{
  "stock_code": "2193",
  "count": 5,
  "decisions": [
    {
      "slug": "founding-1998",
      "url": "/tse/2193/decisions/founding-1998/",
      "year": 1998,
      "month": 3,
      "schema_version": "1.0",
      "stock_code": "2193",
      "decision_id": "2193-1998-0",
      "type": "founding",
      "tags": [
        "st-platform"
      ],
      "title": "クックパッドの創業とレシピ投稿サービスの段階的な収益化",
      "subtitle": "無料でレシピを集め、広告と有料会員で回収する料理特化モデルを、佐野陽光氏はどう築いたか",
      "status": "implemented",
      "status_label": "実施",
      "scheme": null,
      "ratio": null,
      "issue": "事業立ち上げと収益化",
      "decider": [
        {
          "name": "佐野陽光",
          "role": "クックパッド 創業者",
          "path": "fy08-sano-akimitsu"
        }
      ],
      "highlights": [
        {
          "label": "概要",
          "text": "1998年、佐野陽光氏がレシピの投稿・検索サイト「kitchen@coin（のちのクックパッド）」を無料で立ち上げ、2002年3月の広告掲載、2004年9月の有料会員サービス（月額294円）と段階的に収益化した創業期の判断。事業として始めた当初のレシピ掲載の月500円課金は、2カ月あまりで撤回した。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "佐野氏は慶應義塾大学環境情報学部（SFC）の出身で、社会をよくする仕組みには事業の知が要ると考え、1997年10月に有限会社コインを設立した。受託開発を収入源としつつ、1998年3月に自社サービスのkitchen@coinを開始。企業ではなく利用者がレシピを投稿する投稿型（UGC）の設計を選んだ。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "レシピを無料で公開して裾野を広げ、その上に収益を段階的に重ねた。2002年3月に広告、2004年9月に有料会員「クックパッドプレミアムサービス」（月額294円・税込）を始め、同月に有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織変更した。同年には4,000万円を調達し、事業拡大の体制を整えた。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "2002年ごろには『ビジョナリー・カンパニー2』に触発され、Goodをやめて料理を楽しみにすることに集中する方針へ絞り込んだ。無料で価値と規模を先につくり、広告と有料会員で回収する順序を選んだことが、料理という一分野に特化したまま2009年の上場に至る収益基盤を生んだ。"
        }
      ],
      "parties": [
        {
          "stock_code": "2193",
          "name": "クックパッド",
          "role": "当事者",
          "at_deal": {
            "note": "レシピの投稿・検索サイトを運営する創業期のベンチャー"
          }
        }
      ],
      "dates": {
        "reported": null,
        "announced": "1998-03",
        "agreed": null,
        "closed": null,
        "terminated": null
      },
      "breakdown": {
        "reason_type": "strategy",
        "summary": "レシピを無料で集めて規模をつくり、広告と有料会員で段階的に回収する料理特化の収益モデルを確立した創業期の設計"
      },
      "timeline": [
        {
          "year": 1997,
          "month": 10,
          "title": "有限会社コインを設立"
        },
        {
          "year": 1998,
          "month": 3,
          "title": "kitchen@coinのサービスを開始",
          "highlight": true
        },
        {
          "year": 1999,
          "month": 6,
          "title": "サービス名を「クックパッド」へ変更"
        },
        {
          "year": 2002,
          "month": 3,
          "title": "広告掲載を開始"
        },
        {
          "year": 2004,
          "month": 9,
          "title": "プレミアムサービス開始・株式会社へ組織変更"
        },
        {
          "year": 2009,
          "month": 7,
          "title": "東証マザーズへ上場"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "1998年（創業期）",
        "source": "クックパッド 新株式発行並びに株式売出届出目論見書（2009年6月）",
        "companies": []
      },
      "report": [
        {
          "section": "background",
          "label": "背景",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "「社会をよくする仕組み」としての起業と有限会社コイン",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "佐野陽光氏は慶應義塾大学環境情報学部（SFC）の出身である。社会を本気でよくするための継続的な仕組みを作るには、お金や事業という仕組みそのものを知らなければならない——起業の動機を、佐野氏はのちにそう振り返っている。慈善や理想を掲げるだけでは長続きせず、事業として自立した仕組みでなければ社会を変える力にはならないという発想が、その出発点にあった。学生起業やインターネット企業がまだ珍しかった1990年代後半に、料理という日常の領域を情報技術で扱うという構想を、佐野氏は事業として成り立たせる道から探り始めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "佐野は、社会をよくする継続的な仕組みを作るには事業とお金の仕組みを知る必要があると考えたことを起業のきっかけとして回想",
                      "原文": "本気で社会をよくするために継続的な仕組みを作るには、お金、事業という仕組みを知らなければならない。そう思ったのが起業のきっかけです。",
                      "source": "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
                      "url": "https://kigyoka.com/archives/20231117.html"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "その構想を容れる法人として、佐野氏は1997年10月、神奈川県藤沢市に有限会社コインを設立した。法の下で人間以外に認められた法人格という存在を知ったことが、会社をつくる直接の契機だったと佐野氏は述べている。当初はシステムの受託開発で収入を得ていたが、1998年3月、自社サービスとして料理レシピの投稿・検索サイト「kitchen@coin」を立ち上げた。企業が情報を一方的に発信するのではなく、利用者が自らレシピを投稿し、それを別の利用者が検索して使う——インターネット黎明期に、佐野氏は投稿型（UGC）の設計を選んだ。受託と自社サービスを並走させる資金繰りが、創業初期を支えた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "佐野は1997年にクックパッドの前身となる有限会社コインを設立。法人格という存在を知ったことが会社設立の契機だったと回想",
                      "原文": "97年にクックパッドの前身となる有限会社コインを設立しました。日本には人間以外に、法の下で認められた法人格がいることを知ったからです。",
                      "source": "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
                      "url": "https://kigyoka.com/archives/20231117.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "月500円課金の撤回と無料提供への転換",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "事業として立ち上げるにあたり、佐野氏はまず有料での提供を選んだ。kitchen@coinにレシピを掲載する対価として、利用者から月500円を受け取る仕組みである。しかし開始から2カ月あまりで事業計画との乖離が生じ、佐野氏は有料課金を撤回した。以後はアルバイトなどで自らの生活と運転資金をまかないながら、サービスを無料で提供し続け、まず利用者とレシピの数を増やすことを最優先とした。1999年6月にはサイト名を「クックパッド」へ改め、料理に特化した投稿型サービスとしての姿を固めていった。無料化は理念からの妥協ではなく、価値と規模を先につくるという順序の選択でもあった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "事業開始時に試したレシピ掲載の月500円課金を2カ月強で撤回し、無料提供へ切り替えた経緯を佐野が回想",
                      "原文": "事業としてスタートした時、有料を決めました。クックパッドにレシピを掲載するのに月500円をユーザーからもらうわけです。結局は2カ月強で事業計画との乖離が起こり、有料はやめましたが、その思いは今も我々のDNAです。",
                      "source": "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
                      "url": "https://kigyoka.com/archives/20231117.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "広告と有料会員による段階的な収益化",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "無料での提供を続けながら、クックパッドは収益化を段階的に重ねていった。最初の収入源は広告で、2002年3月に掲載を始めた。事業の拡大に合わせて拠点も移し、2001年5月に本社を横浜へ、2002年9月には渋谷区代々木へ移転している。収益化の柱をもう一段進めたのが、2004年9月に始めた有料の会員サービス「クックパッドプレミアムサービス」で、人気順検索などの付加機能を月額294円（税込）で提供した。同じ2004年9月には、臨時社員総会の決議で有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織を変更し、同年には4,000万円の資金調達も実施して、事業拡大の体制を整えた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2004年9月にプレミアムサービス（月額294円税込）を開始するとともに有限会社コインからクックパッド株式会社へ組織変更し、同年4,000万円を調達した",
                      "source": "クックパッド 新株式発行並びに株式売出届出目論見書（2009年6月）",
