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      "year": 1989,
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      "title": "光学式ビデオディスク事業への24億円投資と、三菱商事との共同出資会社の設立",
      "subtitle": "成熟した塩ビパイプに代わる事業をどこに求めるか——創業以来初の三桁設備投資",
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          "label": "概要",
          "text": "主力の塩ビパイプが年率2%の成長にとどまるなか、三菱樹脂が1989年度の設備投資100億円のうち24億円を光学式ビデオディスク（LD）事業へ振り向け、三菱商事との共同出資で1990年2月をめどに生産・販売会社を設立すると決めた投資。三桁の設備投資は創業以来初であった。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "1982年、三菱総合研究所など外部スタッフも交えた新商品探索プロジェクトチームを組み、1年かけて電子関連事業、なかでもメモリーメディアを進出分野に絞った。1985年に始めたICカードは1989年3月期に約100億円を売ったものの、原価の約6割を占めるICを外部から買い、代理店に納入するだけの立場に置かれて利幅が限られていた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "1989年度に減価償却費の2倍近い100億円の設備投資を計画し、うち24億円をLDへ充てた。三菱商事との共同出資会社で月産10万枚を30万枚へ引き上げ、総額30億円のうち24億円を三菱樹脂が負担する。原資は5年間で510億円を集めた転換社債・ワラント債で、1989年3月期に金融収支が初めて黒字となり、自己資本比率も初めて20%を超えていた。"
        },
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          "label": "含意",
          "text": "代理店の先へ出られないICカードの構造から抜けるため、生産と販売を自ら持つ形を選んだ。ただし1995年3月期に2000億円、のちに1994年度に2000億円と掲げた売上目標に対し、2002年3月期の連結売上高は1631億円にとどまった。"
        }
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          "name": "三菱樹脂",
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            "note": "塩ビパイプで業界3位の加工樹脂メーカー。1982年からメモリーメディアへの参入を進め、1989年3月期には新規事業が全売上高の約1割を占めていた"
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      "dates": {
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        "summary": "成熟した塩ビパイプに代わる事業をメモリーメディアに求め、利幅の限られたICカードから川下へ出るため、LDの生産・販売会社へ創業以来初の三桁設備投資を充てた新規事業投資"
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      "timeline": [
        {
          "year": 1982,
          "title": "三菱総合研究所など外部スタッフを交え「新商品探索プロジェクトチーム」を組み、進出分野を1年かけて検討"
        },
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          "title": "8インチのフロッピーディスク・ジャケットを発売し、FDケース・カセットのOEM供給を始める"
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          "title": "ICカード事業へ進出。家庭用パソコンMSX向けゲームソフトは1年で撤退"
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          "title": "業務用カラオケの光学式ビデオディスクを日立製作所へOEM供給"
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          "title": "日本電気ホームエレクトロニクスがゲーム機「PCエンジン」の記憶媒体に三菱樹脂製ICカードを標準装備すると決定"
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          "title": "浜辺正剛氏が社長に就任"
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          "title": "1994年度に売上高2000億円・営業利益100億円・新商品の売上高比率15%以上という目標を掲げる"
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      "snapshot": {
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        "companies": [
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            "name": "三菱樹脂",
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            "president": "村松寿久",
            "hq": "東京都",
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                  "text": "石油危機による落ち込みからようやく回復し始めた1982年、三菱樹脂は三菱総合研究所など外部のスタッフも交えて「新商品探索プロジェクトチーム」を組み、1年をかけて今後進出すべき事業分野を検討した。絞り込まれたのは、精密射出成型といった自社の基盤技術を生かせて、しかも2ケタ成長が続いている分野——電子関連事業、なかでもメモリーメディアであった。ICカード、光磁気ディスク、フロッピーディスク（FD）のケースなどが具体案として挙がった。",
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                      "fact": "1982年に三菱総合研究所など外部スタッフを交えた新商品探索プロジェクトチームを組み、1年かけて電子関連事業、なかでもメモリーメディアを進出分野に絞った",
