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  "published": "2026-04-08",
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    "title": "UBEの歴史概略",
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        "main_title": "石炭が枯れる前に始まった多角化",
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          {
            "title": "資本金4.5万円の村人組合から始まった炭鉱",
            "text": "1897年6月、渡辺祐策ら宇部の地元有志が資本金4.5万円を出し合い、匿名組合「沖ノ山炭鉱」を設立した。出資者と従業員と地域住民がほぼ重なる共同経営の体裁で、瀬戸内海の海底炭田の採掘から事業が始まった。当時の宇部は山口県でも辺境の一寒村に過ぎず、産業基盤は皆無に等しい。明治末から戦前にかけて宇部周辺では沖ノ山・東見初・本山・山陽無煙・長澤・西沖ノ山の6炭鉱が稼働し、1949年時点で従業員約12,000名を石炭部門が抱える地域最大の炭鉱会社へ育った。「宇部における企業は宇部人のための企業であり、宇部の人の利益に奉仕するもの」という大原則が、組合員=出資者=従業員という構造から自然に生まれた。\n\n渡辺は炭鉱の好況期から将来の枯渇を口にしていた。中安閑一は後年、渡辺の口癖を「炭をナマで出すことはいけん。石炭を使って事業をおこさにゃあ。炭を掘り尽くせば、また元の農漁村になってしまう」（歴史をつくる人々 第11、1965）と伝えている。この危機感が、利益が出ているうちに次の事業を始めるという経営方針を生み、後の3つの法人設立につながった。",
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          {
            "title": "機械・セメント・化学を3年刻みで仕込む",
            "text": "渡辺の考えは具体的な会社設立として結実した。1914年1月に炭鉱機械を内製する宇部新川鉄工所、1923年9月にセメント製造、1933年4月にアンモニアを軸とする宇部窒素工業を、いずれも宇部の地元出資で立ち上げた。石炭の副産物や港湾立地を生かす形で、機械・セメント・化学の3領域を10〜20年刻みで仕込んだ。それぞれが独立の宇部発祥企業として並走する体制が、戦時統合の圧力に対する備えにもなった。\n\n1942年3月、政府が同業他社との企業合同を進める中で、宇部興産は沖ノ山炭鉱・宇部新川鉄工所・宇部セメント製造・宇部窒素工業の4社合併で発足した。外部資本との統合ではなく、宇部発祥4社の自己統合という形を選び、地域共同経営の原型を維持した。1949年5月に東京証券取引所に上場し、1950年4月期の売上高構成は石炭3.0億円・硫安2.5億円・セメント0.8億円。石炭が依然主力ではあったが、3本目・4本目の柱がすでに収益を生み始めていた。従業員の内訳は石炭部門約12,000名に対し肥料部門約4,000名・セメント部門約1,000名・機械部門約800名で、人員構成は炭鉱会社のままだった。",
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            "title": "石炭撤退と化学量産への移行",
            "text": "1951年1月に中央研究所を開設し、1955年12月には宇部カプロラクタム工場を新設してナイロン原料の量産に踏み込んだ。販売先は日本レイヨンで、合成繊維市場の立ち上がりに合わせた参入だった。エネルギー革命で国内炭鉱の採算が悪化に向かう局面で、宇部興産はカプロラクタム・アンモニアという量産化学品を、石炭事業の縮小と並行して立ち上げたことになる。\n\n石炭撤退は社内の反対を抱えながら進んだ。水野一夫は「主力炭鉱だった宇部の沖ノ山炭鉱は鉱脈が薄くなり、採算が急速に悪化し始めた」「現場の坑夫と本社のスタッフとが一緒になり常磐炭田に進出しようと社内で運動し始めた」（日経ビジネス 1984/5/7）と振り返り、撤退判断の難しさを語っている。経営陣は石炭の将来性を見限っていたが、現場の声に押されて常磐炭田への進出を決定し、出水多発で投資は失敗、化学部門への投資を一時的に圧迫した。1957年から石炭部門の約7,000名を多角化事業に配置転換し、撤退と同時に化学・セメント・機械への再配置を進めた点が、他の財閥系炭鉱会社との違いになった。1967年10月に宇部鉱業所を閉鎖し、1970年代までに石炭事業の従事者数はゼロとなる。",
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      {
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            "title": "千葉と宇部に置かれた化学量産の二極",