                      "url": "https://post.tokyoipo.com/ipo/10691/21932009061203.pdf"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "収益化の効果は、数字の上に段階を追って表れた。目論見書によれば、2005年4月期の売上高は25,382千円にとどまり、経常損益は11,946千円の損失、当期純損益も12,126千円の損失で、収益事業がまだ確立していなかった。しかし翌2006年4月期には売上高121,481千円・経常利益42,931千円へ転じて黒字が定着し、2007年4月期は売上高310,060千円・経常利益112,868千円、2008年4月期には売上高676,734千円・経常利益319,903千円へと伸びた。2008年4月期の事業別売上は、マーケティング支援399,258千円、広告214,886千円、有料会員62,589千円で、複数の収益源が併存する構成となっていた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2005年4月期は損失だったが、2006年4月期に黒字が定着し、2008年4月期は売上高676,734千円・経常利益319,903千円へ拡大。同期の事業別売上はマーケティング支援399,258千円・広告214,886千円・会員62,589千円",
                      "source": "クックパッド 新株式発行並びに株式売出届出目論見書（2009年6月）",
                      "url": "https://post.tokyoipo.com/ipo/10691/21932009061203.pdf"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "「Goodをやめる」——料理特化への方針転換",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "収益源を広げる一方で、佐野氏は事業の的をむしろ絞り込んでいった。2002年ごろ、書籍『ビジョナリー・カンパニー2』に触発された佐野氏は、Goodなことはやめ、自分たちにしかできないこと——どうやっても料理が楽しみにならないこと以外のすべて——に集中すると決めた。あれもこれもと機能や事業を広げるのではなく、料理を楽しみにするという一点に資源を注ぐ選択である。無料の投稿・検索で利用者と蓄積レシピをまず増やし、その上に、価値を認めた利用者だけが払う有料会員を重ねるという収益化の順序も、この絞り込みと表裏をなしていた。方針はのちに「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす」という企業理念へと結晶し、事業を評価する基準となっていった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "「Goodをやめて自分たちにしかできないこと（料理を楽しみにすること）に集中する」という創業期の方針を佐野が語る",
                      "原文": "Goodなことはやめて自分達にしかできないことに集中しよう。どうやっても料理が楽しみにならないことはやめよう。そう決めたのです。",
                      "source": "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
                      "url": "https://kigyoka.com/archives/20231117.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "投稿型レシピの規模拡大と上場",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "無料の投稿・検索を土台にした設計は、利用者と蓄積レシピの拡大につながった。月間利用者数は2005年2月の約100万人から、2008年4月末には395.8万人、2009年5月には681万人へと増え、登録レシピも同じ期間に約10万品から約55万品へ膨らんだ。生活者の来訪が増えるほど広告の価値が高まり、有料会員の母数も広がるという循環が働いた。従業員数も2008年4月末の27名から2009年5月には49名へ増え、事業の規模に見合う組織へと拡大していった。無料で集めた裾野の大きさが、そのまま収益基盤の厚みへ転じていった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "月間利用者数は2005年2月の約100万人から2009年5月に681万人へ、登録レシピは約10万品から約55万品へ増え、従業員も2008年4月末27名から2009年5月49名へ増えた",
                      "source": "クックパッド 新株式発行並びに株式売出届出目論見書（2009年6月）",
                      "url": "https://post.tokyoipo.com/ipo/10691/21932009061203.pdf"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "こうした収益基盤の確立を経て、クックパッドは株式公開へ進んだ。2009年6月12日に東京証券取引所マザーズへの上場が承認され、同年7月17日に上場を果たした。佐野氏は上場の大きな目的を「社会的信頼」に置くと語っており、資金調達そのもの以上に、事業を社会へ根づかせるための信用の獲得を重んじていた。上場の時点で、無料でレシピを集めて生活者の来訪を広げ、広告と有料会員で回収するという料理特化の収益モデルは、上場企業として成り立つ規模へ育っていた。創業から11年をかけて、佐野氏は当初掲げた「社会をよくする仕組み」を、自立した事業の形で世に問うところまで到達した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "佐野は上場の大きな目的を「社会的信頼」に置くと述べた",
                      "原文": "（上場の）大きな目的は社会的信頼。",
                      "source": "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
                      "url": "https://kigyoka.com/archives/20231117.html"
                    },
                    {
                      "fact": "2009年6月12日に東証マザーズへの上場が承認され、同年7月17日に上場した",
                      "原文": "クックパッドがマザーズ上場へ",
                      "source": "ITmedia NEWS（2009年6月12日）「クックパッドがマザーズ上場へ」",
                      "url": "https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/12/news082.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "無料で集め、料理特化で回収する投稿型モデルの確立",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "クックパッドの創業期の核心は、レシピを無料で公開して投稿と検索の裾野を広げ、収益化を広告（2002年）と有料会員（2004年）へ段階的に重ねた点にある。事業として始めた当初に選んだ月500円の課金をわずか2カ月あまりで撤回し、まず価値と規模をつくってから回収するという順序へ切り替えたことが、その後の展開を方向づけた。2005年4月期には損失を抱えていた事業が、2008年4月期には6億円を超える売上と3億円規模の経常利益を生む基盤へ育ったのは、無料で広げた裾野が広告と有料会員という複数の収益源を同時に支えたからにほかならない。"
                },
                {
                  "text": "注目されるのは、料理という一分野に特化したまま、この収益基盤を築いた点である。収益源を広げる誘惑に対して、佐野氏はむしろ「Goodをやめる」と唱えて的を絞り、料理を楽しみにするという一点に資源を集めた。有料か無料か、拡大か特化かという二者択一に見える問いに対し、無料で広げた裾野の上に有料会員を重ね、料理特化のまま複数の収益源を併存させるという解を示したのが、この創業期の判断であった。まず利用者から見た価値を問い続けるという規律は、上場後も続く有料会員モデルの原型となり、料理という日常の領域を情報技術で支える事業の骨格を定めた。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "企業家倶楽部（2011年10月号）「第13回 企業家賞 記念講演録」",
        "クックパッド 新株式発行並びに株式売出届出目論見書（2009年6月）",
        "ITmedia NEWS（2009年6月12日）「クックパッドがマザーズ上場へ」",
        "クックパッド プレミアムサービス開始のお知らせ（2004年9月）",
        "クックパッド 会社沿革（有限会社コイン設立・kitchen@coin開始・社名変更・本社移転）",
        "クックパッド 企業理念「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす」",
        "東京証券取引所 マザーズ 新規上場承認（クックパッド・2009年6月12日）",
        "『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』（ジェームズ・C・コリンズ）"
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      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-14"
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    {
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        "ma-rollup"
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      "title": "穐田誉輝体制での多角化と海外レシピ買収",
      "subtitle": "料理レシピ一分野への依存を、どう抜け出すか——穐田誉輝氏が約2年で約90億円を投じた多角化とM&A",
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      "issue": "多角化と海外展開",
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      "highlights": [
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          "label": "概要",
          "text": "2012年5月、社外取締役だった穐田誉輝氏が創業者・佐野陽光氏に代わり社長に就き、国内料理レシピへの依存を「一本足打法」と捉えて多角化した経営判断。習い事・海外レシピ・結婚・求人へ相次いで買収と出資を重ね、約2年でM&Aと大型出資に総額およそ90億円を投じて、生活領域全般のプラットフォーム化をめざした。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "創業者の佐野陽光氏は代表を退き、発行済株式の約44％を握る筆頭株主兼取締役として残ったまま海外へ拠点を移した。引き継いだ穐田氏は、2012年4月期に売上39.1億円・営業利益19.3億円という高収益を保ちつつ、その稼ぎがほぼ国内レシピ一分野に集中する構造に成長の頭打ちを見ていた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "2013年に習い事「サイタ」（約10億円）とallthecooks・Mis Recetas、2014年にアラビア語圏Shahiya、2015年に結婚情報「みんなのウェディング」（約28.6億円のTOB）を相次ぎ取得。約2年でM&Aと出資に総額約90億円を投じ、2015年に売上高100億円を超えた。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "売上高は39.1億円から168.5億円へ約4倍に伸びた一方、利益は追いつかず、2016年12月期は増収減益に転じた。allthecooksやサイタでは減損が相次ぎ、EC事業は京王百貨店へ売却。料理への集中を求める佐野氏との路線対立が深まり、この多角化が2016年の経営権をめぐる対立の争点となった。"
        }
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      "parties": [
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          "name": "クックパッド",
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          "title": "佐野陽光氏が代表を退き、社外取締役だった穐田誉輝氏が社長に就任",
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          "title": "コーチ・ユナイテッド（サイタ）を約10億円で子会社化"
