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      "year": 2002,
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      "type": "strategy",
      "tags": [
        "gv-labor",
        "st-tech"
      ],
      "title": "ワークスアプリケーションズの問題解決能力発掘インターンシップ導入",
      "subtitle": "カスタマイズしないパッケージを作るために、なぜ学生の選抜と教育まで自前で抱えたのか",
      "status": "implemented",
      "status_label": "実施",
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      "highlights": [
        {
          "label": "概要",
          "text": "2002年8月、ワークスアプリケーションズが「問題解決能力発掘インターンシップ」を始めた経営判断。学生に実務に近い課題を解かせ、成績上位者へ入社資格を与える方式を採り、2008年には年間1,800人の学生を受け入れる規模に達した。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "同社は代理店も下請け開発も使わず、顧客と要件を詰める工程から実装までを同じ社員に担当させていた。この作り方は分業に慣れた中途採用者と相性が悪く、必要な人材を新卒から育てるほかなかった。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "1999年に始めたプロフェッショナル養成特待生制度を発展させ、選考の場を社外の学生へ広げた。日本企業のインターンシップが会社見学の域を出なかった時代に、実務課題の成績で入社資格を配る方式を採った。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "採用施策というより、製品設計から逆算した生産要素の確保にあたる。標準機能を厚くし続けるという製品戦略と、育成に時間を要する人員構成は表裏の関係にあり、後年に人員が急増した時期には同じ関係が制約として働いた。"
        }
      ],
      "parties": [
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          "name": "ワークスアプリケーションズ",
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            "note": "大企業向け人事・給与パッケージ「COMPANY」の専業。店頭登録の翌年で、連結売上高は50億円台に届く前"
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        }
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      "dates": {
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          "title": "プロフェッショナル養成特待生制度を開始し港区芝に研修室を新設"
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        {
          "year": 2001,
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          "title": "日本証券業協会に株式を店頭登録"
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          "title": "問題解決能力発掘インターンシップを開始",
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        {
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          "title": "ジャスダック証券取引所に株式を上場"
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          "title": "年間1,800人の学生を受け入れる規模に達する"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "2002年6月期",
        "source": "会社公式サイト（2005年時点の業績推移）／有価証券報告書・単体",
        "companies": [
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            "name": "ワークスアプリケーションズ",
            "fiscal_year": "2002年6月期（単体）",
            "president": "牧野正幸",
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          "label": "背景",
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              "sub_title": "分業しないという製品設計上の制約",
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                {
                  "text": "ワークスアプリケーションズが掲げた製品の条件は、日本独自の業務と文化を網羅すること、個別のソフトウエアカスタマイズが不要であること、高い投資利益率を実現することの三つだった。海外製のパッケージが日本企業固有の手続きを例外処理として切り捨て、その処理を各社ごとのカスタマイズで埋めていたのに対し、同社は例外の側を標準機能へ引き取ると決めた。標準機能を厚くし続けることが、そのまま競争力の中身になる設計であった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "日本独自の業務・文化の網羅、カスタマイズ不要、高い投資利益率の3条件を製品の条件に据えていた",
                      "原文": "日本独自の業務と文化を網羅すること、個別のソフトウエアカスタマイズが不要であること、高い投資利益率を実現することの三つだった。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期【事業の内容】",
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                },
                {
                  "text": "この設計は、開発の進め方まで規定した。同社は販売代理店も下請けの開発部隊も置かず、顧客と要件を詰める工程から実際の開発までを同じ社員に担当させた。阿部孝司氏はその理由を分業の副作用に求めた。「お客様に接する最も優秀な人間が、『こうしたらすばらしい』というデザインを描いたとしますよね。しかし、それを作る人間が自分ほど優秀ではない場合、『現実的には無理かな』と作り込みの部分で妥協してしまうのです」。業界の通例では、要望を聞く工程に優秀な人材を充て、作り込みは単価の安い技術者に任せる。その通例を採らないと決めた時点で、必要な人材の要件が跳ね上がった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "代理店と下請け開発を使わず、顧客対応から開発までを同一の社員が担当していた",