            "text": "1964年10月、千葉石油化学工場を新設し合成ゴム・エラストマー事業の拠点を確立した。同じ1964年6月にニューヨークとデュッセルドルフに駐在員事務所を開設し、輸出と原料調達の窓口を欧米に置いた。宇部の化学品は原料を石炭副産物やアンモニアに依存していたが、千葉の石油化学は輸入ナフサを原料とする別系統の事業であり、原料調達の地政学的リスクを2拠点で分散する構造を作った。1967年4月には堺工場、1965年7月には伊佐セメント工場を新設し、化学・セメント両事業の生産能力を西日本側でも積み増した。\n\n1968年9月の高分子研究所開設、1969年6月の宇部アンモニア工業設立、1982年10月の145千KW石炭専焼自家発電所完成と、設備投資が続いた。自家発電所は宇部の電力コストを下げ、カプロラクタム・アンモニアの量産競争力を支えた。一方で千葉と宇部に化学量産の二極を抱える構造は、後の市況変動で両拠点の損益を同時に押し下げる弱さも内包していた。1982年7月にはマッキンゼーに経営提言を依頼して中期計画策定に動くなど、量産事業の収益構造を外部の眼で見直す試みも始まっていた。",
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            "title": "セメント業界再編とアジア展開",
            "text": "1994年9月、スペインProductos Quimicos del Mediterraneo S.A.の経営権を取得し、現UBE CORPORATION EUROPE S.A.U.として欧州拠点を確立した。1997年5月にはタイでThai CaprolactamとUBE Nylon (Thailand)を立ち上げ、アジアでカプロラクタム・ナイロンの一貫生産体制を築いた。為替・原料コストで国内拠点が劣位に立つ中、欧州とアジアに製造拠点を分散して輸出競争力を補完する構造である。同時期に宇部エチレンセンター構想は1994年に延期され、国内追加投資による拡大ではなく海外取得による補完という路線が選ばれた。\n\n1998年7月、三菱マテリアルとの合弁で宇部三菱セメントを設立した。国内セメント業界は需要縮小を背景に再編が続き、他社合弁による販社統合で生産能力過剰の調整を進める動きが各社で起きていた。1999年10月には宇部興産機械を分社化し、機械事業を独立採算化。1997年6月に創業100周年を迎えた直後の数年で、宇部興産はセメントの業界再編・機械の分社化・化学の海外展開という3つの構造改革を同時に進めた。総合素材企業の組織が、事業ごとに切り出し可能な単位へと組み替えられていった。",
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            "title": "2002年3月期の希望退職とリストラの起点",
            "text": "2002年3月期、連結売上高は5,375億円を計上した。同年8月には希望退職者402名を募集しており、2000年代初頭の宇部興産は化学・セメントの市況低迷と過剰人員の処理を抱える局面にあった。2003年10月には宇部日東化成を株式交換で完全子会社化し、電子・情報通信関連製品を取り込んだ。量産品の価格競争に巻き込まれる構造を、付加価値の高い特殊化成品で補おうとする動きである。\n\nこのリストラを経て、2008年3月期には連結売上高7,042億円、営業利益559億円まで回復した。経常利益467億円、当期純利益240億円は、宇部興産の連結ベースで見ても屈指の好業績だった。ただし、この回復は中国・アジア向けカプロラクタム・ナイロンの需要拡大と原燃料市況の追い風に支えられたものであり、市況が反転した翌FY08には営業利益は311億円へ、FY09には275億円へと急落した。総合素材企業の構造そのものは、市況依存から抜け出していなかった。総資産は2002年3月期8,202億円から2010年3月期6,547億円へ縮小し、有利子負債圧縮と資産整理を進める守りの局面が続いた。",
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        "start_year": 2002,
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        "main_title": "セメント分離と商号変更",