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          "title": "海外レシピのallthecooks・Mis Recetasを取得し世界展開を本格化"
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          "title": "Netsila（アラビア語圏Shahiya）の買収を発表（2015年1月取得）"
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          "title": "みんなのウェディングへ約28.6億円のTOB"
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          "title": "サイタで約8.7億円を減損しクラウドワークスへ譲渡"
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      "snapshot": {
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        "source": "クックパッド 有価証券報告書ほか（pl_long）",
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              "sub_title": "創業者の退任と「一本足打法」という問い",
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                {
                  "text": "2012年5月、クックパッドは創業者からの世代交代を迎えた。料理レシピの共有サービスを育て、株式上場まで導いた佐野陽光氏が代表執行役を退き、社外取締役だった穐田誉輝氏が代表執行役社長に就いた。穐田氏は価格比較サイトのカカクコムを社長として率いた経歴を持つ投資家型の経営者で、創業家以外の外部人材が経営の先頭に立つ点で、同社にとって異例の交代だった。佐野氏は発行済株式の約44％を握る筆頭株主兼取締役として残り、生活の拠点を海外へ移して海外事業に専念した。所有では創業者が最大株主として背後に控え、日々の事業運営は迎えられた穐田氏が担うという分業のもとで、その後の多角化が始まった。",
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                },
                {
                  "text": "穐田氏が引き継いだ事業は、収益の面では健全だった。2012年4月期の単体売上高は39.1億円、営業利益は19.3億円で、売上の半分近くが利益として残る高収益の構造を保っていた。ただし、その稼ぎはほぼ国内の料理レシピ事業に集中しており、成長を一分野に頼る形が続いていた。穐田氏はこの状態を「一本足打法」と捉え、料理以外の生活領域へ事業を広げる多角化に着手する。結婚、習い事、知育、求人、電子出版といった暮らしの各場面に、買収と出資で足場を築き、レシピで培った利用者基盤を生活全般のプラットフォームへ延ばす構想を描いた。単一事業の高収益を、より広い領域の成長へ組み替えようとする試みだった。",
                  "evidences": [
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                      "fact": "穐田はレシピ一分野への依存を「一本足打法」と捉え、料理以外の生活領域（結婚・習い事・知育・求人・電子出版など）へ買収と出資で多角化を進めた",
                      "source": "日経ビジネス電子版",
                      "url": "https://business.nikkei.com/atcl/report/15/110879/012200215/"
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        {
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          "label": "決断",
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              "sub_title": "習い事への進出——コーチ・ユナイテッドの買収",
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                {
                  "text": "多角化の最初の一手は、料理から離れた習い事の分野だった。2013年9月6日、クックパッドは習い事の予約サービス「サイタ（Cyta.jp）」を運営するコーチ・ユナイテッドを約10億円で買収し、全株式を取得して完全子会社とした。コーチ・ユナイテッドは有安伸宏が創業した企業で、楽器や語学、スポーツなどの個人指導を、教える側と習う側とで仲介する事業を手がけていた。レシピという「作り方」を共有する事業と、技能を「教わる」場をつなぐ事業には、生活の学びを支えるという点で通じるものがあった。この買収は、料理に限らず暮らしのさまざまな行動を自社サービスで支えるという穐田氏の構想を、最初に形にした案件となった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2013年9月6日、クックパッドは習い事予約「サイタ（Cyta.jp）」を運営するコーチ・ユナイテッド（有安伸宏が創業）を約10億円で買収し、全株式を取得して完全子会社とした",
                      "原文": "クックパッドがCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを買収",
                      "source": "TechCrunch Japan（2013年9月6日）「クックパッドがCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを買収」",
                      "url": "https://jp.techcrunch.com/2013/09/06/cookpad-acquired-cytajp/"
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                }
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              "sub_title": "世界のレシピを買う——英語・スペイン語・アラビア語圏へ",
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                {
                  "text": "買収の矛先は、同じ2013年のうちに海外のレシピ市場へ向かった。12月20日、クックパッドは北米で英語圏向けレシピサービス「allthecooks」を運営する会社を約5.3億円で取得して完全子会社とし、あわせてスペイン語圏向け「Mis Recetas」を運営するITYIS SIGLO XXIから、同事業を約11.1億円（800万ユーロ）で譲り受けた。国内で確立したレシピ共有のモデルを、言語圏ごとに異なる料理文化のうえへ移植し、世界展開を本格化させる狙いだった。日本語圏で先行したサービスを足がかりに、英語圏とスペイン語圏という利用者数の大きい市場へ、既存事業の複製で踏み出す構えを示した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2013年12月20日、北米allthecooksを運営する会社を約5.3億円で取得（持分100％）、スペイン語圏Mis Recetasを運営するITYIS SIGLO XXIから同事業を約11.1億円（800万ユーロ）で譲り受け、世界展開を本格化した",
                      "原文": "世界のレシピサービスと提携して世界展開を本格化",
                      "source": "クックパッド公式ニュース（2013年12月20日）「世界のレシピサービスと提携して世界展開を本格化」",
                      "url": "https://info.cookpad.com/news/press_2013_1220"
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                },
                {
                  "text": "翌2014年10月30日には、対象がアラビア語圏へ広がった。クックパッドは中東・北アフリカで大きな利用者を集めるレシピサービス「Shahiya」を運営するNetsilaを、基本の取得対価約13.9億円に、業績連動のアーンアウト最大約0.53億円を加えた条件で買収すると発表し、翌2015年1月に全株式を取得した。英語圏、スペイン語圏に続くアラビア語圏の押さえは、主要な言語ブロックを順に埋めていく展開の一環だった。買収対価に将来の業績に応じた後払いを組み込んだ点には、成長途上の海外サービスの価値を見極めきれないなかで、支払いを実績に連動させて取得側の負担を調整する意図がうかがえる。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2014年10月30日、クックパッドはアラビア語圏Shahiyaを運営するNetsilaを、基本約13.9億円＋アーンアウト最大約0.53億円で買収すると発表（持分100％、2015年1月に全株式取得）",
                      "source": "ストライクM&A NEWS（2014年10月30日）",
                      "url": "https://www.strike.co.jp/ma_news/detail.html?id=20141030d"
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              "sub_title": "結婚・求人への拡張と投資の基準",
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                {
                  "text": "生活領域への拡張は、料理から最も遠い結婚の分野にも及んだ。2015年4月21日、クックパッドは結婚式場のクチコミサイト「みんなのウェディング」に対し、総額約28.6億円の株式公開買付け（TOB）を実施した。買付けで26.87％を取得し、穐田個人の保有分と合わせて約40％を握って、同年7月に連結子会社とした。結婚に加えて求人サービス「クックパッド・ジョブ」や知育、電子出版へも手を伸ばし、暮らしの節目を横断的に押さえる構えを強めた。2012年に始まる約2年のあいだに、クックパッドがM&Aと大型出資へ投じた資金は、総額でおよそ90億円に達した。",
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                    {
                      "fact": "2015年4月21日、みんなのウェディングへ総額約28.6億円のTOBを実施して26.87％を取得、穐田個人分と合わせ約40％を握って同年7月に連結子会社化した。約2年でM&A・大型出資に総額およそ90億円を投じた",
                      "原文": "クックパッドが、あの結婚サイトを買う理由",
                      "source": "東洋経済オンライン「クックパッドが、あの結婚サイトを買う理由」",
                      "url": "https://toyokeizai.net/articles/-/69647"
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                },
                {
                  "text": "次々と分野を広げる買収の裏には、投資家として穐田氏が持つ独特の判断軸があった。穐田氏は自らの投資基準について、「違法なものはやらない。人を不快にさせることはやらない」の二点だと語っている。事業内容そのものよりも、法と利用者の心情に反しないかを最低限の条件に置き、そのうえで生活のあらゆる場面へ網を広げる発想である。この基準のもとで買収と出資を重ねた結果、多角化は数字の面でも実を結び、2015年には年間の売上高が100億円を超えた。単一事業に依存する構造からの脱却は、規模の拡大という点では確かに進んでいた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "穐田は投資判断の基準を「違法なものはやらない」「人を不快にさせることはやらない」の二点だと語った。多角化により2015年に年間売上高が100億円を超えた",
                      "原文": "違法なものはやらない。人を不快にさせることはやらない。",
                      "source": "ダイヤモンド・オンライン「最強の料理サイト『クックパッド』2代目経営者が進める大転換」（2015年）",