                      "原文": "石油ショックでの落ち込みからようやく回復し始めた82年、三菱総合研究所など外部スタッフも交えて「新商品探索プロジェクトチーム」を組み、1年かけて今後進出すべき事業分野を検討した。その結果、精密射出成型など、自社の基盤技術を生かせて、しかも今後成長が期待できる分野として、電子関連事業、なかでも2ケタ成長を見せるメモリーメディアがターゲットとして絞られた。ICカード、光磁気ディスク、フロッピーディスク（FD）ケースなどが提案された。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                {
                  "text": "動機は主力事業の頭打ちにあった。村松寿久社長は「主力事業の一つである塩ビパイプがすでに成熟期を迎えており、今年もわずか年率2%の成長しか見込めない。電子産業のような成長産業に乗っていかないと、会社として成長し続けていくことはできない」と説明している。参入先をメモリーに絞ったのは、多くの企業が開発に取り組んでいたCPU内蔵型では実用化に時間がかかりそうで、樹脂加工メーカーにはメモリーだけのほうがとっつきやすいという読みによる。",
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                      "fact": "村松寿久社長は、主力の塩ビパイプが成熟期に入り年率2%の成長しか見込めないため、成長産業である電子産業へ乗り出す必要があると説明した",
                      "原文": "「主力事業の一つである塩ビパイプがすでに成熟期を迎えており、今年もわずか年率2%の成長しか見込めない。電子産業のような成長産業に乗っていかないと、会社として成長し続けていくことはできない」。新規事業へ進出しなければならない事情を村松社長はこう説明する。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                      "fact": "村松寿久社長は、CPU内蔵型は実用化に時間がかかるため、樹脂加工メーカーにはメモリーだけに絞るほうが取り組みやすいと判断した",
                      "原文": "「当時、多くの企業が開発に取り組んでいたCPU内蔵型は実用化に時間がかかりそうだった。樹脂加工メーカーにとっては、メモリーだけに絞った方がとっつきやすい」（村松社長）と判断した。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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            {
              "sub_title": "ICカードの100億円と、その中身",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "電子分野への進出は、まずICカードの形をとった。1985年7月、家庭用パソコンMSXに照準を合わせたICカード利用型のゲームソフトを発売したが、パソコンの性能とカードの記憶容量に限界があり、速さのあるゲームを作れずに1年で撤退した。復活は1987年10月、日本電気ホームエレクトロニクスがゲーム機「PCエンジン」の記憶媒体に三菱樹脂製ICカードを標準装備すると決めたときであった。ゲーム用ICカードの売上高は1989年3月期に約100億円へ達した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1985年7月にMSX向けICカード利用型ゲームソフトで参入したが1年で撤退し、1987年10月のPCエンジン採用で復活、1989年3月期のゲーム用ICカード売上高は約100億円となった",
                      "原文": "三菱樹脂が世界に先駆けてICカード事業に進出したのは85年7月。家庭用パソコンMSXに照準を合わせたICカード利用型ゲームソフトを発売した。（中略）MSX用ゲームソフトは失敗。パソコンの性能に限界があるうえにICカードの記憶容量が小さく、スピード感あふれるゲームを作れなかったからだ。発売後1年で撤退した。（中略）87年10月にゲームソフトに再挑戦した。日本電気ホームエレクトロニクス（日電HE）がゲーム機「PCエンジン」の記憶媒体に三菱樹脂製ICカードを標準装備することを決めた。（中略）ゲーム用ICカードの売上高は89年3月期で約100億円を記録。同社の新規事業の代表選手になった。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                {
                  "text": "もっとも、この100億円は利幅の薄い100億円であった。カード原価の約6割を占めるICは半導体メーカーから買わねばならず、ソフトは外部のゲームソフト会社に全面的に頼る。代理店へ注文のカードを納入するだけの立場に置かれ、手元に残る利幅は限られた。FD関連事業も、8インチに次いで5インチ用の生産中止が近づき、3.5インチへの移行はVTRカセット用設備の転用という偶然でしのいだ。規格が変われば設備ごと置き去りにされる商売であった。",
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                    {
                      "fact": "カード原価の約6割を占めるICを半導体メーカーから購入し、ソフトを外部に依存し、代理店に納入するだけの立場に置かれるため、三菱樹脂の得る利幅は限られていた",
                      "原文": "「カード原価の約6割を占めるIC」（野村総合研究所）を半導体メーカーから購入しなければならないうえに、ゲームソフトを全面的に外部のゲームソフト会社に依存しなければならない同社にとって、ゲーム用ICカードは付加価値の低い商品に過ぎない。（中略）三菱樹脂が代理店に注文のICカードを納入するだけの立場に置かれるため、同社の得る利幅が限定されてしまう。三菱樹脂がある程度の収益を確保するには、自ら川下へ進出しなければならない。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                    {
                      "fact": "8インチに次いで5インチ用フロッピーの生産中止が迫り、3.5インチ用カセットはVTRカセット用設備を転用できた偶然で生産できた",
                      "原文": "市場の中心が3.5インチに移っていく中で、8インチに次いで5インチ用も近く生産を中止する。代わりに3.5インチ用カセットを生産できたのは、偶然の産物だ。TDK向けのVTRカセットを生産していたが、TDKがVTR用の生産を海外へ移管したのに伴い、三菱樹脂の生産設備も遊休化してしまった。幸いにも、3.5インチのフロッピーカセットは、VTRカセットと同じ素材（ABS樹脂）を使うため、成型機の口金を交換するだけで生産設備の転用が利いた。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
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              "sub_title": "創業以来初の三桁設備投資",
