{"title":"LINEの歴史概略","sections":[{"start_year":2000,"end_year":2006,"main_title":"韓国NHNの全額出資で日本に置かれたゲームポータル子会社の出発","subsections":[{"title":"日本発ベンチャーではないという出自","text":"2000年9月4日、韓国のNHN Corporation（現NAVER Corporation）が東京都渋谷区桜ヶ丘に資本金3,500万円でハンゲームジャパン株式会社を設立した。出資比率は100%で、日本側の共同出資者はいなかった。後にLINEという名で知られるこの法人は、日本の起業家が興した会社ではなく、韓国のインターネット企業が日本市場に置いた子会社として始まった。設立から統合までの20年余りを通じて、韓国資本が過半を握る状態は一度も崩れなかった。日本で生まれ日本で広がったサービスを持つ会社が、資本の上では終始よそから来た会社であり続けた。資本の出自は、以後の意思決定の前提として繰り返し現れる。\n\n同年11月、インターネットゲーム・ポータルサイト「ハンゲーム」のサービスを始めた。韓国で先に成功していた無料ゲームポータルを日本語へ移し替えたもので、囲碁・将棋・麻雀といった卓上遊戯を無料で遊ばせ、集まった利用者を広告とアイテム販売で回収する設計だった。ゲームソフトを1本ずつ売る商売でも、月額料金を取る商売でもなかった。遊ばせる場所を無料で開いておき、そこに人が溜まってから収益源を作るという順序で、当時の日本にはほとんど例がなかった。会員数は年を追って積み上がり、2008年1月末の累計登録会員数は2,493万ID、2010年4月時点では3,300万件を超えた。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"新規上場申請のための有価証券報告書（Ⅰの部・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan・ネイバージャパン プレスリリース（2010年4月12日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan プレスリリース（2008年2月26日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}]},{"title":"商号に親会社の名を掲げた2003年の再編","text":"2003年8月、同じNHN Corporationのグループ会社であるネイバー株式会社との合併に伴い、商号をNHN Japan株式会社へ改めた。ハンゲームジャパンという事業名に由来する社名を捨て、親会社の略称をそのまま名乗った。日本市場で独自のブランドを立てるより、韓国NHNの日本法人であることを前面に出す判断を採った。日本で商売をする会社が親会社の名を掲げれば、資本関係は誰の目にも明らかになる。日本市場で独自のブランドを立てる道は、ここで一度捨てられた。2013年に自社サービスの名を社名へ据え直すまで、この商号が10年続いた。\n\n2000年代前半のNHN Japanは、無料ゲームで会員を集める1本の事業で成り立っていた。収益源は広告とゲーム内のアイテム販売の2つに限られた。この時期に積み上げた数千万人規模の会員基盤と、多人数が同時に接続する通信を安定して捌く技術は、後の展開で二度効いてくる。一度目は検索という第二の事業を始める原資として、二度目は数か月のうちに数千万人が押し寄せるメッセンジャーを支える基盤として。もっとも、当時の経営陣がその二度目まで見通していたと考える根拠はない。無料で人を集めてから回収する設計を10年続けたことが、たまたま次の10年に効いた面のほうが大きい。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"新規上場申請のための有価証券報告書（Ⅰの部・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan・ネイバージャパン プレスリリース（2010年4月12日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan プレスリリース（2008年2月26日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}]}]},{"start_year":2007,"end_year":2010,"main_title":"日本語検索での敗退と、ライブドア買収による技術と人の取り込み","subsections":[{"title":"第二の事業としての日本語検索への参入","text":"2007年9月に本社を東京都品川区大崎へ移し、同年11月30日、日本語検索を担う子会社としてネイバージャパン株式会社を資本金5,000万円で設立した。韓国で検索最大手の座を占めるNAVERを日本語へ持ち込む試みで、ゲーム1本に依存する収益構造を変えるための第二の柱を狙った。人の手当ても本社から直接行われた。韓国で検索サイトを創業して同社に売却した慎ジュンホ氏が2008年6月に来日し、ネイバージャパンの検索事業を率いた。日本法人の新規事業に韓国側が主力の技術者を送り込む体制で、この人事が後に別の意味を持つ。\n\n2009年7月に検索サービス「NAVER」のオープンベータ版を公開したものの、利用者は伸びなかった。開始から半年後の2009年12月時点で134万人にとどまり、ヤフーとグーグルが押さえる日本の検索市場との間には、2桁の開きがあった。