                      "url": "https://diamond.jp/articles/-/78670"
                    }
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        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
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              "sub_title": "規模は4倍、利益は追いつかず——相次ぐ減損",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "多角化は、売上の規模を目に見えて押し上げた。連結売上高は2012年4月期の39.1億円から、2013年4月期49.8億円、2014年4月期65.7億円と伸び、決算期を12月へ移した2015年12月期には約133億円（IFRS）、2016年12月期には168.5億円へ拡大した。数年で規模はおよそ4倍になった。ところが利益はこの伸びに追いつかなかった。営業利益は2012年4月期の19.3億円から2015年12月期の64.0億円まで拡大したのち、2016年12月期は50.1億円へ減り、増収減益に転じた。2016年12月期の売上は、なおレシピ事業が144億円と85％を占め、多角化で広げたその他インターネットメディアは22億円（13％）にとどまっていた。"
                },
                {
                  "text": "広げた事業のいくつかは、早くも綻びを見せた。海外レシピでは、2015年12月期に北米のallthecooksで約2.7億円ののれん減損を計上した。生活領域の拡張として抱えたEC事業は、2016年10月に京王百貨店へ売却して手放した。習い事のサイタも振るわず、2017年には約8.7億円の減損を計上したうえで、クラウドワークスへ譲渡された。約10億円で買った事業を、数年のうちに、取得額に近い規模の減損を伴って手放した計算になる。生活領域を面で押さえる構想のもとで広げた投資は、収益として回収しきれないまま、個別に整理へ向かうものが相次いだ。",
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                      "fact": "allthecooksで約2.7億円ののれん減損（2015年12月期）、EC事業を京王百貨店へ売却（2016年10月）、サイタで約8.7億円を減損しクラウドワークスへ譲渡（2017年）と、買収・拡張した事業で減損・撤退が相次いだ",
                      "原文": "10億円で買収、8.7億円減損した「サイタ」",
                      "source": "ITmedia NEWS（2017年11月30日）「10億円で買収、8.7億円減損した『サイタ』」",
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                  "text": "穐田体制の多角化は、単一事業に依存する高収益企業が次の成長をどこに求めるか、という問いへの一つの答えだった。国内レシピという安定した稼ぎ頭を持ちながら、その一分野への集中を「一本足打法」と捉え、習い事、海外レシピ、結婚、求人へと約2年で約90億円を投じて事業の裾野を広げた。売上高は39.1億円から168.5億円へ、規模の面では狙いどおりに伸びた。だが、買収した海外レシピや習い事の多くは収益に結びつかず、減損と売却が続いた。規模の拡大と利益の伴わなさが同居した結果は、多角化の速さと投資額に見合う果実を、事業ごとに検証しきれていなかった可能性を示している。"
                },
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                  "text": "この多角化は、事業戦略にとどまらず、経営の主導権をめぐる火種にもなった。料理レシピへの集中を重んじる創業者の佐野氏と、生活領域全般への拡張を進める穐田氏とでは、資源をどこへ振り向けるかという根本の考え方が食い違っていた。約44％を握る筆頭株主として佐野氏が背後に残る資本構成のもとで、この路線の違いは事業の拡大とともに深まっていく。多角化が売上を押し上げる一方で利益が伴わず、減損が続いた実績は、集中を求める側にとって、拡張路線を問い直す材料にもなった。生活のプラットフォームをめざした穐田氏の投資は、2016年に表面化する経営権をめぐる対立の、直接の争点となっていく。"
                }
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          ]
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      ],
      "references": [
        "TechCrunch Japan（2013年9月6日）「クックパッドがCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを買収」",
        "クックパッド公式ニュース（2013年12月20日）「世界のレシピサービスと提携して世界展開を本格化」",
        "ストライクM&A NEWS（2014年10月30日）",
        "東洋経済オンライン「クックパッドが、あの結婚サイトを買う理由」",
        "ダイヤモンド・オンライン「最強の料理サイト『クックパッド』2代目経営者が進める大転換」（2015年）",
        "ITmedia NEWS（2017年11月30日）「10億円で買収、8.7億円減損した『サイタ』」",
        "NetIB-News（データ・マックス）／日経ビジネス電子版",
        "クックパッド 有価証券報告書（各期）"
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      "authored": "2026-07",
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      "title": "創業者による経営権の奪還（穐田社長の更迭）",
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          "text": "2016年、議決権の43.581％を握る創業者・佐野陽光氏が、株主提案と委任状争奪戦を背景に、多角化を進めた穐田誉輝氏を代表執行役（社長）の座から退けた経営権の奪還。3月24日の株主総会で佐野側が取締役の過半を占め、総会後の取締役会で社長の首がすげ替えられた。"
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          "text": "クックパッドは代表執行役が経営を担う指名委員会等設置会社。料理レシピへの集中を求める創業者・佐野氏と、周辺事業への多角化を進める穐田社長の路線対立が2015年に表面化した。社外取締役5名の特別委員会は現執行部の計画推進を勧告したが、佐野氏はいったん受け入れた勧告を覆して株主提案に踏み切った。"
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          "label": "内容",
          "text": "2016年1月、佐野氏は自らを除く全取締役候補の入れ替えを求める株主提案を提出。委任状争奪戦を避けるため2月に取締役を9名へ増やし6名を佐野側とする一本化で合意し、3月24日の株主総会で佐野側が過半を占めた。総会後の取締役会で穐田氏は社長職を失い、マッキンゼー出身の岩田林平氏が新社長に就いた。"
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          "text": "経営権は創業者に戻り本業回帰が進んだ一方、株価は約2週間で3割強下落し時価総額約800億円が失われ、1年で半値に沈んだ。総会翌週には労組が結成され、幹部やエンジニアの流出も相次いだ。監査委員が議決権行使を「奇貨」と呼んだこの騒動は、創業者の株式支配のもとで少数株主が取りうる手段の乏しさを露呈した。"
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                  "text": "路線の対立と佐野氏の求めを受けて、2015年11月27日、経営から独立した社外取締役5名からなる特別委員会が設置された。委員会はおよそ3週間の検討を経て、同年12月18日、現執行部が掲げる事業計画を推進することが企業価値の最大化と少数株主の保護に最も適うとの勧告書をまとめ、取締役会もこれを承認した。特別委員会という装置は、支配株主と少数株主の利害が対立しうる場面で、独立した第三者の目を入れるための仕組みである。佐野氏はいったんこの勧告を受け入れると表明し、対立は収束したかにみえた。少数株主の利益を守るために置かれた合議機関が現経営陣の続投を支持したことで、争いは制度上の決着をみたはずであった。",
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                  "text": "ところが佐野氏は、受け入れたはずの勧告をほどなく反故にした。2016年1月8日付で、自らを除く全取締役候補の入れ替えを求める株主提案を提出し、外部の弁護士に委任して委任状争奪戦の準備を進めた。自らを除く全員の交代とは、現経営陣を総入れ替えするに等しい要求である。43.581％という議決権は、株主総会の議案の帰趨をほぼ一人で左右できる比重であり、特別委員会の勧告も、それを承認した取締役会の意思も、多数決の前では容易に覆しうる。監査委員の岩倉正和氏は招集通知の補足意見で、佐野氏がその議決権を「奇貨として」勧告の結論を覆そうとしたと、名指しで批判した。",
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          "label": "決断",
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                  "text": "株主提案が2016年1月19日に開示されると、市場は敏感に反応した。株価は開示初日に約23％、翌日にもおよそ6％下落し、経営の混乱が企業価値を削っていく様子が数字に表れた。全面的な委任状争奪戦を避けるため、両者は2月5日、取締役を8名から9名に増やし、うち6名を佐野側、3名を現任とする一本化の案で基本合意した。2月12日、佐野氏は株主提案を取り下げ、その際、提案の理由が客観的事実に反していたことを自認した。総会での全面対決という消耗戦は避けられたものの、まとまった中身は、議決権で優位に立つ創業者側の要求をほぼ通す妥協であり、創業者側が取締役の過半を占める布陣が固まった。",
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                  "text": "岩倉監査委員の補足意見は、株式支配の是非にとどまらず、取締役の義務の問題にまで踏み込んだ。もし日本法上、取締役が株主に対していわゆる信認義務を負うのであれば、佐野氏の行動はその義務に違反するおそれがある、と記した。取締役でありながら圧倒的な大株主でもある佐野氏は、株主としての利害と取締役としての義務が交錯する立場にあった。少数株主を守るはずの経営陣を、みずからが選任する取締役の交代によって入れ替えようとする創業者の動きに対し、会社の統治機構は明確な同意を与えなかった。それでも、勧告にも補足意見にも、43.581％の議決権を止める法的な力はなかった。",
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                      "原文": "もし仮に、日本法上、取締役が株主に対していわゆる信認義務（fiduciary duty）を負うのであれば、佐野取締役の行動は、当該信認義務に違反するおそれがある",
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                  "text": "2016年3月24日、恵比寿ガーデンプレイスで開かれた定時株主総会で、取締役9名の選任議案は可決され、佐野側の候補6名が過半を占めた。個々の賛成率をみると、佐野氏の再任は85.41％、穐田氏の再任は95.57％と、更迭される側の穐田氏がむしろ高い支持を集めていた。それでも、総会後に開かれた取締役会で、穐田氏は代表執行役（社長）の座を解かれ、代表権のない取締役にとどまった。新たな社長には、マッキンゼー出身で当時42歳の岩田林平氏が就いた。株主が選んだ取締役の顔ぶれではなく、その取締役会が握る執行役の人事によって、経営の主導権は創業者側へ移った。",