                      "原文": "同社は販売代理店も下請けの開発部隊も置かず、顧客と要件を詰める工程から実際の開発までを同じ社員に担当させた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
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                    {
                      "fact": "分業すると実装側が妥協するため設計と実装を分けないと説明している",
                      "原文": "お客様に接する最も優秀な人間が、『こうしたらすばらしい』というデザインを描いたとしますよね。しかし、それを作る人間が自分ほど優秀ではない場合、『現実的には無理かな』と作り込みの部分で妥協してしまうのです",
                      "source": "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
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                {
                  "text": "求める人材は、顧客の業務を理解して仕様を描き、そのうえで自分で作れる社員だった。ところが業界の主流である分業に慣れた技術者は、この働き方へ移りにくい。阿部氏は「一度分業に慣れてしまうと、設計の段階で妥協する癖が付いてしまいます。転職者にワークスの仕事に慣れてもらうのは一苦労です。そのために新卒採用者を徹底的に教育しています」と述べた。労働市場に完成品が存在しない以上、供給は自前で作るほかなかった。1999年4月に始めたプロフェッショナル養成特待生制度、後のテクノロジスト養成特待生制度と、港区芝の研修室の新設が、その最初の形にあたる。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "分業に慣れた転職者は適応が難しいため新卒を徹底教育していた",
                      "原文": "一度分業に慣れてしまうと、設計の段階で妥協する癖が付いてしまいます。転職者にワークスの仕事に慣れてもらうのは一苦労です。そのために新卒採用者を徹底的に教育しています",
                      "source": "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
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                    {
                      "fact": "1999年4月にプロフェッショナル養成特待生制度を開始し東京都港区芝に研修室を新設した",
                      "原文": "1999年4月に始めたプロフェッショナル養成特待生制度、後のテクノロジスト養成特待生制度と、港区芝の研修室の新設が、その最初の形にあたる。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期【沿革】",
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
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              "sub_title": "選考の場を社外の学生へ開く",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2002年8月、同社は「問題解決能力発掘インターンシップ」を始めた。学生に実務へ近い課題を解かせ、その成績で上位者を選び、入社資格を与える方式である。当時の日本企業のインターンシップは職場見学と業務説明が中心で、選考と切り離して運用するのが通例だった。同社はその区別を取り払い、インターンシップそのものを選抜の場に据えた。名称に「発掘」の語を入れた点にも、学歴や志望動機ではなく課題を解く力で選ぶという意図が表れていた。",
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                      "原文": "2002年8月、同社は「問題解決能力発掘インターンシップ」を始めた。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期【沿革】",
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                {
                  "text": "規模は年を追って膨らんだ。2008年の時点で、同社は毎年1,800人の学生を受け入れた。同じ年度の連結従業員は1,398人であり、受け入れた学生の数が社員の数を上回っていた。採用の窓口というより、社外に開いた選抜と教育の装置として動いていたと見るのが自然である。牧野正幸氏は2004年の誌上で、この仕組みを高校生まで広げる構想も語った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2008年時点で毎年1,800人の学生を受け入れていた",
                      "原文": "2008年の時点で、同社は毎年1,800人の学生を受け入れた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2008年3月8日号「特集 『地頭力』はこう鍛える」",
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                    {
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                      "原文": "同じ年度の連結従業員は1,398人であり、受け入れた学生の数が社員の数を上回っていた。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期【主要な経営指標等の推移】",
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                    {
                      "fact": "牧野正幸は2004年に高校生インターン構想を語っていた",
                      "原文": "牧野正幸氏は2004年の誌上で、この仕組みを高校生まで広げる構想も語った。",
                      "source": "週刊東洋経済 2004年11月20日号「The Talk 牧野正幸」",
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        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