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                  "text": "1989年度、三菱樹脂は減価償却費の2倍近い100億円の設備投資を計画し、そのうち24億円を光学式ビデオディスク（LD）事業へ充てた。三桁の設備投資は創業以来初めてであった。1990年2月をめどに三菱商事と共同出資でLDの生産・販売会社を設立し、月間10万枚の生産能力を30万枚へ拡大する。総額30億円のうち24億円を三菱樹脂が負担し、残りを三菱商事が出資する形をとった。",
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                      "fact": "1989年度に減価償却費の2倍近い100億円の設備投資を計画し、うち24億円をLD事業へ投入した。三桁の設備投資は初めてであった",
                      "原文": "三菱樹脂は今年度減価償却費の2倍近くの100億円の設備投資を計画、その内24億円をLD事業に投入する。3ケタの設備投資は初めて。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                    {
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                      "原文": "同社は、来年2月をメドに、三菱商事と共同出資で光学式ビデオディスク（LD）の生産・販売会社を設立する。（中略）現在の月間生産能力は10万枚。30億円を投資して生産能力を30万枚にまで拡大する。24億円を三菱樹脂が負担し、残りを三菱商事が出資する。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                {
                  "text": "素地はあった。1987年4月から業務用カラオケのLDを日立製作所へOEM供給しており、生産の実績は積んでいる。新会社では三菱商事が手掛けてきたCDの販売網も使える。村松社長は「がまん、がまんで最低10年かけないと新しい事業は育たない。しかも、危険を冒さなければ柱となる大きな事業は見つからない。LDにかけてみたい」と述べた。ICカードで代理店の先へ出られなかった経験が、生産と販売を自ら持つ会社という形に表れている。",
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                    {
                      "fact": "1987年4月から業務用カラオケのLDを日立製作所へOEM供給しており、新会社では三菱商事のCD販売網も活用する",
                      "原文": "87年4月から業務用カラオケのLDを日立製作所にOEM供給してきた。（中略）三菱商事が手掛けてきたCD（コンパクトディスク）の販売網も活用する。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                      "fact": "村松寿久社長は、新事業は最低10年かけないと育たず、危険を冒さなければ柱となる事業は見つからないとして、LDに賭けたいと語った",
                      "原文": "「がまん、がまんで最低10年かけないと新しい事業は育たない。しかも、危険を冒さなければ柱となる大きな事業は見つからない。LDにかけてみたい」。",
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              "sub_title": "三桁を可能にした財務改善",
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                  "text": "この規模の投資を可能にしたのは、財務体質の改善であった。5年間にわたって低コストの転換社債やワラント債を発行し、邦貨額にして510億円を調達、割高な銀行からの借入金を減らした。その結果、慢性的に続いていた金融収支は1989年3月期に初めて黒字へ転じた。株式への転換権の行使も急ピッチで進み、株式数は同期に2億株を超え、自己資本比率は初めて20%を上回った。",
                  "evidences": [
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                      "fact": "5年間で転換社債・ワラント債により邦貨額510億円を調達して銀行借入を減らし、1989年3月期に金融収支が初めて黒字化、自己資本比率も初めて20%を超えた",
                      "原文": "この背景には、財務体質の改善がある。慢性的に続いていた金融収支がこの89年3月期に初めて黒字に転換した。5年間にわたって、低コストの転換社債やワラント債を発行し、邦貨額にして510億円を調達。割高な銀行からの借入金を減らした結果だ。株式への転換権利行使が急ピッチで進んでおり、株式数も89年3月期には2億株を超えた。その結果、自己資本比率は初めて20%を超えている。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                {
                  "text": "手元流動性は前期で450億円弱、平均月商の3.8倍にあたる。東野元貞経理部長は「100億円規模の設備投資なら今後2、3年は資金調達に慌てる必要はない」と説明した。ただ、新規事業そのものはまだ稼いでいない。1989年3月期の新規事業の売上高合計は132.6億円と全売上高の約1割を占めたが、収支はほぼ均衡したままで、ICカードを除けばFDカセットが20億円、LD事業は10億円弱にとどまっていた。",
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                      "fact": "手元流動性は前期で450億円弱・平均月商の3.8倍にあり、東野元貞経理部長は100億円規模の設備投資なら2、3年は資金調達に慌てる必要がないと説明した",
                      "原文": "手元流動性（現預金と短期有価証券の合計額）も前期で450億円弱と、平均月商の3.8倍と資金的にはかなり余裕がある。「100億円規模の設備投資なら今後2、3年は資金調達に慌てる必要はない」と東野元貞経理部長は説明する。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                      "fact": "1989年3月期の新規事業の売上高合計は132.6億円で全売上高の約1割を占めたが収支はトントンで、ICカードを除くとFDカセット20億円、LD事業10億円弱であった",
                      "原文": "新規事業の89年3月期の売上高はICカードを除くと、FDカセットが20億円、LD事業が10億円弱の構成だ。89年3月期で新規事業の売上高合計は132.6億円と全売上高の約1割を占めるまでになっているものの、いまだ収支はトントン。",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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              "sub_title": "掲げた2000億円",