日本語検索は辞書と索引の蓄積量が競争を決める領域で、10年先行する二社へ後発が正面から挑む条件は揃っていなかった。参入の判断そのものは、韓国での成功と自社の技術水準を踏まえれば無謀とまでは言えない。同じ会社が同じ技術で韓国では首位を取っていた。誤算は、日本語の検索精度を実用水準へ持ち上げるのに必要な蓄積量と時間を、小さく見積もったところにある。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"新規上場申請のための有価証券報告書（Ⅰの部・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan・ネイバージャパン プレスリリース（2010年4月12日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経クロステック（2010年4月13日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"INTERNET Watch（2010年4月12日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経ビジネス「LINE上場、知られざるナンバー2」（2016年6月10日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経ビジネス「LINE開発の引き金となった『暗黒時代』」（2016年6月17日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日本経済新聞（2013年11月22日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}]},{"title":"事件後のブランドから技術者を丸ごと買った判断","text":"2010年4月12日、NHN Japanは株式会社LDHとの間で、株式会社ライブドアの全株式を63億円で取得する株式譲渡契約を締結した。公表された目的は「ネイバージャパン株式会社が運営する検索サービス『NAVER（ネイバー）』事業を更に強化・推進していくこと」にある。買ったのはポータルサイトlivedoorの月間約23億ページビューと約3,000万人の利用者、そして同社が抱える技術者である。自力で索引と利用者を積み上げる時間を、金銭で買い替える取引だった。株式譲渡は同年5月10日に実行され、6月に完全子会社となった。\n\n買収先は、2006年の事件で経営陣が刑事責任を問われて退いたあとのライブドアである。株価と信用を失った会社を買う判断について、NHN Japanは「『技術のライブドア』と呼ばれる業界トップレベルの技術力」を挙げ、社名・ブランド名と役員・従業員の雇用を維持する方針を明示した。買った側が旧社名を残すと言い、雇用も残すと言っている。当時ライブドアを率いていた出澤剛社長は「テクノロジーに強いこだわりがあり、企業文化や組織は非常に親和性が高い」と述べた。事件で傷んだブランドの安さを買ったのではない。目当ては、そこに残った人と組織であった。\n\n検索の強化という当初の目的から見れば、この買収は成功しなかった。NAVERの日本語検索は2013年11月22日に提供終了を発表し、同年12月18日に閉じた。63億円を投じても、二社の寡占は動かなかった。舛田淳氏は後年、既存サービスの買収で時間を短縮する狙いだったと振り返り、「失敗だったかもしれない」と語っている。ただし買収で手に入れた技術者と組織はそのまま残った。2008年から2010年末にかけての社内をある記事は「暗黒時代」と呼ぶ。舛田氏がネイバージャパンへ入った2008年10月の様子を「全社員がうなだれていた」と伝える一節もある。その集団が、翌年まったく別の製品を2か月弱で世に出すことになる。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"新規上場申請のための有価証券報告書（Ⅰの部・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"NHN Japan・ネイバージャパン プレスリリース（2010年4月12日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経クロステック（2010年4月13日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"INTERNET 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Japanではなく子会社のネイバージャパンで、この時点の「LINE」はサービスの名前だった。開発チームが動き出したのは前年末の3人からで、当初は写真共有アプリを先に出す計画だった。開発チームにいた稲垣あゆみ氏は「地震でメッセージングのアプリが日本で求められていると判断し、メッセージングアプリの開発を4月末から本格始動しました」と述べている。作りかけの製品を捨て、別の製品へ2か月弱で作り替えた計算になる。\n\n震災を動機とする説明は、当事者の回顧と後年の公式発表で繰り返し語られてきた。ただし2011年6月27日のローンチ時リリースには震災への言及が一行もない。そこに書かれているのは市場認識と設計の説明である。「Twitter・Facebookを始めとする、公開型もしくは準公開型のSNS」が広がる一方で「身近な友人や家族間におけるプライベートなコミュニケーションツールとしては必ずしも利便性が高いとは言えない」とし、電話番号を登録の鍵に使う仕組みを掲げていた。二つの説明は矛盾しない。