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              "sub_title": "採用の名物化と、模倣されなかった理由",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この仕組みは同社の知名度を押し上げた。就職活動を扱う特集で同社のインターンシップ風景が繰り返し取り上げられ、2010年の働きがいのある会社調査では第1位に挙げられた。人員は2004年6月期の連結539名から2010年6月期の2,216名へ増え、同じ期間に連結売上高も70億1,300万円から209億8,800万円へ伸びた。売上の伸びが3.0倍に対して人員は4.1倍で、人を増やすことが、そのまま売上を作る手段になっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2010年の働きがいのある会社調査で第1位に挙げられていた",
                      "原文": "2010年の働きがいのある会社調査では第1位に挙げられた。",
                      "source": "週刊東洋経済 2010年12月21日号「特集 2011年大予測」",
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                    {
                      "fact": "連結売上高は2004年6月期70億1,300万円から2010年6月期209億8,800万円、連結従業員は539名から2,216名へ増えた",
                      "原文": "人員は2004年6月期の連結539名から2010年6月期の2,216名へ増え、同じ期間に連結売上高も70億1,300万円から209億8,800万円へ伸びた。",
                      "source": "有価証券報告書 第10期・第14期【主要な経営指標等の推移】",
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                },
                {
                  "text": "競合が同じ方式を採らなかった理由を、阿部氏は労力に求めた。顧客の要望ではなく欲求の本質を自分の頭で考える社員を育てるのは容易ではなく、そこを担える人間の教育が難しい、という説明だった。模倣を防いでいたのは製品の機能そのものではなく、その機能を作り続ける人の供給網のほうだった。同社が新卒採用と教育に固執したのは、そこが競争優位の在処だったからである。",
                  "evidences": [
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                      "fact": "競合が追随しない理由を教育の難しさに求めている",
                      "原文": "顧客の要望ではなく欲求の本質を自分の頭で考える社員を育てるのは容易ではなく、そこを担える人間の教育が難しい、という説明だった。",
                      "source": "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
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            },
            {
              "sub_title": "強みの条件が、そのまま制約の条件になった",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この判断の核心は、採用の工夫ではなく、製品設計から人材要件を逆算した点にある。カスタマイズをなくすには標準機能を厚くするしかなく、厚くするには設計と実装を分けない社員が要り、その社員は新卒から育てるほかない。三つは一本の線でつながっており、どれか一つだけを真似ても機能しない。競合が追随できなかったのは、機能表を写すことはできても、この線を丸ごと引き直す必要があったからだと考えられる。"
                },
                {
                  "text": "もっとも、同じ線は制約としても働いた。育成に時間を要することを前提に組まれた仕組みは、人員が年に千人単位で増える速度と両立しない。同社の連結従業員は2010年6月期の2,216名から2017年6月期の7,559名へ7年で3.4倍になり、その間に製品の作り直しも並行して走った。強みを支えていた条件が、規模と速度の変化によって重荷へ転じた。人を先に採るという判断は、採った人を育て切れる速度の内側でのみ成立するものであった。"
                },
                {
                  "text": "なお、この仕組みを人材理念の表明として読むのは正確ではない。同社が新卒に賭けたのは、労働市場に必要な人材が存在しなかったからであり、理念が先にあったわけではないであろう。産業の側に分業の慣行がある限り、その慣行を採らない企業は自前で人を作るしかない。同じ構造は、独自の作り方を選んだ製造業にも繰り返し現れる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "有価証券報告書 第10期・第14期（株式会社ワークスアプリケーションズ）",
        "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
        "週刊東洋経済 2008年3月8日号「特集 『地頭力』はこう鍛える」",
        "週刊東洋経済 2004年11月20日号「The Talk 牧野正幸」",
        "週刊東洋経済 2010年12月21日号「特集 2011年大予測」"
      ],
      "authored": "2026-08",
      "last_updated": "2026-08-02"
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      "slug": "mbo-delisting-2011",
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      "title": "ワークスアプリケーションズの経営陣による買収と株式非公開化",
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          "text": "2011年1月31日、経営陣が参加するWPKホールディングスが1株5万5,000円で公開買付けを実施し、ワークスアプリケーションズを非公開化した経営判断。買付代金は最大255億円で、同年6月に上場を廃止した。"
        },
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          "text": "上場後の7年から8年にわたり売上高と利益の成長を求められ、牧野正幸氏は採用と開発費を抑えざるを得ない状態に置かれていた。標準機能を厚くし続けるという製品戦略と、四半期ごとの利益要求が同じ資源を奪い合っていた。"
        },
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          "text": "買付価格は前営業日終値に34.15%のプレミアムを乗せた水準で、新株予約権は1個1円。買付期間は2月1日から3月15日までの30営業日。牧野氏 正幸氏ら経営陣はWPKホールディングスの株主となったうえで、取締役会として買付に賛同した。"