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                {
                  "text": "三菱樹脂が描いていたのは、新商品部門の拡充によって1995年3月期に売上高2000億円、営業利益率5%へ届く姿であった。1990年6月に村松寿久社長の後を継いだ浜辺正剛社長も、1994年度に売上高2000億円、営業利益100億円、新商品の売上高比率15%以上という目標を掲げた。浜辺社長は製品別の7事業部を需要分野ごとの4事業本部へ再編し、長浜・平塚両工場の研究部を本社直轄の研究所へ格上げして企画研究本部を新設した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "三菱樹脂は新商品部門の拡充により1995年3月期に売上高2000億円・営業利益率5%を狙っていた",
                      "原文": "新商品部門の拡充により1995年には売上高2000億円、営業利益率5%を狙う",
                      "source": "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
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                    {
                      "fact": "1990年6月に社長へ就いた浜辺正剛氏は、7事業部を4事業本部へ再編し研究開発体制を強化したうえで、1994年度に売上高2000億円・営業利益100億円・新商品の売上高比率15%以上を目指した",
                      "原文": "製品別の7事業部を需要分野ごとの4事業本部に再編、「顧客の方を向いて複数の事業部が協力し合えるようにした」。長浜（滋賀県）・平塚（神奈川県）両工場の研究部を本社直轄の研究所に格上げ、企画研究本部を新設するなど研究開発体制も強化している。こうした組織改革をバネにして、94年度に売上高2000億円、営業利益100億円、新商品の売上高比率15%以上の実現を目指す。（略歴）89年6月から三菱樹脂副社長、90年6月社長就任。",
                      "source": "日経ビジネス 1991年5月6日号「新社長登場 浜辺正剛氏（三菱樹脂）率先垂範、「まず行動」の社風づくり」",
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                  "text": "掲げた2000億円に、三菱樹脂は届かなかった。有価証券報告書で遡れる最も古い2002年3月期の連結売上高は1631億円で、目標に置いた1994年度から8年を経てなお2000億円に達していない。ただ、1982年に絞り込んだ電子関連という方角そのものは残り、2007年3月期には情報電子分野が売上高551億円、営業利益46億円を計上している。狙った分野は当たり、その中でどの製品に懸けるかで見込みが外れたとみることができる。",
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                      "原文": "2002年3月期の連結売上高は1,631億円、経常利益30億円、当期純利益5億円であった。",
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                      "原文": "2007年3月期の情報電子分野は、売上高55,099百万円、営業利益4,631百万円、資産41,715百万円であった。",
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                  "text": "「危険を冒さなければ柱となる大きな事業は見つからない」——村松寿久社長がLDへの投資を語ったこの言葉は、ICカードで学んだことの裏返しであったとみられる。原価の約6割を占めるICを半導体メーカーから買い、ソフトを外部のゲームソフト会社に頼り、代理店へ納入するだけの位置に置かれれば、100億円を売っても利幅は残らない。生産と販売を自ら持つ会社を三菱商事と作り、創業以来初の三桁投資を充てたのは、その位置から抜け出すための手であった。"
                },
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                  "text": "ただ、抜け出した先にあったのも、外部への依存を残す事業であった。LDを離陸させるには、ICカードと同じくソフトの力が問われる。しかも記録メディアの規格は短命で、同社は8インチ・5インチのフロッピー用ジャケットを相次いで生産中止へ追い込まれてもいる。それでもなお記録メディアに柱を求めたのは、年率2%の塩ビパイプを前に選べる道が多くなかったからだといえる。2000億円に届かなかった一事をもって、1982年の絞り込みを甘い判断と片づけることはできない。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "日経ビジネス 1989年7月17日号「三菱樹脂の大黒柱作り ビデオディスクに大型投資」",
        "日経ビジネス 1991年5月6日号「新社長登場 浜辺正剛氏（三菱樹脂）率先垂範、「まず行動」の社風づくり」",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2002年3月期・連結）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2007年3月期・連結）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-30"
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      "slug": "functional-materials-consolidation-2008",
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      "title": "三菱化学グループ3社との合併と、三菱化学の機能材料事業の承継",
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          "text": "2008年4月1日、三菱樹脂は三菱化学ポリエステルフィルム・三菱化学産資・三菱化学エムケーブイの3社を吸収合併し、同日付で三菱化学の機能材料事業を会社分割により承継した。100%株主の三菱ケミカルホールディングスが決めたグループ内の集約で、連結売上高は1,901億円から3,462億円へ、従業員は4,242人から6,713人へ増えた。"
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          "text": "2007年7月に上場を廃止し、同年10月に三菱ケミカルホールディングスの完全子会社となった三菱樹脂は、2008年3月期の経常利益を前期比49.9%減の51億円まで落としていた。グループ内では機能材料の事業がフィルム・産業資材・農業用ビニルと会社ごとに分かれ、三菱化学の本体にも機能材料本部が事業を抱えていた。"