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            "text": "FY10からFY17にかけて、連結売上高は6,000〜7,300億円のレンジで横ばいに推移し、営業利益は243億円（FY13）から502億円（FY17）まで大きく振れた。FY12は中国向け化学品の市況悪化で営業利益299億円、FY15は再び414億円へ戻すといった具合で、化学・セメント・機械を抱える総合素材企業の利益が、地域市況に左右される構造が定着していた。田村浩章（FY08-FY09）、竹下道夫（FY10-FY13）、山本謙（FY14-FY17）と社長は3代続いたが、ポートフォリオの基本構成は維持された。自己資本は2,418億円（FY15）から3,153億円（FY17）へ積み上がり、有利子負債は2,453億円（FY12）から1,941億円（FY17）へ縮小して、財務の修復が進んだ。\n\nセグメント別では、建設資材が2,000億円台の安定収益源、化学が市況で振れる主力、機械・金属成形が400〜900億円台の補助柱、医薬とエネルギー・環境がニッチ事業として並走した。FY15に化成品・樹脂と機能品・ファインを統合して「化学」セグメントへ束ねた組み替えは、量産化学品と機能品の共通基盤を強調する整理であり、後のスペシャリティ化への布石でもあった。FY10には医薬を独立セグメントとして開示し、機能品・ファインは2010年代を通じて利益寄与の振れが大きい領域として位置付けられた。",
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            "title": "セメント承継と商号変更を同時に決めた2022年",
            "text": "2018年6月に泉原雅人が代表取締役社長に就任した。2020年9月、三菱マテリアルとのセメント事業の経営統合方針を決定し、2022年4月にセメント関連事業をUBE三菱セメントに承継した。同社は持分法適用関連会社となり、宇部興産の連結売上高から建設資材セグメントの2,000億円超が消えた。FY21の連結売上高6,553億円はFY22で4,947億円へ縮小し、純損失▲70億円を計上した。祖業の一角を切り離す決断は、決算上の急減と赤字転落を伴った。\n\n同じ2022年4月、社名を「宇部興産」から「UBE」に変更し、東証プライム市場へ移行した。1942年の合併以来80年使った商号を捨てる判断と、祖業セメントの連結除外を同時に実施したことになる。中安が伝えた渡辺祐策の言葉「炭を掘り尽くせば、また元の農漁村になってしまう」（歴史をつくる人々 第11、1965）は、量産化学品と素材の市況に翻弄されてきた経験と重ねれば、80年を経て化学スペシャリティへの転換を促す論理として読み直せる。前後してエラストマー事業を2021年10月にUBEエラストマーへ分社化し、千葉拠点も独立採算化された。",
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          {
            "title": "構造改革と純損失▲48億円の2025年3月期",
            "text": "FY23は売上高4,682億円、営業利益225億円、当期純利益298億円と一旦黒字を回復した。しかしFY24では構造改革の決定に伴う減損損失を中心に特別損失369億円を計上し、純損失▲48億円となった。決算説明会の説明によれば、タイカプロラクタムの生産停止を従来の2027年3月から2026年3月へ前倒し、ナイロンポリマー縮小、日本カプロラクタム・ナイロンポリマーは2027年3月停止、アンモニア国内生産は2028年3月停止が確定した。1955年と1968年に始めた量産化学品は、2020年代後半に順次停止する。GHG排出量は2024年度実績で2013年度比32%減、構造改革完了後の2028年度には65%減見込みと、脱炭素目標が事業撤退と直結する構造になった。\n\n2022年12月にエーピーアイコーポレーションを取得して医薬受託事業を強化し、2024年12月には欧州でマテリアルリサイクル樹脂製造会社を取得してコンポジット事業に新たな足場を作った。量産品からの撤退と、医薬・機能品・コンポジット領域のM&A強化を、同時並行で進める局面に入った。",
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            "title": "LANXESSウレタン取得と6セグメント化",
            "text": "2025年4月1日付でドイツLANXESSのウレタンシステムズ事業を取得し、URETHANE SYSTEMS USA LLCなど7社を新規連結。連結子会社数はFY25-3Q時点で34社から45社へ増加し、UBEのグローバル事業構造はわずか1四半期で再編された。同年4月に2nd Stage中期経営計画（2025-2030）を始動し、設備投資860億円、DOE2.5%以上、連結総還元性向30%以上（3ヵ年平均）を掲げた。FY25-3Q累計では売上高3,322億円・営業利益145億円（前年比+52.0%）、純利益は211億円（前年同期は▲191億円）と黒字転換した。\n\nセグメントは2026年3月期から「機能品/樹脂・化成品/機械/その他」の4区分から「機能品/高機能ウレタン/医薬/樹脂・化成品/機械/その他」の6区分に変更された。高機能ウレタンと医薬を独立させ、スペシャリティ事業の損益が外から見える形に組み替えた。一方で高機能ウレタンはPMI費用先行で営業赤字、医薬も受託品減少で赤字となっており、新規取得事業の収益貢献本格化は次年度以降に持ち越されている。のれん残高は2,418百万円から41,015百万円へ急増し、ウレタンシステムズ取得が貸借対照表上にも明確に現れた。",
