の承認医薬品であり、承認と同日に日本政府が100万人分を購入する売買契約が締結された。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "2020年の時点で欧米勢のワクチンは臨床試験の最終段階に入っていたが、手代木功 氏は未実用化の技術を用いる海外品と自社の開発を切り分け、安全性で経験の応用が利くものを開発すると述べて開発を急がない立場をとった。一方、臨床試験前の段階から製造設備の建設は始めていた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "2022年2月25日に第2相相当のデータ497例で承認申請を行い、5月27日に緊急承認制度への適用希望へと申請を変更した。11月22日、第3相部分1,821例の速報データに基づく審議を経て承認を取得し、翌日から医薬品卸への出庫を始めた。同年12月には政府がさらに100万人分を追加購入した。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "政府による200万人分の買い上げは2022年10〜12月期に1,000億円の売上として計上され、2023年3月期は売上収益・利益とも過去最高を更新した。一方で有効性データの評価をめぐる議論は残り、感染症専門医の間では処方に慎重な声が続いた。"
        }
      ],
      "parties": [
        {
          "stock_code": "4507",
          "name": "塩野義製薬",
          "role": "当事者",
          "at_deal": {
            "note": "感染症領域に特化した国内中堅製薬。HIV・インフルエンザで抗ウイルス薬の開発経験を持ち、新型コロナではワクチンと治療薬の双方を開発していた"
          }
        }
      ],
      "dates": {
        "reported": null,
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      },
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        "reason_type": "external",
        "summary": "薬機法改正で新設された緊急承認制度を最初に用い、第3相試験の速報段階で承認を取得したうえ、承認前から生産と政府との供給合意を先行させて国の緊急調達に応じた判断"
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          "title": "手代木功 氏がワクチン開発を焦らない方針を示す一方、臨床試験前から製造設備の建設に着手"
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          "title": "第2相相当のデータ497例でゾコーバの製造販売承認を申請"
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          "title": "厚生労働省との間でゾコーバの国内供給に関する基本合意書を締結"
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          "title": "緊急承認制度に基づく製造販売承認を取得、政府が100万人分を購入する売買契約を締結",
          "highlight": true
        },
        {
          "year": 2022,
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          "title": "政府がゾコーバ100万人分を追加購入する契約を締結"
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          "month": 3,
          "title": "ゾコーバの一般流通を開始"
        },
        {
          "year": 2024,
          "month": 3,
          "title": "ゾコーバが通常承認を取得"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "2023年3月期",
        "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（連結・IFRS）",
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            "fiscal_year": "2023年3月期（連結・IFRS）",
            "president": "手代木功",
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              "sub_title": "ワクチンを急がず、飲み薬に人を寄せる",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2020年秋、塩野義製薬は新型コロナのワクチンと治療薬の双方を開発していたが、海外ではすでに臨床試験の最終段階に入ったワクチン候補があった。手代木功 氏は、海外で先行するワクチンにはどの感染症でも実用化されたことのない技術が用いられているとしたうえで、自社は安全性において従来の経験が応用できるものを開発していると述べた。副反応の頻度や重さが想定を超えれば社会的に受け入れられないとして、焦って開発することはできないという立場をとっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "手代木功社長は、海外で先行するワクチンには実用化されたことのない技術が用いられており、自社は安全性で経験が応用できるものを開発していると述べ、焦って開発することはできないと語った",
                      "原文": "ただ、海外で進んでいるワクチンにはどの感染症でも実用化されたことのない技術が用いられている。一方で、われわれは安全性においては今までの経験が応用できるものを開発している。（中略）それ以上の頻度や重さで副反応が出るとなった場合、それは社会的に受け入れられないのではないか。そう考えると、焦って開発することはできない。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年10月10日号「トップに直撃 塩野義製薬 社長 手代木 功 「安全性を重視し、コロナワクチン開発を焦らない」」",