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          "label": "内容",
          "text": "三菱樹脂を存続会社とする吸収合併と吸収分割を同じ日に実行し、山東工場・直江津工場・坂出工場・名古屋製造所を開設して本社を千代田区から中央区へ移した。関係会社は子会社13社・関連会社6社増え、報告セグメントは機能性フィルム・情報電子材料・産業・建設資材の3分野へ改められた。社長には同日付で吉田宏氏が就いた。"
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          "label": "含意",
          "text": "原料を親会社から買っていた加工専業が、親会社の機能材料事業を引き受ける側に回った。初年度の2009年3月期は経常損失59億円・当期純損失121億円に沈んだが、2012年12月には1952年に始めた管材事業を積水化学工業へ譲渡し、最後の有価証券報告書となった2015年3月期は売上高4,537億円・経常利益264億円まで戻した。"
        }
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                  "text": "三菱樹脂が三菱ケミカルホールディングスの完全子会社になったのは、2007年10月であった。同年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所での上場を廃止し、株式交換で親会社の傘下に入った。直後の2008年3月期は連結売上高1,901億円、経常利益51億円で、前期の102億円から49.9%減らしている。当期純利益も46億円から10億円へ落ち、原材料価格の上昇と改正建築基準法による新設住宅着工数の減少が重なった。",
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                      "fact": "2007年7月に東証・大証で上場を廃止し、同年10月に三菱ケミカルホールディングスが株式交換により完全子会社化した",
                      "原文": "平成19年７月 当社株式東京証券取引所及び大阪証券取引所上場廃止／平成19年10月 株式会社三菱ケミカルホールディングスが、株式交換により当社を完全子会社化",
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                    {
                      "fact": "2008年3月期の連結売上高は1,901億円、経常利益51億円（前期比49.9%減）、当期純利益10億円で、原材料価格の上昇と改正建築基準法による住宅着工減が響いた",
                      "原文": "原材料価格は更に上昇する厳しい事業環境となりました。（中略）改正建築基準法の施行による新設住宅着工数の減少や液晶分野の設備投資の停滞の影響を受けましたので、当連結会計年度の売上高は1,901億４千３百万円（前期比1.9％減）となりました。（中略）経常利益は51億６百万円（前期比49.9％減）、当期純利益は10億１百万円（前期比78.3％減）となりました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2008年3月期・連結）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "稼ぎの内訳は3分野に分かれていた。2008年3月期のセグメント別売上高は、フィルム分野567億円、情報電子分野555億円、ライフライン分野710億円である。売上高が最も大きいライフライン分野の営業利益は1億円まで細り、前期の28億円から沈んだ。塩化ビニル管が公共投資の抑制と住宅設備需要の伸び悩みを受けたためで、1948年に本邦初の塩化ビニル樹脂加工として始め、1952年に硬質へ絞り込んだ事業が、単独では利益を生まなくなっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2008年3月期のセグメント別業績は、フィルム分野が売上567億円・営業利益11億円、情報電子分野が売上555億円・営業利益41億円、ライフライン分野が売上710億円・営業利益1億円で、ライフラインの営業利益は前期の28億円から急減した",
                      "原文": "フィルム分野 売上高56,730百万円・営業利益1,072百万円、情報電子分野 売上高55,543百万円・営業利益4,065百万円、ライフライン分野 売上高71,020百万円・営業利益113百万円（2008年3月期・連結）。前期のライフライン分野の営業利益は2,825百万円。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2008年3月期・連結）【事業の種類別セグメント情報】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "三菱樹脂は1948年に本邦初の塩化ビニル樹脂加工に着手し、1952年に軟質部門を移して硬質塩化ビニル加工製品の生産へ絞り込んだ",
                      "原文": "昭和23年４月 本邦初の試みとして塩化ビニル樹脂の加工に着手し、軟質塩化ビニル加工製品の生産を開始／昭和27年１月 軟質部門を同系の三菱モンサント化成株式会社に移譲し、硬質塩化ビニル加工製品の生産を本格的に開始",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【沿革】",
                      "url": null
                    }
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                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "会社ごとに分かれていた機能材料",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "三菱ケミカルホールディングスの傘下では、機能材料の事業が会社ごとに分かれていた。ポリエステルフィルムは三菱化学ポリエステルフィルム、産業資材は三菱化学産資、農業用ビニルは三菱化学エムケーブイが担い、三菱化学の本体にも機能材料本部の機能材料企画室と機能資材事業部が事業を抱えていた。三菱樹脂は、同じ機能材料を名乗る複数の会社のうちの一社にすぎなかった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "機能材料事業は三菱化学ポリエステルフィルム・三菱化学産資・三菱化学エムケーブイの3社と、三菱化学本体の機能材料本部（機能材料企画室・機能資材事業部）に分かれていた",