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          "text": "業績の悪化に追われた撤退ではない。直前期の連結売上高は209億円台で黒字を保っており、製品の評価も高かった。得た自由は製品の作り直しと採用の拡大へ投じられ、その規模が後年の危機を招いた。"
        }
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                  "text": "上場後の同社は、人事から会計・調達・顧客管理へ製品を広げながら規模を伸ばした。連結売上高は2004年6月期の70億1,300万円から2010年6月期の209億8,800万円へ、連結従業員は539名から2,216名へ増えた。しかし利益の勢いは2008年6月期で止まった。同期の連結経常利益34億3,700万円・当期純利益19億9,700万円を頂点として、翌2009年6月期は経常利益10億3,100万円・当期純利益2億2,900万円へ落ちた。売上高は微増しており、減益の主因は費用の側にあった。",
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                      "source": "有価証券報告書 第10期・第14期【主要な経営指標等の推移】",
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                  "text": "同期の営業活動によるキャッシュ・フローは16億7,600万円の流出に転じ、前期の29億4,600万円の流入から反転した。人員が1,398名から1,758名へ増えた期でもある。設計と実装を分けない開発体制を採る同社にとって、人を増やすことは売上を作る手段であると同時に、費用が先に立つ投資でもあった。教育に時間を要する新卒中心の採用では、費用と収益の間に数年の隔たりが生じる。",
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                  "text": "株主構成は、創業者が持ち分を握ったまま機関投資家が積み上がる形だった。2010年6月末の大株主は石川芳郎氏が11.49%で筆頭に立ち、日本トラスティ・サービス信託銀行9.82%、日本マスタートラスト信託銀行9.77%と続く。牧野氏 正幸氏は6.11%、阿部孝司氏は5.75%を保有していた。事業会社の親会社を持たず、創業三人の合計が23%台にとどまる構成では、四半期ごとの説明責任が経営の自由度を直接に削る。",
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                      "原文": "2010年6月末の大株主は石川芳郎氏が11.49%で筆頭に立ち、日本トラスティ・サービス信託銀行9.82%、日本マスタートラスト信託銀行9.77%と続く。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期【大株主の状況】",
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                {
                  "text": "牧野氏 正幸氏は後年、上場してからの7年から8年は売上高も利益も伸ばし続ける必要があり、利益を求める投資家に応えるためには「人員の採用を抑え、開発費も抑えざるを得ません」という状態に置かれたと述懐した。同社の製品は、日本企業の例外処理を標準機能として抱え込むほど厚くなる設計であり、その厚みを作るのは新卒から育てた人員だった。人を減らせば製品が薄くなり、製品が薄くなれば海外製パッケージとの差が消える。上場の維持と製品戦略が同じ資源を奪い合う構造は、事業が大きくなるほど強まった。",
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                    {
                      "fact": "牧野正幸は上場維持のために採用と開発費を抑えざるを得なかったと述べている",
                      "原文": "利益を求める投資家に応えるためには「人員の採用を抑え、開発費も抑えざるを得ません」という状態に置かれたと述懐した。",
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                {
                  "text": "2011年1月31日、経営陣による買収が公表された。公開買付者はWPKホールディングス、買付価格は普通株式1株5万5,000円で、前営業日の終値に34.15%のプレミアムを乗せた水準にあたる。新株予約権は1個1円、買付代金は最大255億円、買付期間は2月1日から3月15日までの30営業日と定められた。牧野氏 正幸氏ら経営陣はWPKホールディングスの株主となったうえで、取締役会として買付に賛同し、株主への応募推奨を決議した。買付は成立し、同社株式は2011年6月に大阪証券取引所JASDAQ市場での上場を廃止した。",
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                      "原文": "買付価格は普通株式1株5万5,000円で、前営業日の終値に34.15%のプレミアムを乗せた水準にあたる。",
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                    {
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                {
                  "text": "掲げられた狙いは、人材の獲得と研究開発への長期投資だった。企業買収や事業分割、本社と子会社の海外移転までを視野に入れ、意思決定を速めることも理由に挙げた。牧野氏 正幸氏の頭にあったのは限界という二文字で、これ以上の上場維持は無理だという判断があったと後に語られた。四半期ごとに利益を示す義務から離れることで、費用が先に立つ採用と開発を再開できる、という筋書きにあたる。",
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        {
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                {
                  "text": "市場を降りた時点の同社は追い込まれてはいない。2011年6月期の連結売上高は231億円、当期純利益は12億6,000万円の黒字だった。翌2012年5月に阿部氏が誌上で語った売上高も約240億円である。同じ対談で楠木建氏は「ワークスのパッケージは日本の大企業の3割が導入するほど好評」と評しており、製品の評価はこの時期に最も高かった。非公開化は、危機からの退避ではなく、投資を再開するための資本構成の組み替えだった。",
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                    {
                      "fact": "2011年6月期の連結売上高は231億円、当期純利益は12億6,000万円だった",