震災は着想を早め、開発の優先順位を入れ替えた事情であり、製品そのものの設計思想は公開型SNSへの反対提案として組まれていた。同時代の資料に忠実に読むなら、この二層を分けておく必要がある。\n\n判断の重さは、開発速度よりも捨てた側にある。当時の社内で最大の投資対象は日本語検索であり、そこへ人と時間を注いできた責任者たちが、その事業から手を引いてメッセンジャーへ資源を移す決定を下した。慎ジュンホ氏は「今しかない。絶対にこのトレンドは来る。フルコミットしよう。もしダメだったら、責任をとろう」と語ったと伝えられる。3年かけて負けた事業を諦める判断と、まだ何の実績もない製品へ全社を賭ける判断が、同じ数週間のうちに重なった。しかもこの決定は韓国本社の指示ではなく、日本法人の側から出た。","references":[{"title":"LINE株式会社 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公式沿革（LINE株式会社）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}],"quotes":[{"speaker":"慎ジュンホ","role":"LINE取締役CGO（当時ネイバージャパン）","date":"2016","text":"今しかない。絶対にこのトレンドは来る。フルコミットしよう。もしダメだったら、責任をとろう","source":"日経ビジネス「LINE開発前夜、振り切った『決断』」（2016年6月21日）","paragraph":3}]},{"title":"3社の一本化と、サービス名に社名を合わせた商号変更","text":"利用者の増え方は前例の範囲を超えていた。累計ダウンロード数は2011年11月8日に500万件、同年12月25日時点で1,000万件に達した。会社自身が公表した比較では、1,000万人へ届くまでにFacebookは約28か月、Twitterは約26か月、mixiは約39か月を要しており、LINEはそこを6か月で通過した。同年10月4日には無料通話機能を加え、同じ月からスタンプの提供も始めた。文字だけのやり取りへ絵と音声が加わった。この追加から、後に収益の柱の一つとなるスタンプが育った。文字と通話は無料で配りながら、その周辺で課金するという設計が、開始から4か月で現れた。\n\n急拡大に合わせて組織を一本化した。2011年12月にネイバージャパンを吸収合併し、2012年1月には株式会社ライブドアのメディア事業を吸収分割で承継した。報道では3社の経営統合と一括りにされたが、実際には単一の合併ではなく2段階の再編で、ライブドアの法人自体は消えていない。同社は株式会社データホテルへ商号を改め、データ・マネジメント・サービス事業を続けた。ハンゲーム・NAVER・livedoorという出自の異なる3つの集団が、ここで1社の指揮下に入った。買収から1年半をかけて、買った側と買われた側の区別が組織図から消えた。\n\n2013年4月1日、NHN Japan株式会社はLINE株式会社へ商号を変更した。同時に会社分割で創業以来の主力だったハンゲーム事業を新設のNHN Japan株式会社へ移し、その会社は親会社側へ渡って資本関係が切れた。12年余り続けた事業を手放し、生まれて2年に満たないアプリの名を社名へ据えた。サービス名が先にあって社名が後から追いつく順序は、通常の商号変更とは逆になる。同年11月には検索NAVERの日本撤退も決まり、ゲーム・検索・メッセンジャーの3つあった事業のうち、残ったのは最も新しい1つだけとなった。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"新規上場申請のための有価証券報告書（Ⅰの部・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ネイバージャパン プレスリリース（2011年6月27日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ネイバージャパン プレスリリース（2011年10月4日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE プレスリリース（2011年12月27日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE プレスリリース（2013年1月18日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE 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Corporationが担い、台湾・タイ・インドネシアでも先行して普及した。上場直前の2016年3月時点では、世界の月間アクティブユーザー2億1,800万人のうち、この3か国と日本を合わせた主要4か国が1億5,200万人を占めた。国内向けに作ったはずのアプリが、日本の外に半分近い利用者を抱える会社へ変えた。\n\n数字の裏側には取捨がある。2015年初頭から広告投資を主要4か国へ絞り込み、その結果として4か国の月間アクティブユーザーは伸びた一方、4か国以外は大きく減った。世界中で薄く戦うのではなく、勝てる市場へ資源を寄せる選択で、上場時の目論見書はこれを収益の集中というリスクとして明記している。世界最大のメッセンジャーを目指す道を早い段階で降り、アジアの数か国で生活の基盤になる道を選んだ。広げるのをやめた判断が、残った市場での地位を固めた面はある。上場時点で日本・台湾・タイの3か国では、利用者数の首位に立っていた。\n\n収益源を作ったのは2012年である。