                      "原文": "当社は、平成20年４月１日付で、当社を存続会社として三菱化学ポリエステルフィルム㈱、三菱化学産資㈱及び三菱化学エムケーブイ㈱を吸収合併し、また、同日付で、三菱化学㈱の機能材料本部機能材料企画室及び同本部機能資材事業部が所管する事業について、吸収分割により同社が有する権利義務を継承いたしました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【事業の内容】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "三菱樹脂の立場は、原料を買う側にあった。有価証券報告書は、三菱化学が化学製品を製造・販売し、三菱樹脂がその原料を購入していると記している。原料を作る会社と加工する会社が別に並び、加工の側もまた複数に分かれていた。2008年3月期末の株主は三菱ケミカルホールディングス1社のみで持株比率は100%となり、事業をどこに置くかは親会社が単独で決められる状態になっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "三菱樹脂は三菱化学から原料を購入する関係にあった",
                      "原文": "三菱化学㈱：化学製品の製造・販売を行い、当社は同社より原料を購入しております。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2015年3月期）【事業の内容】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2008年3月期末の大株主は三菱ケミカルホールディングス1社のみで、持株比率は100%であった",
                      "原文": "三菱ケミカルホールディングス 214,742千株 100.0%（発行済株式総数214,742,045株）",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2008年3月期）【大株主の状況】",
                      "url": null
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            }
          ]
        },
        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "存続会社は三菱樹脂、決めたのは親会社",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "2008年4月1日、三菱樹脂を存続会社とする3社の吸収合併が実行された。相手は三菱化学ポリエステルフィルム、三菱化学産資、三菱化学エムケーブイである。同じ日に三菱化学の機能材料本部機能材料企画室と機能資材事業部が所管する事業を吸収分割で承継し、山東工場・直江津工場・坂出工場・名古屋製造所を開設した。本社も千代田区から中央区へ移している。関係会社は子会社が13社、関連会社が6社増えた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2008年4月1日に3社を吸収合併し三菱化学の機能材料事業を会社分割で承継、同日付で山東・直江津・坂出の各工場と名古屋製造所を開設し、本社を千代田区から中央区へ移した",
                      "原文": "平成20年４月 三菱化学ポリエステルフィルム株式会社、三菱化学産資株式会社及び三菱化学エムケーブイ株式会社と合併、三菱化学株式会社の機能材料事業を会社分割により承継／合併及び会社分割により同日付で山東工場、直江津工場、坂出工場及び名古屋製造所を開設／本社を東京都千代田区より東京都中央区へ移転",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【沿革】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "この合併と会社分割により、関係会社は子会社が13社、関連会社が6社増えた",
                      "原文": "これに伴い、当社の関係会社は子会社が13社、関連会社が６社それぞれ増加し、併せて、事業の種類別セグメントの名称を「フィルム分野」から「機能性フィルム分野」に、「情報電子分野」から「情報電子材料分野」に、「ライフライン分野」から「産業・建設資材分野」に、それぞれ変更いたしました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【事業の内容】",
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                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "存続法人は三菱樹脂だが、決めたのは100%株主の三菱ケミカルホールディングスであった。原料を親会社から買っていた加工専業が、親会社の事業部門を引き受ける側に回っている。社長には統合と同じ日付で吉田宏氏が就いた。吉田氏は1970年に三菱油化へ入社し、三菱化学の常務執行役員から2007年4月に三菱樹脂の副社長執行役員へ移った人物で、2008年6月には三菱ケミカルホールディングスの取締役も兼ねた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "吉田宏は三菱油化（現三菱化学）出身で、三菱化学常務執行役員から2007年4月に三菱樹脂副社長執行役員となり、2008年4月に社長、同年6月に三菱ケミカルホールディングス取締役を兼ねた",
                      "原文": "昭和45年４月 三菱油化㈱（現三菱化学㈱）入社／平成18年４月 同社常務執行役員／19年４月 当社副社長執行役員／20年４月 当社取締役社長（代表取締役）（現職）／20年６月 ㈱三菱ケミカルホールディングス取締役（現職）",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【役員の状況】",
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                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "集約の理由は一つではなかった",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "狙いは規模だけではなかった。連結売上高は1,901億円から3,462億円へ、従業員は4,242人から6,713人へ、総資産は1,636億円から2,892億円へ増えている。同時に、フィルムを扱う会社が並んでいた重複が解け、報告セグメントの名称も「フィルム分野」から「機能性フィルム分野」へ、「情報電子分野」から「情報電子材料分野」へ、「ライフライン分野」から「産業・建設資材分野」へ改められた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "統合により連結売上高は1,901億円から3,462億円へ、連結従業員は4,242人から6,713人へ、総資産は1,636億円から2,892億円へ増えた",