                      "原文": "2011年6月期の連結売上高は231億円、当期純利益は12億6,000万円の黒字だった。",
                      "source": "決算公告",
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                    {
                      "fact": "楠木建は日本の大企業の3割が同社パッケージを導入していると述べた",
                      "原文": "同じ対談で楠木建氏は「ワークスのパッケージは日本の大企業の3割が導入するほど好評」と評しており",
                      "source": "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
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                },
                {
                  "text": "得た自由は宣言どおりに使われた。2014年4月に次世代型の大手企業向けERP「HUE」のコンセプトを公表し、報じられた開発費は300億円規模に達した。採用も並行して膨らみ、連結従業員は2010年6月期の2,216名から2017年6月期の7,559名へ7年で3.4倍になった。売上高も2011年6月期の231億円から2017年6月期の446億円へ伸びた。ただし利益は付いてこず、2012年6月期から2017年6月期までの6期のうち5期が当期純損失だった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "HUEの開発費は300億円規模と報じられた",
                      "原文": "2014年4月に次世代型の大手企業向けERP「HUE」のコンセプトを公表し、報じられた開発費は300億円規模に達した。",
                      "source": "IT Leaders「ワークスAP『HUE』の開発費は300億円、100ミリ秒のレスポンスにこだわる」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "連結従業員は2010年6月期2,216名から2017年6月期7,559名へ増え、2012年6月期以降は2015年6月期を除き当期純損失が続いた",
                      "原文": "連結従業員は2010年6月期の2,216名から2017年6月期の7,559名へ7年で3.4倍になった。",
                      "source": "有価証券報告書 第14期／決算公告",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "非公開化そのものより、その後の使い道が結果を分けた",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この判断を後知恵で誤りと断じるのは公平でない。上場を続けたまま年間売上高に迫る額を製品の作り直しへ投じるのは難しく、実際に上場末期の3年間は経常利益が伸びていない。日本企業の例外処理を標準機能として抱え込む設計は、基盤技術が変われば作り直しを避けられず、先送りすれば製品ごと陳腐化する。非公開化は、その作り直しに必要な時間を買う手段として理にかなっていた。"
                },
                {
                  "text": "誤算があったとすれば、作り直しと人員の3.4倍化を同時に走らせた点にあるとみられる。設計と実装を分けず、新卒を育ててから前線へ置くという同社の作り方は、教育に時間を要することを前提としていた。年に千人規模で人が増える速度は、その前提と両立しない。市場の監視から離れたことで、投資の規模を外から問われる機会も減った。上場が課していた制約は開発の重荷であると同時に、規模の歯止めでもあったと考えられる。"
                },
                {
                  "text": "MBOを検討する企業にとって、この事例が示すのは価格や手続きの問題ではない。市場を降りて得られるのは時間と自由であって、その時間を何に使うかは別の判断として残る。同社は使い道を製品と人の両方に置き、どちらも当時の売上規模に対して大きすぎた。降りる判断と、降りたあとの規律は、切り離して設計する必要がある。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "M&A Online「ワークスアプリケーションズ、MBOにより非公開化へ」（2011年1月31日）",
        "NIKKEIリスキリング「ワークス創業以来の危機 上場廃止を選ばせた『初心』」",
        "IT Leaders「ワークスアプリがMBO実施、M&Aや海外展開を積極化」",
        "IT Leaders「ワークスAP『HUE』の開発費は300億円、100ミリ秒のレスポンスにこだわる」",
        "週刊東洋経済 2012年5月2日号「楠木建の戦略ストーリー対談 楠木建×阿部孝司・ワークスアプリケーションズCOO」",
        "有価証券報告書 第10期・第14期（株式会社ワークスアプリケーションズ）"
      ],
      "authored": "2026-08",
      "last_updated": "2026-08-02"
    },
    {
      "slug": "hr-business-divestiture-2019",
      "url": "/tse/4329/decisions/hr-business-divestiture-2019/",
      "year": 2019,
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      "title": "ワークスアプリケーションズのHR事業売却と会社分割",
      "subtitle": "黒字の主力を売り、赤字の新規事業を手元に残す判断はどう決まったか",
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      "status_label": "実施",
      "scheme": "会社分割（吸収分割）＋株式譲渡",
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          "role": "ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者"
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      "highlights": [
        {
          "label": "概要",