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              "sub_title": "株価下落・労組結成・本業回帰",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "経営権をめぐる争いは、企業価値を著しく損なった。株主提案が表面化した1月19日以降、株価は約2週間で3割強下落し、時価総額はおよそ800億円が失われた。総会後もさらに17％安の1,770円まで下げ、2017年3月には1年前の半値に沈んだ。機関投資家も距離を置いた。経営権の帰属が創業者の持株でほぼ決まる以上、株価がどう動こうと少数株主に打てる手は限られていた。ひふみ投信を運用する藤野英人は、佐野氏の株主提案で紛争が表面化すると保有株をすべて売却したと明かし、少数株主に残された選択肢の乏しさを率直に語った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "ひふみ投信を運用する藤野英人は、佐野の株主提案で紛争が発覚した瞬間に全株を売却したと述べ、少数株主が取りうる手段の乏しさを語った",
                      "原文": "佐野さんから株主提案が出て紛争が発覚した瞬間に、株はすべて売却しました。（中略）少数株主が、穐田さんの力より佐野さんの力が劣っていることを現状の法的手続の中で証明することはできないわけですから、少数株主は売るしかない。",
                      "source": "東洋経済オンライン（2016年5月31日）「藤野英人氏が見たクックパッド『お家騒動』」",
                      "url": "https://toyokeizai.net/articles/-/119627"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "痛手を負ったのは株主だけではなかった。株主総会の翌週、社員だった松浦弥太郎（元「暮しの手帖」編集長）は、現状への疑問を訴える全社メールを社内に送った。ほどなく社員は労働組合を結成し、正社員240名超の8割を超える署名を集めて、佐野執行役と岩田林平氏（社長）の退陣を求めた。CTOの舘野祐一氏をはじめ、幹部やエンジニアの退職も相次いだ。株主総会という手続の上では創業者が勝ったものの、日々の事業を担う現場の人材は、その決着を受け入れなかった。総会で選ばれた経営陣の正統性と、現場が支える経営のあり方は、真っ向から食い違った。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "総会翌週、社員の松浦弥太郎（元「暮しの手帖」編集長）が全社メールを送り、社員は労組を結成、正社員240名超の8割超が佐野・岩田の退陣を求めて署名した",
                      "原文": "今の状況は、おかしいのではないでしょうか",
                      "source": "日経ビジネス（2016年4月6日）「クックパッド、創業者退陣要求で労組を結成」",
                      "url": "https://business.nikkei.com/atcl/report/15/110879/040500299/"
                    }
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                },
                {
                  "text": "更迭された穐田氏は、段階的に会社を去った。2016年12月22日、クックパッドはみんなのウェディングとの資本業務提携を解消して保有株26％を売却し、穐田個人が1株1,000円（前日終値804円に約24％のプレミアム）で公開買付けを行い、同社株を最大66％まで買い集めた。多角化の象徴だった事業の一つは、更迭された当人の手に渡って会社を離れた。穐田氏は12月31日に執行役を退き、翌2017年3月23日の株主総会で取締役も退任して、1年余り続いた内紛は決着した。クックパッドは穐田時代に広げた多角化事業を整理し、料理レシピを中心とする本業への回帰を進めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2016年12月にみんなのウェディング提携を解消し穐田がTOBで同社を引き取り、12月31日に執行役を退任。2017年3月23日の株主総会で取締役も退任し内紛が決着した",
                      "原文": "クックパッド内紛に幕、株主総会で穐田前社長の退任決定",
                      "source": "日本経済新聞（2017年3月23日）「クックパッド内紛に幕、株主総会で穐田前社長の退任決定」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23IHX_T20C17A3000000/"
                    }
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              "sub_title": "創業者の株式支配が問うた上場企業の統治",
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              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この騒動の核心は、上場企業でありながら、一人の創業者が議決権の43.581％を握るという株式支配の構造にある。クックパッドは指名委員会等設置会社として、社外取締役を軸とする合議で執行を監督する仕組みを備えていた。実際に、社外取締役5名の特別委員会は現経営陣の続投を勧告し、監査委員は創業者の議決権行使を「奇貨として」と評し、信認義務違反のおそれにまで言及した。しかし、統治機構が示したこれらの判断のいずれにも、株主総会の多数決を覆す力はなかった。制度が用意した歯止めは、圧倒的な持株比率の前で機能しきれなかった。"
                },
                {
                  "text": "残されたのは、少数株主が取りうる手段の乏しさという問いである。藤野英人が紛争発覚と同時に全株を売却したのは、少数株主が創業者の支配に対抗できないと見切ったからにほかならない。経営権は創業者に戻り、本業への回帰は進んだ。だが、その過程で株価は1年で半値に沈み、労働組合の結成や幹部の相次ぐ流出という代償が残った。支配的な創業株主のもとで、取締役会や特別委員会の独立性、そして少数株主の利益をどう守るのか——クックパッドの経営権騒動は、上場企業の統治が抱える根本の課題を、生々しい形で突きつけた事例として記憶される。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "クックパッド 第12回定時株主総会招集ご通知（2016年2月）監査委員補足意見",
        "日本経済新聞（2016年3月24日）「クックパッド総会、佐野氏側が取締役過半 社長に岩田氏」",
        "東洋経済オンライン（2016年5月31日）「藤野英人氏が見たクックパッド『お家騒動』」",
        "日経ビジネス（2016年4月6日）「クックパッド、創業者退陣要求で労組を結成」",
        "日本経済新聞（2017年3月23日）「クックパッド内紛に幕、株主総会で穐田前社長の退任決定」",
        "NetIB-News（データ・マックス）（2016年）クックパッド経営権騒動に関する報道",
        "クックパッド 適時開示資料（株主提案・一本化合意・取下げに関する各お知らせ、2016年）",
        "クックパッド 有価証券報告書（連結・2016年12月期）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-14"
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      "slug": "recipe-focus-2018",
      "url": "/tse/2193/decisions/recipe-focus-2018/",
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      "title": "「レシピ集中」への方針転換と食領域の新規事業への再投資",
      "subtitle": "穐田体制の多角化事業を売り払い、料理という本業へ絞り込んだクックパッドは、何に賭け直したのか",
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      "issue": "多角化路線の清算と料理・食領域への再集中",
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          "label": "概要",
          "text": "2016年の\"お家騒動\"で創業者・佐野陽光氏が前社長・穐田誉輝氏を退けたのち、岩田林平社長の下でクックパッドは「レシピへの集中化」を新方針に掲げた。穐田体制が買い集めた結婚情報や海外レシピの各社を売却する一方、動画・生鮮EC・スマートキッチンといった食領域の新規事業へ再投資した経営判断。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "穐田誉輝氏は2012年の社長就任後、みんなのウェディングの子会社化や海外レシピサイトの買収を重ねて業容を広げた。だが2016年3月、議決権約43.6％を握る創業者の佐野陽光氏が株主提案で穐田氏を退け、多角化路線そのものが否定された。同じ時期、テキスト投稿型のレシピは動画勢の台頭で陳腐化し始めていた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "岩田林平社長は2017年3月の株主総会で「今後約10年は投資フェーズ」との見方を示し、買収各社を次々に売却しながら本業へ資源を戻した。2017年12月に流通向け動画「cookpad storeTV」、2018年9月に生鮮EC「クックパッドマート」を投入。storeTV子会社は三菱商事を引受先に約40億円の増資を実施した。"
        },
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          "label": "含意",
          "text": "事業領域を料理・食へ狭める判断は、多角化のリスクを断つ一方で、動画勢との競争と重い先行投資に縮小均衡の芽を残した。生鮮ECは赤字が続き、売上は縮小を続けた。2023年には人員削減と本業回帰の縮小均衡へと連なり、佐野陽光氏が11年ぶりに社長へ復帰した。"
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                  "text": "2012年5月に創業者の佐野陽光氏が社長を退くと、後任にはカカクコムの元社長・穐田誉輝氏が就いた。穐田氏は料理レシピという一分野への依存から抜け出すべく、国内では食に関する生活インフラの新サービスを連発し、海外では投稿型レシピサイトの買収を矢継ぎ早に進めた。2015年8月には結婚情報サービスのみんなのウェディングを子会社化し、関連するのれんは約20億5000万円に達した。業容は広がり、2016年12月期には上場以来7期連続の増収を記録した。",
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                      "原文": "社長就任以降、まずは国内の「食に関する生活インフラ」の分野でレシピの枠を超えた新サービスを連発してきた。（中略）海外の同業への買収なども矢継ぎ早に実施。",
                      "source": "週刊東洋経済 2014年3月14日号「最強のレシピサイトが狙う世界の食インフラ」",
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                      "原文": "2015年8月には結婚情報サービスのみんなのウェディングを子会社化し、のれん残高はおよそ20億5000万円に達した。",
                      "source": "クックパッド 有価証券報告書（2015年12月期・連結）",
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              "sub_title": "お家騒動と、動画勢の台頭",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "拡大の途上で歯車は狂った。2016年3月、議決権の約43.6％を握る創業者の佐野陽光氏が経営ビジョンの歪みを問題視し、株主提案を経た取締役会で穐田氏を社長から退けた。佐野氏のいう歪みとは、穐田氏が推し進めた多角化戦略そのものを指していた。同じ頃、スマートフォンの短尺動画で調理を見せるクラシルなどが利用者を集め、文字と写真で手順を伝えるクックパッドは相対的に目新しさを欠き始めていた。売上収益は2016年12月期の168億円を頂点に細り始めた。",
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                    {
                      "fact": "2016年、筆頭株主でもある佐野氏が経営ビジョンの歪みを理由に取締役刷新へ動き、株主総会後の取締役会で穐田氏は社長を退任した",
                      "原文": "１６年１月、筆頭株主（約４４％を保有）でもある佐野氏が、「経営ビジョンに大きな歪みが出てきた」とし、株主提案で取締役刷新に動いた。（中略）同年３月、株主総会後に開かれた取締役会を経て、穐田氏は社長を退任。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