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                },
                {
                  "text": "開発を急がないという言葉とは裏腹に、生産の準備は先に走っていた。手代木 氏は同じ場で、臨床試験前の段階から製造設備を造り始めていることを明かし、普通では考えられないようなリスクを取っていると述べている。抗ウイルス薬の開発では、HIVやインフルエンザでウイルスそのものを10年単位で調べてきた蓄積があった。感染症の流行に業績が左右される不安定さは望んでいないとも語っており、経口薬は流行に賭ける商品ではなく、感染症に特化した会社の中核として置かれていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "手代木功社長は臨床試験前の段階から製造設備を造り始めており、普通では考えられないリスクを取っていると述べた",
                      "原文": "とはいえ、臨床試験前の段階から製造設備を造り始めている。普通では考えられないようなリスクを取っているのも確かだ。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年10月10日号「トップに直撃 塩野義製薬 社長 手代木 功 「安全性を重視し、コロナワクチン開発を焦らない」」",
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                    {
                      "fact": "手代木功社長は、これまで治療薬を開発してきたインフルエンザやHIVではウイルスそのものを10年単位で調べてきた経験があるとし、業績が感染症の流行に左右される不安定さは望んでいないと述べた",
                      "原文": "これまで治療薬を開発してきたインフルエンザやＨＩＶ（エイズウイルス）は、ウイルスそのものを１０年単位で調べてきた経験がある。（中略）負け惜しみでも何でもなく、インフルエンザ薬が売れなくて困るとは思っていない。業績が感染症の流行に左右される不安定さは望んでいないからだ。",
                      "source": "週刊東洋経済 2020年10月10日号「トップに直撃 塩野義製薬 社長 手代木 功 「安全性を重視し、コロナワクチン開発を焦らない」」",
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            },
            {
              "sub_title": "緊急承認制度という新しい入口",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "承認の道筋そのものが、開発の途中で書き換えられた。2022年の薬機法改正で創設された緊急承認制度は、緊急に必要性がある薬について、通常必要な3段階の臨床試験のうち第2相までの結果で有効な可能性を示せれば、いったん承認する仮免許的な制度であった。後の大規模な第3相試験などで良好な結果が得られれば正式承認へ移る建て付けで、有効性の確認を先送りする代わりに供給を早める設計になっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "緊急承認制度は、通常必要な3段階の臨床試験のうち第2相の結果で有効な可能性を示せればいったん承認する仮免許的制度で、後の第3相試験などで良好な結果が得られれば正式承認となる",
                      "原文": "今回、ゾコーバに適用された緊急承認制度は、緊急に必要性がある薬について、通常必要なヒトでの３段階の臨床試験のうち、２段階目（少数の患者で行う第２相試験）の結果で有効な可能性を示せれば、いったんは承認する仮免許的制度。後に大規模な患者数で行う第３相試験などで良好な結果が得られれば、正式承認となる。",
                      "source": "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
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                },
                {
                  "text": "塩野義は2022年2月25日、第2相相当にあたる497例のデータで製造販売承認を申請し、5月27日に緊急承認制度への適用希望へと申請の内容を変更した。同年3月には厚生労働省との間で国内供給に関する基本合意書を結んでおり、承認の可否が決まる前に、供給の枠組みだけが先に組み上がっていた。制度と調達と生産の三つが、承認審査と並走する形になった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2022年2月25日にPhase 2a/2b部分の497例のデータで申請し、5月27日に緊急承認制度への適用希望に変更した",
                      "原文": "Phase 2a/2b部分の497例のデータをもって2月25日に申請し、5月27日に緊急承認制度への適用希望に変更しました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年11月22日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/11/20221122.html"
                    },
                    {
                      "fact": "2022年3月に厚生労働省との間でゾコーバの国内供給に関する基本合意書を締結していた",
                      "原文": "本年３月に厚生労働省との間で締結した本治療薬の国内供給に関する基本合意書に基づき",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年12月13日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本国政府による追加購入に関する契約の締結について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/12/20221213-1.html"
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        {
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          "label": "決断",