          "text": "2019年6月21日、ワークスアプリケーションズが会社分割によって主力のHR事業を切り出し、ベインキャピタルへ約1,000億円で譲渡すると公表した経営判断。承継会社は同年8月1日に株式会社Works Human Intelligenceとして事業を始めた。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "2018年6月期に当期純損失179億5,700万円を計上し、利益剰余金は142億9,800万円の欠損に転じていた。金融機関の交渉担当者は手元資金が2019年夏に枯渇しそうだと見ており、時間の余裕はなかった。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "会社丸ごとの売却交渉が春に頓挫したのち、収益源であるHR事業のみを切り出す方式へ切り替えた。複数の投資ファンドが応札し、最後は海外大手ファンド同士の一騎打ちとなって、当初想定の倍にあたる約1,000億円で決着した。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "売ったのは黒字の主力で、手元には赤字の新規事業が残った。譲渡益で200億円超の借入金を全額返済し、残された会計・サプライチェーン事業は4期で黒字へ戻った。切り出す単位の選び方が結果を左右した事例にあたる。"
        }
      ],
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            "note": "2018年6月期に当期純損失179億円台。利益剰余金は欠損。連結従業員はピークで7,559名"
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          "title": "兼松エレクトロニクスが14億円の賠償請求訴訟を提起"
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        {
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          "title": "HR事業をWorks Human Intelligenceに承継"
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          "month": 10,
          "title": "牧野正幸氏が代表取締役CEOを退任し秦修氏が就任"
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        {
          "year": 2024,
          "month": 6,
          "title": "当期純利益6億900万円を計上し分社後はじめて黒字となる"
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      "snapshot": {
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        "source": "官報決算公告 第22期・単体",
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            "name": "ワークスアプリケーションズ",
            "fiscal_year": "2018年6月期（単体）",
            "president": "牧野正幸",
            "hq": "東京都港区",
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              "sub_title": "欠損と訴訟が同じ年に重なる",
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                {
                  "text": "2018年6月期の単体決算は、売上高398億3,200万円に対して当期純損失179億5,700万円を計上した。利益剰余金は142億9,800万円の欠損に転じた。総資産は519億6,000万円あったものの、欠損の大きさは自力での立て直しが難しい水準に達していた。増収を続けながら赤字を重ねる状態は2012年6月期から続いており、この期の損失はその累積が表に出たものにあたる。",
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                    {
                      "fact": "2018年6月期の単体売上高は398億3,200万円、当期純損失179億5,700万円、利益剰余金は142億9,800万円の欠損だった",
                      "原文": "2018年6月期の単体決算は、売上高398億3,200万円に対して当期純損失179億5,700万円を計上した。利益剰余金は142億9,800万円の欠損に転じた。",
                      "source": "官報決算公告 第22期",
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                    {
                      "fact": "2018年6月期の総資産は519億6,000万円だった",
                      "原文": "総資産は519億6,000万円あったものの、欠損の大きさは自力での立て直しが難しい水準に達していた。",
                      "source": "官報決算公告 第22期",
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                  ]
                },
                {
                  "text": "品質をめぐる係争も同時に進んでいた。2017年6月26日に兼松エレクトロニクスが約14億3,080万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所へ提訴し、2018年11月には古河電気工業グループが約50億円の賠償を求めて提訴した。争点は、パッケージソフトの売り手がシステムの完成に責任を負うかどうかだった。同社は「パッケージソフトは複数社に提供することが前提であり、古河電工だけに向けた機能の開発は約束していない」として完成責任を否定したが、係争そのものが新規の受注活動に影を落とした。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2017年6月26日に兼松エレクトロニクスが約14億3,080万円の損害賠償請求訴訟を提起した",
                      "原文": "2017年6月26日に兼松エレクトロニクスが約14億3,080万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所へ提訴し",
                      "source": "IT Leaders「ワークスAPに対する14億円訴訟と情報誌の『経営不振』指摘、その深層を牧野CEOに聞く」",
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                    {
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                      "原文": "2018年11月には古河電気工業グループが約50億円の賠償を求めて提訴した。",
                      "source": "古河電気工業「訴訟の提起に関するお知らせ」（2018年11月6日）",
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                    {