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                    },
                    {
                      "fact": "売上収益は2016年12月期の約168億円を頂点に、2017年12月期には134億円へ減少へ転じた",
                      "原文": "売上高168／営業利益50（2016年12月期）／売上高134／営業利益54（2017年12月期）",
                      "source": "クックパッド 有価証券報告書（2016年12月期・連結）",
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          "label": "決断",
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              "sub_title": "多角化の清算と「レシピ集中」の宣言",
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                {
                  "text": "創業者の意向を軸とする新体制で、クックパッドは岩田林平社長の下、レシピへの集中化を新方針に掲げた。穐田体制が過去数年で買収してきた各社を次々に売却し、みんなのウェディングとの資本業務提携も2016年12月に解消した。あらゆる市場への多角化ではなく、食の領域を確実に攻めることで独自性を高める路線であった。買収各社の切り離しにより売上は縮小へ転じたが、経営の主張は料理という創業以来の本業へ絞り込む方向で一貫していた。",
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                    {
                      "fact": "岩田社長体制の下、クックパッドはレシピへの集中化を新方針に掲げ、過去数年で買収した各社を次々に売却した",
                      "原文": "クックパッドは現岩田林平社長体制の下、「レシピへの集中化」の新方針を掲げている。過去数年で買収してきた各社を次々売却。売り上げは縮小に転じている",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "2016年12月にみんなのウェディングとの資本業務提携を解消した",
                      "原文": "さらに同年12月には、みんなのウェディングとの資本業務提携も解消され、取締役最高技術責任者を務めていた舘野祐一氏もクックパッドを退職した。",
                      "source": "クックパッド 有価証券報告書（2016年12月期・連結）",
                      "url": null
                    }
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            },
            {
              "sub_title": "食領域の新規事業への再投資",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "縮小と並行して、岩田社長は攻めの布石も打った。2017年3月の株主総会では今後約10年は投資フェーズとの見方を示し、料理・食に絞った新規事業を矢継ぎ早に立ち上げた。2017年12月には流通向けの動画サービス「cookpad storeTV」を投入し、店頭のタブレットで食材に合わせたレシピ動画を流す仕組みを47都道府県へ広げ、設置端末は1万台に達した。2018年8月末には同サービスを運営する子会社が三菱商事を引受先に約40億円規模の第三者割当増資を実施した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2017年12月に流通向け動画サービスcookpad storeTVを投入し、47都道府県で端末1万台まで広げた",
                      "原文": "２０１７年１２月、流通向け新サービス「ｃｏｏｋｐａｄ　ｓｔｏｒｅＴＶ（クックパッドストアティーヴィー）」を投入。導入店についてはすでに４７都道府県を制覇。設置端末数は１万に上る。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
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                    },
                    {
                      "fact": "2018年8月末、storeTVを運営する子会社が三菱商事を引受先に約40億円規模の第三者割当増資を実施した",
                      "原文": "今年８月末には、同サービスを運営するクックパッド子会社が三菱商事を引受先に４０億円規模の第三者割当増資を実施。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
                      "url": null
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                },
                {
                  "text": "より大きな挑戦は、料理に特化したネット通販であった。2018年6月には食器や料理道具を扱うECアプリ「Komerco」を、9月には生鮮食品を扱う「クックパッドマート」を東京の一部地域で始めた。マートは在庫を出品店舗が持つ販売プラットフォームでありながら、集荷から配達までの物流網構築という未知の領域へ踏み込んだ。注文者の自宅には配送せず、提携するドラッグストアなどの受け取り棚から本人が持ち出す方式で、最低注文金額や送料を無料にして既存のネットスーパーと差別化した。レシピデータと家電を連携させるスマートキッチン「OiCy」も、シャープなどと組んで動き出した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2018年6月にECアプリKomerco、9月に生鮮食品ECのクックパッドマートを開始し、マートでは物流網構築へ踏み込んだ",
                      "原文": "今年６月には食器や料理道具などクラフト作品を扱うＥＣアプリ「Ｋｏｍｅｒｃｏ（コメルコ）」を、９月には生鮮食品を扱うＥＣアプリ「クックパッドマート」（東京の一部地域のみ）の提供も開始した。（中略）クックパッドマートでは物流網構築という未知の領域に踏み込んだ。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
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                    {
                      "fact": "レシピデータと調理家電を連携させるスマートキッチンOiCyを立ち上げ、シャープやタイガー魔法瓶などとパートナー契約を結んだ",
                      "原文": "レシピデータと調理機器・家電を連携させ、自動化を促進するスマートキッチンサービス「ＯｉＣｙ（オイシー）」だ。（中略）シャープ、タイガー魔法瓶、リクシルなどとパートナー契約を締結し、開発を進めている。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
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        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "再投資は成長を取り戻せず",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "領域を狭めて成長を続けられるかについて、株式市場は当初から懐疑的であった。株価は2015年8月の穐田社長体制時のピークから6分の1程度まで下落していた。集中化に伴う新規事業は数を増やしたものの、本業の会員・広告事業の細りを補うには至らなかった。売上収益は2016年12月期の168億円から2017年12月期の134億円、2018年12月期の118億円へと減り続け、投資フェーズを掲げる分だけ利益も圧迫された。賭け直した食領域の新事業は、期待された次の柱へはなかなか育たなかった。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "事業領域を料理へ狭める方針に市場は懐疑的で、株価は2015年8月のピークから6分の1程度まで下落していた",
                      "原文": "レシピや料理に事業領域を狭めて、成長を続けられるか。株式市場は懐疑的だ。（中略）直近の株価は、１５年８月の穐田社長体制時につけたピークから６分の１程度にまで下落している。",
                      "source": "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
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                    },
                    {
                      "fact": "売上収益は2016年12月期の168億円から2017年に134億円、2018年に118億円へ減り続けた",
                      "原文": "売上高168（2016年12月期）／売上高134（2017年12月期）／売上高118（2018年12月期）",
                      "source": "クックパッド 有価証券報告書（2018年12月期・連結）",
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            {
              "sub_title": "生鮮ECの赤字と、縮小均衡への接続",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "集中化から数年を経ても、成果は乏しかった。2023年度の売上高は76億円、営業損益は27億円の赤字となり、2016年度に168億円の売上と50億円の営業利益を誇った高収益企業の面影は薄れた。次の柱と期待された生鮮EC「クックパッドマート」は投資費用が重く赤字が続いた。主力レシピの有料会員も、2023年12月時点で152万人と前期末から約16万人減った。会社は止血策として3度の人員削減に踏み切り、従業員数は147人へと6割減った。集中化の賭けは、縮小均衡へと接続した。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2016年度に売上168億円・営業利益50億円だったクックパッドは、2023年度に売上76億円・営業赤字27億円へ転落し、有料会員も減少した",
                      "原文": "２０１６年度には売上高１６８億円、営業利益５０億円を誇ったが、２３年度は売上高７６億円、営業赤字２７億円と、かつての勢いは見る影もない。（中略）２３年１２月時点で１５２万人と、前期末から約１６万人減少した。",
                      "source": "週刊東洋経済 2024年2月24日号「凋落のクックパッド 本業不振、投資も重い」",
                      "url": null
                    },
                    {
                      "fact": "生鮮EC「クックパッドマート」は投資費用が重く赤字が続き、3度の人員削減で従業員は147人へ約6割減った",
                      "原文": "生鮮食品ＥＣ「クックパッドマート」は、投資費用が重く赤字が続いている。（中略）３度の人員削減で、従業員数は１４７人（２３年１２月時点）と前期末から約６割減。",
                      "source": "週刊東洋経済 2024年2月24日号「凋落のクックパッド 本業不振、投資も重い」",
                      "url": null
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            {
              "sub_title": "筆者見解",
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              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この転換は、多角化のリスクを断つという意味では筋が通っていたとみることができる。穐田体制の広げた結婚情報や海外レシピの事業は、料理という本業との距離が遠く、統合の負担も小さくなかった。それらを売り払い、食という一つの領域へ資源を集めた判断は、創業者の一貫した主張とも重なっていた。ただ、集中の先で選んだ動画・生鮮EC・スマートキッチンは、いずれも先行投資が重く回収に時間を要する事業で、本業が細るなかで支え続ける原資は乏しかったとみられる。"