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              "sub_title": "第3相の速報段階で承認を取りにいく",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2022年11月22日、厚生労働省はゾコーバ錠125mgの製造販売を承認した。審議に用いられたのは、第3相部分の1,821例の速報データであった。試験の完了を待たずに判断が下された形であり、塩野義はこの薬が緊急承認制度が適用された最初の承認医薬品であると発表している。効能・効果はSARS-CoV-2による感染症とされ、重症化リスクの高低を問わず使える薬として承認された。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2022年11月22日付で厚生労働省より承認を取得し、ゾコーバは緊急承認制度が適用された最初の承認医薬品となった",
                      "原文": "2022年11月22日付で厚生労働省より、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づく緊急承認制度による製造販売承認を取得しました。ゾコーバは同制度が適用された最初の承認医薬品となります。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年11月22日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/11/20221122.html"
                    },
                    {
                      "fact": "承認審議はPhase 3部分の1,821例の速報データに基づいて行われた",
                      "原文": "Phase 3部分の1,821例の速報データに基づき11月22日に審議・承認されました。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年11月22日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/11/20221122.html"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "審議の対象となったデータは、承認後も評価が割れた。第2相試験では血中のウイルス量の減少は認められたものの、症状の改善は決定的には示せず、のちに評価項目をオミクロン株に特徴的な症状へ絞り込むことで有効性が示唆され、承認に至った経緯があった。臨床試験の開始時期はワクチン接種者が大多数を占め、ウイルスの変異も重なっていたため、重症化予防効果を証明するには不利な状況であったとされる。この点が医師の間で論争を呼んだ。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "第2相試験では血中ウイルス量の減少は認められたが決定的な症状改善は示せず、評価をオミクロン株に特徴的な症状に絞り込むことで有効性が示唆され緊急承認に至った",
                      "原文": "ゾコーバは、第２相試験で血中のウイルス量の減少は認められたものの、決定的な症状改善は示せなかった。後に症状改善評価をオミクロン株に特徴的な症状に絞り込むことで有効性が示唆されたため、緊急承認に至った。この点が医師の間での論争を巻き起こした。",
                      "source": "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "臨床試験開始時は重症化予防効果があるワクチン接種者が大多数を占め、ウイルスの変異も重なり、重症化予防効果を証明するには不利な状況であった",
                      "原文": "ゾコーバの臨床試験開始時は、重症化予防効果があるワクチン接種者が大多数を占めたうえ、ウイルスの変異も重なっていた。そのためほかの薬と比べ、重症化予防効果などを証明するには不利な状況だった。",
                      "source": "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
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            },
            {
              "sub_title": "承認と同日に決まっていた出口",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "承認の当日、日本政府が100万人分を購入する売買契約が別途締結された。塩野義は翌日から医薬品卸への出庫を開始する予定であるとし、承認から供給までの間隔を実質的にゼロにした。臨床試験前から製造設備を造り始めていた2020年の判断が、ここで効いている。承認と同時に納められるだけの在庫と生産能力が用意されていなければ、この日程は組めない。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "承認と同日に日本政府が100万人分を購入する売買契約を別途締結し、翌日から医薬品卸への出庫を開始する予定とした",
                      "原文": "日本政府が100万人分を購入する売買契約を別途締結し、明日より医薬品卸への出庫を開始する予定です。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年11月22日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/11/20221122.html"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "買い上げは一度で終わらなかった。2022年12月12日付で、日本政府がさらに100万人分を追加購入する契約が結ばれ、年内に追加数量分を納品する予定とされた。同月15日からは都道府県が選定した医療機関・薬局でも取り扱いが始まった。政府調達を出口に据えた供給の設計により、承認された薬は市場での立ち上がりを待たずに販売数量が確定した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2022年12月12日付で日本政府が100万人分を追加購入する契約を締結し、年内に追加数量分を納品する予定とされ、12月15日から都道府県選定の医療機関・薬局でも取り扱いが始まった",