                      "原文": "売上高190,143百万円→346,180百万円、総資産額163,640百万円→289,237百万円、従業員数4,242人→6,713人（2008年3月期→2009年3月期・連結）。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【主要な経営指標等の推移】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "残る理由は二つある。三菱化学が原料を作り三菱樹脂が加工するという分業を、一つの会社の中に収めること。もう一つは、三菱ケミカルホールディングスの機能材料分野を担う中核会社を一社に定めることであった。三菱樹脂はその後、5つの「集中事業」と6つの「育成事業」へ経営資源を集中させる中期経営計画を掲げている。理由のどれか一つだけでは、4社を1社に畳むところまでは要らなかった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "三菱樹脂はグループの機能材料事業会社3社と統合し、各社が培った開発力・技術力・事業ノウハウ・チャネル・拠点を活用する施策に取り組んだ",
                      "原文": "平成20年４月１日付にて、三菱化学株式会社が行っている機能材料分野の事業を含めて、三菱ケミカルホールディングスグループの機能材料事業会社である三菱化学ポリエステルフィルム株式会社、三菱化学産資株式会社及び三菱化学エムケーブイ株式会社と統合し、これまで各社が独自に培ってきた開発力や技術力、事業ノウハウやチャネル・拠点などを活用することにより「統合シナジーを最大化」し、より大きな発展を実現するための施策に全力で取り組んでまいりました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "三菱樹脂は三菱ケミカルホールディングスグループの機能材料分野を担う中核会社として中期経営計画を策定し、5つの「集中事業」と6つの「育成事業」へ経営資源を重点投入する方針を掲げた",
                      "原文": "当社グループは、三菱ケミカルホールディングスグループの機能材料分野を担う中核会社として、中長期的な視点で会社を成長させていくために中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画においては、当社グループの成長を牽引する事業である５つの「集中事業」と６つの「育成事業」に対して経営資源を重点的に投入し、事業の「選択と集中」を着実に進めてまいります。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【対処すべき課題】",
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              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "初年度は赤字だった",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "統合の初年度は赤字であった。2009年3月期の連結売上高は3,462億円、営業損失35億円、経常損失59億円、当期純損失121億円である。米国発の金融危機で民間設備投資と輸出が減り、需要が細った。セグメント別では情報電子材料分野が営業損失4億円、産業・建設資材分野が営業損失40億円で、統合の効果を損益で測る前に、需要そのものが消えていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "統合初年度の2009年3月期は連結売上高3,462億円・経常損失59億円・当期純損失121億円で、金融危機による需要減退を受けた",
                      "原文": "米国発金融危機に端を発した世界経済の減速により、国内においても民間設備投資や輸出が減少するなど景気が急速に悪化し、極めて厳しい事業環境となりました。（中略）景気の急速な悪化に伴う大幅な需要減退の影響を受けましたので、当連結会計年度の売上高は3,461億円にとどまりました。（中略）59億円の経常損失となり、また、公正取引委員会からの命令に基づく課徴金等の特別損失により、120億円の当期純損失となりました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2009年3月期のセグメント別営業損益は、機能性フィルム分野8億円の利益、情報電子材料分野4億円の損失、産業・建設資材分野40億円の損失であった",
                      "原文": "機能性フィルム分野の売上高は731億円となり、営業利益は８億円となりました。／情報電子材料分野の売上高は1,231億円となり、損益面につきましては、売上高の減少が影響し、４億円の営業損失となりました。／産業・建設資材分野の売上高は1,445億円となりました。損益面につきましては、売上高の減少が影響し、40億円の営業損失となりました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "純損失121億円には、統合とは無縁の負担も入っている。塩化ビニル管と継手について他の製造販売業者と共同で販売価格を決めた事実があるとして、2009年2月に公正取引委員会から排除措置命令と課徴金納付命令を受け、その課徴金等が特別損失に計上された。三菱樹脂は同年4月に審判請求を行っている。翌2010年3月期は売上高が3,132億円まで縮んだものの、コスト削減により経常利益9億円・当期純利益2億円を確保し、底を打った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2009年2月に公正取引委員会から塩化ビニル管・継手の価格カルテルを理由とする排除措置命令と課徴金納付命令を受け、同年4月に審判請求を行った",
                      "原文": "当社は、塩化ビニル管及び継手等に関し、当社が他の製造販売業者と共同して販売価格を決定した事実があるとして、本年２月、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。当社といたしましては、両命令の内容につき検討し、本年４月、公正取引委員会に対し両命令について審判請求を、また、東京高等裁判所に対し排除措置命令について執行免除の申立てをそれぞれ行いました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2010年3月期は売上高3,132億円へ減ったが、コスト削減により経常利益9億円・当期純利益2億円と黒字に戻した",
                      "原文": "期を通じて景気低迷に伴う需要の大幅な減少の影響を受けましたので、当連結会計年度の売上高は、3,132億円（前期比9.5％減）にとどまりました。損益面につきましては、売上高減少の影響を大きく受けたものの、徹底したコスト削減等に努めました結果、営業損益は、前期35億円の損失に対して、16億円の利益、経常損益は、前期59億円の損失に対して、９億円の利益、当期純損益は、前期120億円の損失に対して、２億円の利益となりました。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2010年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "受け入れたあとに続いた入れ替え",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "集約は受け入れだけで終わらなかった。2009年4月、アルポリックの金属樹脂積層板の製造加工事業を会社分割で承継し、上田工場と東京製造所を開設した。同年9月にはスイスのQuadrant AGの創業者と設立した持株会社Aquamit B.V.が公開買付でQuadrant株を取得し、2013年5月に完全子会社化している。2010年4月に報告セグメントを高機能フィルム・環境・生活資材・高機能成形材・部品の3分野へ組み替え、2011年3月期の連結売上高は3,820億円、経常利益149億円まで戻った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2009年4月にアルポリックの金属樹脂積層板事業を会社分割で承継、同年9月にAquamit B.V.が公開買付でQuadrant AG株式を取得し、2013年5月に完全子会社化した",