                },
                {
                  "text": "結果として、集中化は失った成長を取り戻す道ではなく、残った本業を守る守勢の入り口になった側面がうかがえる。動画で先行したクラシルなどが規模でクックパッドを追い抜き、賭けた新事業が柱へ育つ前に会社は人員半減の縮小へ向かった。領域を狭める判断そのものより、狭めた先で何に賭け、どこまで投資を続けるかの見極めが、その後の明暗を分けたとみることができる。集中と投資のあいだの均衡をどう取るかは、いまなお同社に残された課題といえる。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "週刊東洋経済 2014年3月14日号「最強のレシピサイトが狙う世界の食インフラ」",
        "週刊東洋経済 2018年10月6日号「お家騒動経たクックパッド 『レシピ集中』戦略の成否」",
        "週刊東洋経済 2024年2月24日号「凋落のクックパッド 本業不振、投資も重い」",
        "クックパッド 有価証券報告書（2016年12月期・連結）",
        "クックパッド 有価証券報告書（2017年12月期・連結）",
        "クックパッド 有価証券報告書（2018年12月期・連結）"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-20"
    },
    {
      "slug": "decline-restructuring-2019",
      "url": "/tse/2193/decisions/decline-restructuring-2019/",
      "year": 2019,
      "month": 12,
      "schema_version": "1.0",
      "stock_code": "2193",
      "decision_id": "2193-2019-3",
      "type": "restructuring",
      "tags": [
        "tr-restructuring",
        "gv-succession"
      ],
      "title": "動画レシピ台頭による凋落と縮小均衡への転換",
      "subtitle": "動画レシピに出遅れ3期連続の営業赤字に沈んだクックパッドは、規模を縮めることで何を守ろうとしたか",
      "status": "implemented",
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        {
          "name": "岩田林平",
          "role": "クックパッド 社長",
          "path": "fy15-iwata-rinpei"
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      "highlights": [
        {
          "label": "概要",
          "text": "2016年前後に台頭したスマホの短尺動画レシピにテキスト投稿型のクックパッドが出遅れ、有料会員と売上が縮むなか、希望退職と6事業廃止で費用を削り、規模を追わず縮小均衡へ転じた経営判断。2023年10月には創業者・佐野陽光氏が11年ぶりに社長へ復帰し、2024年に黒字へ戻したが売上は58億円まで縮んだ。"
        },
        {
          "label": "背景",
          "text": "delyの「クラシル」やエブリーの「DELISH KITCHEN」が動画の手軽さで利用者を集め、クラシルは2017年にレシピ動画数で世界一となった。文字と写真のクックパッドは目新しさを欠き、国内月間利用者は2年で約1,000万人減り、有料会員も2018年末の約205万人をピークに減少へ転じた。"
        },
        {
          "label": "内容",
          "text": "2023年2月に上限40名の希望退職と、食育「おりょうりえほん」や釣り「ツリバカメラ」など6事業の廃止を発表。海外でも人員を削り、連結従業員数は2020年末の547名から2024年末の117名へ縮んだ。同年10月には創業者・佐野陽光氏が11年ぶりに代表執行役CEOへ復帰した。"
        },
        {
          "label": "含意",
          "text": "売上収益は2016年の約168億円をピークに減り続け、2019年に上場来初の最終赤字、2021年から3期連続の営業赤字に沈んだが、費用圧縮で2024年に黒字転換した。ただし売上は58億円まで縮み、動画で先行したdelyは2024年に上場、クラシルの売上はクックパッドを規模で上回った。"
        }
      ],
      "parties": [
        {
          "stock_code": "2193",
          "name": "クックパッド",
          "role": "当事者",
          "at_deal": {
            "note": "有料会員と広告を柱とするレシピサービス（動画競争で失速）"
          }
        }
      ],
      "dates": {
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      "breakdown": {
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        "summary": "スマホ動画レシピへの対応が遅れて投稿型レシピが陳腐化するなか、規模を追わず費用を収益に見合わせる縮小均衡へ転換し、創業者の社長復帰で本業へ絞り込んだ選択"
      },
      "timeline": [
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          "year": 2016,
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          "title": "競合「クラシル」がサービス開始"
        },
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          "title": "上場来初の最終赤字に転落",
          "highlight": true
        },
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          "year": 2021,
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          "title": "営業赤字に転落（以後3期連続）"
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        {
          "year": 2023,
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          "title": "希望退職と6事業の廃止を発表"
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        {
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          "title": "創業者・佐野氏が社長へ復帰"
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        {
          "year": 2024,
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          "title": "黒字に転換（売上は58億円へ縮小）"
        }
      ],
      "snapshot": {
        "fiscal_year": "2019年12月期（連結）",
        "source": "クックパッド 有価証券報告書ほか（pl_long）",
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          {
            "stock_code": "2193",
            "name": "クックパッド",
            "fiscal_year": "2019年12月期（連結）",
            "president": "岩田林平",
            "hq": "東京都",
            "sales": {
              "num": 117,
              "unit": "億円"
            },
            "segments": [],
            "operating_profit": {
              "num": 3,
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          }
        ]
      },
      "report": [
        {
          "section": "background",
          "label": "背景",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "動画レシピの台頭とテキスト投稿の陳腐化",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "レシピサービスの前提は、2016年前後のスマートフォンの普及とともに変わり始めた。文字と写真で調理手順を伝えるクックパッドの投稿型モデルに対し、後発のdelyが2016年2月に始めた「クラシル」は、短い動画で手元の動きをそのまま見せる方式で利用者を集めた。堀江裕介が率いるdelyはレシピ動画を大量に投入し、クラシルは2017年にレシピ動画数で世界一に達したと報じられ、同年12月にはアプリのダウンロードが1,000万件を超えた。2015年に先行したエブリーの「DELISH KITCHEN」も同じ潮流を担い、文字ベースのクックパッドは相対的に目新しさを欠いた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "delyの「クラシル」は2016年2月に開始し、レシピ動画を大量に投入して2017年にレシピ動画数で世界一となり、同年12月にアプリのダウンロードが1,000万件を超えた",
                      "原文": "レシピ動画の後発クラシル 大量投入で逆転、世界一に",
                      "source": "日本経済新聞（2018年3月6日）「レシピ動画の後発クラシル 大量投入で逆転、世界一に」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27697120V00C18A3000000/"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "動画への需要は資本の裏づけも得た。2018年7月、ヤフーはdelyを約93億円で子会社化し、検索大手の傘下でクラシルは配信の基盤を広げた。エブリーの「DELISH KITCHEN」もSNSや流通との連携で視聴の裾野を広げ、動画勢は無料で見られる手軽さを武器に利用者の時間を集めた。調理をひと目で追える動画は、目的の料理を検索して文章と静止画で確かめる従来の使い方から、利用者の時間を奪った。クックパッドが積み上げてきた膨大な投稿レシピの蓄積は、動画という新しい形式の前では強みを発揮しにくくなり、無料でも十分という受け止めが広がっていった。手軽さと無料という二つの条件が、後発の動画サービスへの追い風となった。"
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "利用者離れと有料会員のピークアウト",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "利用者の離反は数字に表れた。クックパッドの国内月間利用者数は、2016年末の約6,400万人から2018年には約5,500万人へと、2年でおよそ1,000万人減った。広告と並ぶ収益の柱である有料会員も、2018年末の約205万人をピークに減少へ転じた。無料の動画で日々のレシピが得られるようになると、月額を払って投稿レシピを使う理由は薄まり、退会が入会を上回った。売上収益は2016年12月期の約168億円を頂点に細り始め、動画に出遅れたテキスト投稿の陳腐化が、集客と課金の両面から収益の基盤を痩せさせた。月額課金を前提とする事業モデルの土台が、会員数の逓減とともに静かに揺らいだ。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "国内月間利用者数は2016年末の約6,400万人から2018年に約5,500万人へ2年でおよそ1,000万人減り、有料会員は2018年末の約205万人をピークに減少へ転じた",