                      "原文": "2022年12月12日付で、日本国政府が100万人分のゾコーバ錠を追加購入する契約を締結しました。2022年12月15日より都道府県選定の医療機関・薬局でも取り扱いを開始し、年内に追加数量分を納品する予定です。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年12月13日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本国政府による追加購入に関する契約の締結について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/12/20221213-1.html"
                    }
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                }
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            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "20年ぶりに書き換わった最高記録",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "政府が購入した200万人分は、2022年10〜12月期に1,000億円の売上として計上された。決算説明会でも、新型コロナ関連製品について日本政府によるゾコーバの買取により1,000億円になったと説明されている。この一括計上により2023年3月期の売上収益は4,267億円、営業利益1,490億円、当期利益1,850億円となり、いずれも創業以来の最高を更新した。従来の最高売上は2002年の4,202億円で、売上の更新は20年越しであった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "日本政府が200万人分を購入し、2022年10〜12月期に1,000億円の売上を計上した",
                      "原文": "日本政府が200万人分を購入、10〜12月期に1000億円の売り上げを計上",
                      "source": "日本経済新聞 2023年1月30日「塩野義製薬のコロナ薬「ゾコーバ」、政府購入で1000億円」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF279VF0X20C23A1000000/"
                    },
                    {
                      "fact": "決算説明会で、COVID-19関連製品について日本政府によるゾコーバの買取により1,000億円となったと説明された",
                      "原文": "COVID-19関連の製品については、日本政府によるゾコーバの買取により1,000億円となっています。",
                      "source": "塩野義製薬 2023年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2023年3月期の売上収益4,267億円・営業利益1,490億円・当期利益1,850億円はいずれも過去最高で、従来の最高売上は2002年の4,202億円であった",
                      "原文": "2023年3月期の売上収益は4,267億円（27.3%増）、営業利益1,490億円（35.1%増）、当期利益1,850億円となり、いずれも創業以来の過去最高を更新した。塩野義の従来の最高売上は2002年の4,202億円で、売上の最高更新は20年越しの達成だった。",
                      "source": "塩野義製薬 有価証券報告書（連結財務諸表・2023年3月期）",
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                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "供給の形も、政府の買い上げから通常の商流へ移った。2023年3月31日、塩野義はゾコーバの一般流通を開始した。それまでは政府が買い上げたうえで、事前に登録した医療機関へ無償で配分される仕組みであり、安定供給の見通しが立ったことで卸を通じた通常の販売に切り替えられた。緊急時の調達品から、医療現場が自ら選んで買う薬へと、置かれる位置が変わった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2023年3月31日にゾコーバの一般流通を開始した。それまでは政府が買い上げたうえで登録した医療機関に無償配分される仕組みであった",
                      "原文": "新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始について",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2023年3月31日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2023/3/20230331.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "現場での評価と、通常承認までの1年4カ月",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "数字の伸びと、医療現場の受け止めは一致しなかった。緊急承認から間もなく1年という時点で、感染症専門医の間ではゾコーバの処方に慎重な声が続いた。埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭 氏は、自身も周囲の専門医も積極的な使用はしていないとしたうえで、入院や死亡のリスクを減らすエビデンスがある他の2剤の処方優先順位が高いのは当然であり、現状のエビデンスではゾコーバの優先順位が高まることはないと述べている。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授は、自身も周囲の専門医も積極的な使用はしておらず、現状のエビデンスではゾコーバの処方優先順位が高まることはないと述べた",
                      "原文": "「私も周囲の専門医も積極的な使用はしていない」と言う。（中略）「実際の診療では、入院や死亡のリスクを減らすことが最優先だ。そのエビデンスがあるほかの２種類の薬の処方優先順位が高いのは当然。今あるエビデンスではゾコーバの処方優先順位が高まることはない」",