                      "原文": "平成21年４月 株式会社アルポリックの金属樹脂積層板の製造加工事業を会社分割により承継し、同日付で上田工場及び東京製造所を開設／平成21年９月 Quadrant AGの創業者と合弁形態で設立した持株会社Aquamit B.V.が、公開買付けによりQuadrant AGの株式を取得／平成25年５月 Aquamit B.V.を完全子会社化",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2015年3月期）【沿革】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2010年4月にセグメントを高機能フィルム・環境・生活資材・高機能成形材・部品の3分野へ変更し、2011年3月期の売上高は3,820億円、経常利益は148億円となった",
                      "原文": "当社は、平成22年４月１日付でセグメントを「機能性フィルム分野」、「情報電子材料分野」及び「産業・建設資材分野」の３分野から、「高機能フィルム分野」、「環境・生活資材分野」及び「高機能成形材・部品分野」の３分野に変更しております。（中略）当連結会計年度の売上高は（中略）3,820億円（前連結会計年度比22.0％増）となりました。（中略）経常損益は、148億円の利益（前連結会計年度比139億円増）／平成23年３月期の連結売上高382,045百万円、経常利益14,882百万円。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2011年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "出す側の決定も続いた。2012年4月に直江津工場を廃止し、同年12月1日には管材事業を積水化学工業へ譲渡、2013年4月には美祢製造所を廃止した。管材は1952年に始めた事業で、住宅着工件数の減少と公共投資の縮減が続くなか自力での再生を探ったが、自社の枠を超えた取り組みが不可欠との認識に至ったと有価証券報告書は記す。2015年3月期の連結売上高は4,537億円、経常利益264億円、当期純利益147億円で、経常利益率5.8%は上場最終期である2007年3月期の5.3%を上回った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "1952年に始めた管材事業を、住宅着工件数の減少と公共投資の縮減を理由に2012年12月1日付で積水化学工業へ譲渡した",
                      "原文": "当社は、1952年に管材事業を開始し、以来、生活のインフラとして重要な役割を果たす管材製品の製造・販売を通じて、豊かな社会づくりに貢献してまいりましたが、近年の管材関連市場は、住宅着工件数の減少や公共投資の縮減などによって厳しい状況が続いており、当社は、その事業環境の下、自力での再生の道を模索して参りましたが、今後の厳しい事業環境を勘案しますと自社の枠を超えた取り組みが不可欠であるとの認識に至りました。（中略）事業分離日 平成24年12月１日",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2013年3月期）【事業分離】",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2015年3月期の連結売上高は4,537億円、経常利益264億円、当期純利益147億円で、2007年3月期は売上高1,939億円・経常利益102億円であった",
                      "原文": "当期の連結売上高は（中略）4,537億円（前連結会計年度比2.5％増）となりました。（中略）連結経常損益は、263億円の利益（前連結会計年度比67億円増）、連結当期純損益は、147億円の利益（前連結会計年度比44億円増）となりました。／平成27年３月期の連結売上高453,743百万円、経常利益26,353百万円、当期純利益14,704百万円。2007年3月期（第93期）の連結売上高193,866百万円、経常利益10,195百万円。",
                      "source": "三菱樹脂 有価証券報告書（2015年3月期）【業績等の概要】",
                      "url": null
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "足した会社と、引いた会社",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "存続会社は三菱樹脂であった。合併した3社も、会社分割で渡された機能材料本部の事業も、いずれも三菱化学の側から来ている。原料を親会社から買っていた加工専業が、親会社の事業を受け取る側に回った。三菱樹脂が受け皿に選ばれたのは、グループで最も稼いでいたからではなく、加工の現場と販売の網を最も広く持っていたからだとみられる。1,901億円の会社が3,462億円の会社になったのは、稼ぐ力が増したからではなく、事業の置き場所が変わったからであった。"
                },
                {
                  "text": "集約が損益に表れるまでには時間がかかった。初年度の2009年3月期は経常損失59億円・当期純損失121億円、翌期の経常利益も9億円にとどまっている。金融危機と重なった不運はあるにせよ、4社を1社に畳んだ効果が数字に出たのは、2012年12月に管材事業を積水化学工業へ譲ってからであった。受け入れた事業を並べ替えるだけでなく、1952年に始めた管材を手放すところまで進んで、2015年3月期の経常利益264億円に届いている。集約は足し算から始まるが、引き算まで終えないと利益にはならないとみることができる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2008年3月期・連結）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2009年3月期）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2010年3月期）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2011年3月期）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2013年3月期）",
        "三菱樹脂 有価証券報告書（2015年3月期）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-30"
    }
  ]
}