                      "source": "クックパッド 各期決算説明資料"
                    }
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "origin",
          "label": "決断",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "希望退職と6事業廃止による費用圧縮",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "収益の縮小に対し、クックパッドは費用構造の見直しへ動いた。2023年2月10日、上限40名の希望退職を募ると同時に、食育アプリ「おりょうりえほん」や釣り情報「ツリバカメラ」など6事業を廃止すると発表した。廃止する事業の売上高は全社のおよそ12％にあたり、これらは多角化のなかで広げた周辺領域でもあった。岩田林平社長は経営責任を明確にするため役員報酬を2か月間にわたり50％返上した。希望退職には上限を超える46名が応じ、料理を核としない周辺の事業を切り離すことで、本業への集中と固定費の削減を同時に進めた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2023年2月10日、上限40名の希望退職と、食育「おりょうりえほん」・釣り「ツリバカメラ」など6事業の廃止を発表。廃止事業の売上高は全社の約12％で、岩田林平社長は役員報酬を2か月間50％返上し、希望退職には46名が応じた",
                      "原文": "クックパッドが希望退職募集 一部広告など6事業廃止",
                      "source": "日本経済新聞（2023年2月10日）「クックパッドが希望退職募集 一部広告など6事業廃止」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1090Q0Q3A210C2000000/"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "人員の削減は国内にとどまらなかった。海外事業でも80名の募集に73名が応じ、2023年6月から8月にかけての退職勧奨と合わせて約110名を減らした。海外はかつて世界展開の要と見込まれた領域だったが、本業が細るなかで投資を続ける余力は失われていた。国内外の削減が重なった結果、連結従業員数は2020年末の547名を頂点に、2022年末の409名、2023年末の147名へと急速に細った。2024年末には117名まで減り、ピークからおよそ5分の1の規模になった。人件費を軸とする費用の圧縮が、縮小均衡の中心に据えられた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "海外事業でも80名の募集に73名が応募し、退職勧奨と合わせ約110名を削減。連結従業員数は2020年末の547名をピークに、2022年末409名、2023年末147名、2024年末117名へ減少した",
                      "source": "クックパッド 各期有価証券報告書"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "創業者・佐野陽光氏の11年ぶりの社長復帰",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "組織の縮小と並行して、経営の指揮系統も改まった。2023年5月18日、クックパッドは創業者の佐野陽光氏が同年10月1日付で代表執行役CEOに復帰すると発表した。佐野氏は2012年に社長を退いてから会長などの立場にあり、経営の第一線へ戻るのは11年ぶりだった。2016年に多角化路線の前社長を株主提案で退けたのも佐野氏であり、料理への集中という主張は一貫していた。社長を務めてきた岩田林平氏は取締役へ退き、希望退職と事業廃止で身軽になった組織の再建を、創業者みずからが率いる体制へ改めた。海外を含む多角化の路線から、料理という創業以来の本業へ絞り込む方針が、人事にも映し出された。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2023年5月18日、創業者・佐野陽光氏が同年10月1日付で代表執行役CEOに復帰すると発表。社長を退いて11年ぶりの復帰で、岩田林平氏は取締役へ退いた",
                      "原文": "クックパッド、創業者の佐野氏が社長復帰 11年ぶり",
                      "source": "日本経済新聞（2023年5月）「クックパッド、創業者の佐野氏が社長復帰 11年ぶり」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC188BI0Y3A510C2000000/"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "復帰の背景には、規模を追う成長路線への区切りがあった。クックパッドは投稿レシピの基盤の上に、生鮮食品のEC「クックパッドマート」や海外展開など多方面へ手を広げてきたが、動画競争のなかで本業の収益が細り、周辺の事業を抱え続ける余力は乏しくなっていた。会員の減少で本業の稼ぐ力が弱まるほど、投資段階の新規事業を支える原資も細っていった。創業者の復帰は、規模の拡大よりも本業の立て直しと費用の適正化を優先する選択と重なった。料理という本業に立ち返り収益と費用を釣り合わせる縮小均衡の方針を、多角化を主導した前任者から創業者へ経営を託す人事が、あらためて裏づけた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "佐野の代表復帰は、多角化・規模拡大の路線から料理という本業への集中と再建を優先する経営への転換と重なった",
                      "原文": "創業者・佐野陽光氏の代表復帰でクックパッドは蘇るか？",
                      "source": "Media Innovation（2023年7月）「創業者・佐野陽光氏の代表復帰でクックパッドは蘇るか？」",
                      "url": "https://media-innovation.jp/article/2023/07/21/140743.html"
                    }
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        },
        {
          "section": "outcome",
          "label": "結果",
          "subsections": [
            {
              "sub_title": "3期連続赤字から黒字転換へ",
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "業績の悪化は数年にわたって続いた。2020年2月7日に発表された2019年12月期は、売上収益117.53億円と営業利益3.07億円を確保したものの、親会社帰属の当期損益は9.69億円の赤字となり、上場来初の最終赤字に沈んだ。翌2020年12月期は売上110.96億円・当期利益4.79億円といったん黒字へ戻したが、減収は止まらなかった。2021年12月期は売上100.04億円に対し営業損益26.33億円の赤字となり、上場来初の営業赤字を記録した。会員の課金に支えられた収益が、利用者の逓減とともに細り続けた。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2020年2月7日発表の2019年12月期は売上収益117.53億円・営業利益3.07億円ながら当期損益が9.69億円の赤字となり、上場来初の最終赤字となった",
                      "原文": "クックパッド、上場後初の最終赤字",
                      "source": "Business Insider Japan（2020年2月）「クックパッド、上場後初の最終赤字」",
                      "url": "https://www.businessinsider.jp/article/207323/"
                    }
                  ]
                },
                {
                  "text": "赤字は本格化した。2022年12月期は売上90.87億円で営業損益35.21億円・当期損益34.88億円の赤字となり、6期連続の減収と2期連続の赤字が重なった。2023年12月期も売上76.07億円・営業損益27.99億円の赤字で営業赤字は3期連続に達し、当期損益は22.29億円の赤字となった。費用の圧縮が効いた2024年12月期は、売上が58.77億円まで縮む一方で営業利益6.74億円・当期純利益13.32億円と黒字へ転じた。ただし有料会員は2023年末の152.5万人から2024年末の140.4万人へ減り続け、課金基盤の縮小そのものは止まっていない。",
                  "evidences": [
                    {
                      "fact": "2022年12月期は売上90.87億円・営業損失35.21億円、2023年12月期は売上76.07億円・営業損失27.99億円で営業赤字は3期連続となり、当期損益は22.29億円の赤字となった",
                      "原文": "クックパッドの23年12月期、最終損益が22億2900万円の赤字",
                      "source": "日本経済新聞（2024年2月）「クックパッドの23年12月期、最終損益が22億2900万円の赤字」",
                      "url": "https://www.nikkei.com/article/DGXZRST0529011X00C24A2000000/"
                    }
                  ]
                }
              ]
            },
            {
              "sub_title": "動画への出遅れが招いた縮小均衡",
              "editorial": true,
              "paragraphs": [
                {
                  "text": "この判断の核心は、規模の追求をやめ、料理という本業に合わせて費用を絞ることで、赤字の連鎖を止めた点にある。クックパッドは投稿型レシピの草分けとして国内で圧倒的な利用者を抱えていたが、スマートフォンの短尺動画という新しい形式への対応が遅れ、無料の動画に利用者の時間と関心を奪われた。長年かけて蓄積した投稿レシピという資産は、形式の転換の前で競争力へ結びつきにくくなった。有料会員は2018年をピークに細り、2019年の最終赤字から2021年以降の3期連続の営業赤字へと沈んだ。希望退職と6事業の廃止で従業員を半分以下に減らし、収益に費用を合わせにいく縮小均衡が、黒字転換の前提を整えた。"
                },
                {
                  "text": "もっとも、黒字への転換は事業の再拡大を意味しない。2024年に黒字へ戻した時点で、売上は58億円までしぼみ、有料会員の2023年末から2024年末への減少も続いていた。一方、動画で先行したdelyは2024年12月に東証グロースへ上場し、時価総額は約480億円に達した。設立から数年の後発が、先発のクックパッドを規模で上回るところまで育っていた。2026年初めにはクラシルの売上がクックパッドの3倍を超えたとされ、レシピ市場での規模は逆転していた。新しい技術の潮流への出遅れが競争上の立場を反転させ、縮小均衡は、失った規模を取り戻す道ではなく、残った本業を守るための選択として働いた。"
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ],
      "references": [
        "日本経済新聞（2018年3月6日）「レシピ動画の後発クラシル 大量投入で逆転、世界一に」",
        "Business Insider Japan（2020年2月）「クックパッド、上場後初の最終赤字」",
        "gamebiz（2023年）「クックパッド、2022年12月期決算は営業損失35億円」",
        "日本経済新聞（2023年2月10日）「クックパッドが希望退職募集 一部広告など6事業廃止」",
        "日本経済新聞（2023年5月）「クックパッド、創業者の佐野氏が社長復帰 11年ぶり」",
        "gamebiz（2024年）「クックパッド、2023年12月期決算は営業損失27億9900万円」",
        "日本経済新聞（2024年2月）「クックパッドの23年12月期、最終損益が22億2900万円の赤字」",
        "Media Innovation（2023年7月）「創業者・佐野陽光氏の代表復帰でクックパッドは蘇るか？」",
        "クックパッド 各期決算説明資料・有価証券報告書"
      ],
      "authored": "2026-07",
      "last_updated": "2026-07-14"
    }
  ]
}