                      "fact": "同社はパッケージソフトの提供を前提に完成責任を負わないと反論した",
                      "原文": "パッケージソフトは複数社に提供することが前提であり、古河電工だけに向けた機能の開発は約束していない",
                      "source": "日経クロステック「経理や購買システムの刷新が頓挫、ワークスアプリケーションズとの係争続く」（2020年4月24日）",
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                  ]
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            },
            {
              "sub_title": "会社丸ごとの売却が成立しなかった",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2019年に入って、牧野氏 正幸氏は会社を丸ごと引き取る買い手を国内外へ探した。金融機関の交渉担当者は「手元資金は今夏で枯渇しそう」と見ており、期限は数か月しかない。海外企業と500億円から600億円の規模でまとまりかけた交渉は、春頃に頓挫した。会社全体を買う相手にとっては、収益源であるHR事業と、赤字を出し続ける会計・サプライチェーン事業と、係争中の2件の訴訟が一つの束になっていた。束のままでは値が付きにくい構造にあった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "金融機関の交渉担当者は手元資金が2019年夏に枯渇しそうだと見ていた",
                      "原文": "手元資金は今夏で枯渇しそう",
                      "source": "日経ビジネス「ワークスアプリ、首の皮一枚から大逆転、HR事業売却へ」（2019年6月24日）",
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                    },
                    {
                      "fact": "海外企業と500億〜600億円規模でまとまりかけた交渉が春に頓挫した",
                      "原文": "海外企業と500億円から600億円の規模でまとまりかけた交渉は、春頃に頓挫した。",
                      "source": "日経ビジネス「ワークスアプリ、首の皮一枚から大逆転、HR事業売却へ」（2019年6月24日）",
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            }
          ]
        },
        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
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              "sub_title": "束を解いて、主力だけを売る",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "そこで方針を切り替え、収益源であるHR事業だけを会社分割で切り出して売る形にした。買い手から見れば、対象は国内大企業およそ1,100グループが人事給与に使っている製品と、その顧客基盤だけになる。赤字事業も訴訟も付いてこない。複数の投資ファンドが手を挙げ、最後は海外大手ファンド同士の一騎打ちとなって価格は一気に上がった。交渉関係者が年初に「買収総額が500億円いけば御の字」と語っていた案件が、約1,000億円で決着した。売り方を変えただけで値が倍になった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "当初は500億円いけば御の字とされた案件が約1,000億円で決着した",
                      "原文": "交渉関係者が年初に「買収総額が500億円いけば御の字」と語っていた案件が、約1,000億円で決着した。",
                      "source": "日経ビジネス「ワークスアプリ、首の皮一枚から大逆転、HR事業売却へ」（2019年6月24日）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "承継されたHR事業は約1,100企業グループに採用されていた",
                      "原文": "買い手から見れば、対象は国内大企業およそ1,100グループが人事給与に使っている製品と、その顧客基盤だけになる。",
                      "source": "週刊BCN+「主力のHRパッケージ事業を売却 会計や販売管理などで体制立て直し」（2019年7月6日）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "2019年6月21日に会社分割とHR事業の譲渡が公表され、8月1日付で承継会社が事業を始めた。譲渡先はベインキャピタルで、社名は株式会社Works Human Intelligenceとなる。承継されたのは主力の「COMPANY」シリーズと「HUE」シリーズの両方だった。新会社の社長に就いたのは、1996年の設立時に代表取締役社長を務めた石川芳郎氏である。同年10月、牧野正幸氏が代表取締役CEOを退任し、後任には秦修氏が就いた。創業から23年を経て、三人の共同創業者はそれぞれ別の会社に分かれた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2019年6月21日に公表し、8月1日にWorks Human Intelligenceが事業を開始した",
                      "原文": "2019年6月21日に会社分割とHR事業の譲渡が公表され、8月1日付で承継会社が事業を始めた。",
                      "source": "Works Human Intelligence「新会社Works Human Intelligence 事業開始のお知らせ」（2019年8月1日）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "新会社の社長には共同創業者の石川芳郎が就任し、牧野正幸は2019年10月に退任した",
                      "原文": "新会社の社長に就いたのは、1996年の設立時に代表取締役社長を務めた石川芳郎氏である。同年10月、牧野正幸氏が代表取締役CEOを退任し、後任には秦修氏が就いた。",
                      "source": "日経ビジネス「ワークスアプリ、首の皮一枚から大逆転、HR事業売却へ」（2019年6月24日）／東洋経済オンライン「赤字事業だけ残った企業が見出した再建への道」（2023年）",
                      "url": null
                    }