                      "source": "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "ゾコーバには催奇形性があり妊娠中の女性への処方は禁じられているが、2022年11月24日から2023年9月10日までに妊娠中の女性23人（うち5人は疑い）への処方が判明した",
                      "原文": "一方、ゾコーバは胎児に奇形が生じる危険性がある「催奇形性」があるため、妊娠中の女性への処方は禁じられている。（中略）それでもなお、２２年１１月２４日から２３年９月１０日までに妊娠中の女性２３人（うち５人は疑い）への処方が判明した。",
                      "source": "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "仮免許の状態は、2024年3月5日に解かれた。塩野義は同日、ゾコーバの通常承認を取得したと発表している。提出されたのは、感染性を有するウイルスの速やかな低下などの有効性データと、90万人以上と推定される患者での安全性データであった。通常承認により、緊急承認下で必要とされていた文書による患者からの同意取得の手続きが不要となった。承認から1年4カ月を要して、この薬は制度上の仮の位置を離れた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2024年3月5日に通常承認を取得し、感染性を有するウイルスの低下などの有効性データと90万人以上（推定）の患者での安全性データが提出された",
                      "原文": "日本において緊急承認を取得した後、通常承認申請を実施し、本日付で通常承認を取得しました。（中略）感染性を有するSARS-CoV-2ウイルス（ウイルス力価）の速やかな低下等に関する有効性データ、および90万人以上（推定）の患者さまでの安全性に関するデータ",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2024年3月5日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本における通常承認の取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2024/03/20240305.html"
                    },
                    {
                      "fact": "通常承認により、緊急承認下で必要であった文書による患者からの同意取得の手続きが不要となった",
                      "原文": "緊急承認下での本剤の処方時に必要であった、文書による患者さまからの同意取得の手続きが不要となります。",
                      "source": "塩野義製薬 ニュースリリース 2024年3月5日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本における通常承認の取得について」",
                      "url": "https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2024/03/20240305.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "承認より先に工場を建てるということ",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "臨床試験を始める前から製造設備を造り始めていた——2020年10月に手代木功 氏が明かしたこの一言に、ゾコーバをめぐる判断の全部が入っている。開発の成否が決まる前に生産へ資金を投じる行為は、失敗すれば設備がそのまま損失に変わる。それでも先に建てたからこそ、2022年11月22日に承認が下りた翌日から卸への出庫を始められ、200万人分という数量を四半期の売上に載せられた。安全性を理由にワクチン開発を急がないと語った経営者が、生産では普通では考えられないリスクを取ると認めていた点に、この会社の資源配分の癖がうかがえる。"
                },
                {
                  "text": "ただし、取ったリスクが報われた範囲は、数字の側に偏っている。売上と利益は過去最高を更新したものの、感染症専門医の間では処方の優先順位が上がらず、催奇形性のある薬が妊娠中の女性23人に処方された事実も残った。有効性の確認を後回しにして供給を早める緊急承認制度の性格が、そのまま評価の分かれ目になったといえる。国の緊急調達に応えた最初の国産薬という位置は、制度の設計と企業の準備がかみ合った成果であると同時に、承認の速さが現場の納得を連れてくるとは限らないことを示している。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年11月22日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2022年12月13日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本国政府による追加購入に関する契約の締結について」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2023年3月31日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始について」",
        "塩野義製薬 ニュースリリース 2024年3月5日「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）治療薬「ゾコーバ錠125mg」の日本における通常承認の取得について」",
        "週刊東洋経済 2020年10月10日号「トップに直撃 塩野義製薬 社長 手代木 功 「安全性を重視し、コロナワクチン開発を焦らない」」",
        "週刊東洋経済 2023年10月14日号「【第1特集 薬クライシス】Part1 製薬の光と影 真価の見極めにはデータが不足 国産コロナ薬「ゾコーバ」専門医に使われない現実」",
        "日本経済新聞 2023年1月30日「塩野義製薬のコロナ薬「ゾコーバ」、政府購入で1000億円」",
        "塩野義製薬 2023年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答",
        "塩野義製薬 有価証券報告書（連結財務諸表・2023年3月期）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-26"
    }
  ]
}