5月に企業向けの「LINE公式アカウント」、11月にゲームプラットフォーム「LINE GAME」を始めた。収益は無料通話でも文字でもなく、この周辺から生まれた。2016年12月期の売上収益1,407億円の内訳は、スタンプなどのコミュニケーションが292億円、LINE GAMEなどのコンテンツが447億円、LINE広告が445億円である。通信そのものは無料に据え置き、絵と遊びと広告で回収する構造で、ハンゲームが採っていた設計と骨格が同じになる。無料で人を集めてから収益源を作るという順序を、この会社は二つの事業で繰り返した。2014年12月16日にはモバイル送金・決済のLINE Payを公開し、2015年4月には森川亮社長が退いて、ライブドア出身の出澤剛氏が代表取締役社長CEOへ就いた。","references":[{"title":"LINE株式会社 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有価証券報告書（第20期・2020年3月27日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE プレスリリース（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日本経済新聞（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経ビジネス「LINE上場、親会社ネイバー創業者が初めて語る」（2016年7月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE株式会社 2019年12月期 決算短信（2020年1月29日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ITmedia NEWS（2019年5月20日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク プレスリリース（2020年9月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク プレスリリース（2021年2月24日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"Zホールディングス「LINE株式会社との経営統合に関する戦略方針説明会」（2021年3月1日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}],"quotes":[{"speaker":"李海珍","role":"NAVER取締役会議長・LINE取締役会長","date":"2016-07-15","text":"安定的で継続性のある収益を上げられる体制が確立していないままIPOをして、一般の株主の方々から資金を得るというのは、責任感のないことだと思います","source":"日経ビジネス「LINE上場、親会社ネイバー創業者が初めて語る」（2016年7月16日）","paragraph":2}]},{"title":"広告への収益転換と、決済に注いだ先行投資","text":"上場後の3年で収益の中身が入れ替わった。2016年にポータル広告を含む広告全体が占める割合は38.9%だった。2019年12月期には広告が1,248億円で全体の54.9%まで伸び、スタンプなどのコミュニケーションは12.4%、LINE GAMEなどのコンテンツは16.9%まで下がった。もっともスタンプの売上そのものは292億円から283億円へほぼ横ばいで、絶対額が減ったわけではない。増えた広告が構成比を書き換えたにすぎず、この3年の成長は広告が一手に引き受けた。利用者に課金する会社から、利用者を広告主に売る会社へ性格が寄った。\n\n一方で決済への投資が損益を押し下げた。2018年12月にソフトバンクとヤフーの合弁であるPayPayが100億円の還元策を打ち、LINEは2019年5月に総額300億円を配る「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」で応じた。利用者を金銭で奪い合う競争で、どちらの側も短期の回収を見込んでいなかった。2019年12月期の売上収益は2,275億円と前年から9.8%伸びたのに対し、営業損益は390億円の損失へ転じた。内訳を見ると、コア事業は1,967億円の売上で316億円の営業利益を出しており、戦略事業の営業損失665億円がコア事業の利益を大きく上回り、両者に配賦されない全社費用も加わって連結の赤字となった。本業は稼いでいて、新事業がそれを上回る額を使っていた。\n\nこの構図は、自力で決済競争を続ける限り解けなかった。利用者数で見ればLINEは国内最大のメッセンジャーであり、2019年末の主要4か国の月間アクティブユーザーは1億6,500万人、うち日本が8,300万人を占めていた。それでも決済では、通信キャリアと検索ポータルを背後に持つ相手と、還元の原資を競う立場へ置かれる。利用者数の多さと資金力は別物であった。本業で稼いだ316億円を、勝敗の見えない消耗戦へ注ぎ込む年が続いた。相手には通信料と検索広告という別勘定の原資があり、還元合戦が長引くほど体力の差がそのまま出る。