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                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "債務が消え、主力製品も消えた",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2019年6月期の単体決算は売上高260億2,800万円・当期純損失351億3,500万円で、利益剰余金は494億3,400万円の欠損へ達した。譲渡の効果が表れたのは翌期だった。2020年6月期は事業譲渡益によって当期純利益650億800万円を計上し、利益剰余金は141億9,200万円の黒字へ戻った。この資金で200億円を超える借入金を全額返済した。売却によって消えたのは債務と、創業以来の主力製品の両方だった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2019年6月期は当期純損失351億3,500万円、利益剰余金は494億3,400万円の欠損だった",
                      "原文": "2019年6月期の単体決算は売上高260億2,800万円・当期純損失351億3,500万円で、利益剰余金は494億3,400万円の欠損へ達した。",
                      "source": "官報決算公告 第23期",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2020年6月期は当期純利益650億800万円を計上し、200億円超の借入金を全額返済した",
                      "原文": "2020年6月期は事業譲渡益によって当期純利益650億800万円を計上し、利益剰余金は141億9,200万円の黒字へ戻った。この資金で200億円を超える借入金を全額返済した。",
                      "source": "官報決算公告 第24期／東洋経済オンライン「赤字事業だけ残った企業が見出した再建への道」（2023年）",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "手元に残ったのは、会計とサプライチェーンという、まだ収益になっていない製品群である。2020年2月に会計分野の第1号案件、2021年4月にサプライチェーン分野の第1号案件を納め、2022年6月期には係争中だった2件の訴訟が解決した。単体の売上高は2020年6月期の120億4,500万円から2022年6月期の19億300万円まで縮み、そこから2023年6月期48億6,400万円、2024年6月期93億4,500万円、2025年6月期111億2,900万円へ戻した。当期純利益は2024年6月期に6億900万円、2025年6月期に4億3,400万円で、事業譲渡益による2020年6月期を除けば分社後はじめての黒字にあたる。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2020年2月に会計分野、2021年4月にサプライチェーン分野の第1号案件を納入し、2022年6月期に2件の訴訟が解決した",
                      "原文": "2020年2月に会計分野の第1号案件、2021年4月にサプライチェーン分野の第1号案件を納め、2022年6月期には係争中だった2件の訴訟が解決した。",
                      "source": "東洋経済オンライン「赤字事業だけ残った企業が見出した再建への道」（2023年）",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "単体売上高は2022年6月期19億300万円を底に2025年6月期111億2,900万円へ回復し、2024年6月期に当期純利益6億900万円を計上した",
                      "原文": "単体の売上高は2020年6月期の120億4,500万円から2022年6月期の19億300万円まで縮み、そこから2023年6月期48億6,400万円、2024年6月期93億4,500万円、2025年6月期111億2,900万円へ戻した。",
                      "source": "官報決算公告 第24期〜第29期",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
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            },
            {
              "sub_title": "切り出す単位の選び方が値段を決めた",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この判断で効いたのは、売るか売らないかではなく、何を一つの束として売りに出すかだった。会社全体では500億円から600億円で頓挫した交渉が、HR事業だけを切り出した途端に約1,000億円へ跳ねた。買い手にとって値が付くのは、顧客基盤と収益が確定している部分であって、赤字の開発案件や係争中の訴訟ではない。束のままでは、値が付く部分の価格が値の付かない部分に引きずられる。会社分割は、その引きずりを断つ手続きとして働いた。"
                },
                {
                  "text": "一方で、売り手に残るものも同じ理屈で決まる。ワークスアプリケーションズが手元に置いたのは、収益がまだ立っていない会計・サプライチェーン事業と、係争中の訴訟だった。売却の直後だけを見れば、良いものを手放して悪いものを抱えた形になる。実際に売上高は2022年6月期に19億円台まで縮んでいる。それでも同社は4期で黒字へ戻した。債務と固定費が消えたこと、訴訟が終わって顧客へ説明できるようになったこと、二つの製品が納品実績を積んだこと。どれか一つだけでは説明が付かないであろう。"
                },
                {
                  "text": "事業売却を検討する企業にとって、この事例が示すのは価格交渉の技術ではない。自社のどこに値が付き、どこに付かないかを買い手の目で分解し、値が付く部分を独立した会社として切り出せる形にしておくことが、交渉を始める前の仕事になる。同社の場合、その分解の単位が製品系列と顧客基盤にきれいに一致していた。人事は人事、会計は会計として顧客が別々に導入する製品構成であったからこそ、束を解くことができた。分解できない事業構成であれば、同じ手は打てなかった。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "日経ビジネス「ワークスアプリ、首の皮一枚から大逆転、HR事業売却へ」（2019年6月24日）",
        "Works Human Intelligence「新会社Works Human Intelligence 事業開始のお知らせ」（2019年8月1日）",
        "週刊BCN+「主力のHRパッケージ事業を売却 会計や販売管理などで体制立て直し」（2019年7月6日）",
        "東洋経済オンライン「赤字事業だけ残った企業が見出した再建への道」（2023年）",
        "日経クロステック「経理や購買システムの刷新が頓挫、ワークスアプリケーションズとの係争続く」（2020年4月24日）",
        "古河電気工業「訴訟の提起に関するお知らせ」（2018年11月6日）",
        "官報決算公告 第22期〜第29期（株式会社ワークスアプリケーションズ）"
      ],
      "authored": "2026-08",
      "last_updated": "2026-08-02"
    }
  ]
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