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                "title": "化学工業日報",
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            "title": "西田祐樹体制と「投資の刈り取り」",
            "text": "2025年2月、泉原雅人から西田祐樹への社長交代が発表された。泉原は化学工業日報の取材に「2025年はこれまで実施した大型投資・M&Aを計画通り着実に立ち上げ、投資の成果を示す1年にしたい」（化学工業日報 2025/1/10）と語り、同じ取材で「アンモニアチェーンの国内製造停止時期を計画より2年早め、2027年度末に前倒しする」（化学工業日報 2025/1/10）とも述べている。投資の実行段階を引き継ぎ、刈り取りの責任を西田体制に渡す形となった。\n\nROE向上と株主資本コスト低減の論理が前面に出ている。FY25-3Q決算説明資料は株主資本コスト8%・市場推計12%程度と認識し、市況変動の影響を受けにくいスペシャリティ事業比率の引き上げで両者のギャップを埋める方針を示した。2028年度のGHG排出量65%減（2013年度比）も、アンモニア・カプロラクタム停止と連動する。「炭を掘り尽くせば、また元の農漁村になってしまう」と渡辺祐策が語った1897年から128年を経て、宇部発祥の素材企業は2回目の祖業転換の途上にある。",
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      "text": "1897年に山口県宇部で資本金4.5万円の沖ノ山炭鉱として始まったUBEは、創業者・渡辺祐策が「炭を掘り尽くせば宇部の町は滅びる」と語った言葉のとおり、石炭が枯れる前に機械・セメント・化学へ多角化した。1942年に宇部発祥の4社を合併して宇部興産が誕生し、戦後はセメントと化学量産品を二本柱に総合素材企業へと拡大した。\n\nところが祖業を生んだ論理は、80年後に祖業そのものを切り離す論理に転じた。2022年4月、社名を80年使った宇部興産からUBEに変え、同時にセメント関連事業をUBE三菱セメントに承継して連結から外した。さらに2025年には1955年に始めたカプロラクタム、1968年に建てたアンモニア工業の国内停止を前倒しで決めた。「石炭が枯れる前に多角化する」は、「化学量産品が枯れる前にスペシャリティへ転換する」と形を変えて反復されている。"
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        "決算説明会 FY25-3Q"
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  "quotes": [
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      "text": "「炭をナマで出すことはいけん。石炭を使って事業をおこさにゃあ。炭を掘り尽くせば、また元の農漁村になってしまう」",
      "speaker": "渡辺祐策（創業者）／中安閑一伝聞",
      "source": "歴史をつくる人々 第11 1965年",
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      "text": "「主力炭鉱だった宇部の沖ノ山炭鉱は鉱脈が薄くなり、採算が急速に悪化し始めた」「現場の坑夫と本社のスタッフとが一緒になり常磐炭田に進出しようと社内で運動し始めた」",
      "speaker": "水野一夫（相談役）",
      "source": "日経ビジネス 1984/5/7",
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    {
      "text": "「2025年はこれまで実施した大型投資・M&Aを計画通り着実に立ち上げ、投資の成果を示す1年にしたい」",
      "speaker": "泉原雅人（代表取締役社長）",
      "source": "化学工業日報 2025/1/10",
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    {
      "text": "「アンモニアチェーンの国内製造停止時期を計画より2年早め、2027年度末に前倒しする」",
      "speaker": "泉原雅人（代表取締役社長）",
      "source": "化学工業日報 2025/1/10",
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