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第20期・2020年3月27日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE プレスリリース（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日本経済新聞（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経ビジネス「LINE上場、親会社ネイバー創業者が初めて語る」（2016年7月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE株式会社 2019年12月期 決算短信（2020年1月29日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ITmedia NEWS（2019年5月20日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク プレスリリース（2020年9月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク プレスリリース（2021年2月24日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"Zホールディングス「LINE株式会社との経営統合に関する戦略方針説明会」（2021年3月1日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]}]},{"title":"上場企業としての終わりと、持株会社への転位","text":"2019年11月18日にZホールディングスとの経営統合に関する基本合意書を結び、12月23日に最終契約を締結した。決めたのはLINEの経営陣だけではなかった。同日、親会社であるNAVERとソフトバンクが共同で公開買付けを行う予定も開示された。韓国とソフトバンクという二つの資本の間で、LINEという会社の帰属が決まった。公開買付けは2020年8月から9月にかけて1株5,380円で実施され、同年12月28日を最終売買日として、12月29日に東証での上場を廃止した。上場期間は4年5か月にとどまった。2020年12月期の通期決算は開示されておらず、確定した最後の通期業績は2019年12月期となる。\n\n相手方から見れば、LINEは自社に欠けているものを一式で持つ相手だった。ヤフーは検索と広告と電子商取引で国内有数の地位を占めていたが、利用者が毎日開くアプリを持たなかった。LINEは8,300万人が日々開くアプリを抱えながら、そこから物を売る仕組みと、還元競争を続けられる資本の厚みを欠いていた。決済で還元を競っていた両社が、競争をやめて互いに欠けたものを持ち寄る道を選んだ。もっとも、対等な補い合いとは言いにくい。決済で先行していたのはPayPayの側であり、統合後にどちらが主導権を握るかは、この時点の資本構成が示していた。統合の交渉と条件については、統合後の会社の側に記録がある。\n\n消えたものと残ったものを並べておく。上場は終わり、証券コード3938は市場から消えた。事業会社としてのLINE株式会社も、2021年2月28日の吸収分割で全事業をLINE分割準備株式会社へ渡した時点で中身を失った。一方でサービスとしてのLINEは現役で、社名も統合後の商号「LINEヤフー」に半分残った。そして法人そのものは消滅していない。事業を手放した2000年設立のこの会社は、同じ2月28日に商号をAホールディングス株式会社へ改め、翌3月1日の統合完了をもって、ソフトバンクとNAVERが50%ずつ出資する統合持株会社となった。同社は統合後のZホールディングス株式の65.3%を握る。韓国NAVERが間接支配へ退いたと語られるときの受け皿は、外から来た別の会社ではなく、この法人自身である。事業会社としての生涯を終えた法人が、統合後のグループを支配する側に座り直した。","references":[{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第17期・2017年3月31日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE株式会社 有価証券報告書（第20期・2020年3月27日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"SEC Form F-1（LINE Corporation・2016年6月10日提出）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE プレスリリース（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日本経済新聞（2016年7月15日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"日経ビジネス「LINE上場、親会社ネイバー創業者が初めて語る」（2016年7月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"LINE株式会社 2019年12月期 決算短信（2020年1月29日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ITmedia NEWS（2019年5月20日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク プレスリリース（2020年9月16日）","year":null,"month":null,"date":null,"url":null,"quotes":[]},{"title":"ソフトバンク 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