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  "title": "ホクトの歴史概略",
  "eras": [
    {
      "title": "新潟地震が変えた包装資材の販売会社、きのこ資材のトップメーカーへ",
      "start_year": 1964,
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    },
    {
      "title": "農家への資材供給からブナシメジ生産量全国一へ",
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    {
      "title": "まいたけ参入が招いた初の赤字とカリフォルニアでの生産",
      "start_year": 2000,
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    {
      "title": "アーデン買収とサプリメント参入、創業以来初の通期赤字",
      "start_year": 2013,
      "end_year": 2026
    }
  ],
  "overview": [
    {
      "label": "創業",
      "text": "1964年7月、水野正幸氏が長野県長野市でデラップス商事を設立し、食品包装資材や容器を量販店と食品工場へ売り始めた。設立の前月にあたる同年6月の新潟地震できのこ栽培農家のガラスビンがほとんど割れ、包装材の成型技術を回して割れないポリプロピレン製の栽培ビンを他社に先駆けて開発する。1968年4月に本社工場を新設して量産に入り、コンテナやキャップまで扱いを広げて、きのこ資材の最大手になった。1969年11月に水野正幸氏が社長へ就任し、1972年2月に商号をホクト産業へ、2003年10月にホクトへ改めている。"
    },
    {
      "label": "決断",
      "text": "資材を売る相手だった農家の隣に、自ら工場を建設した。1971年から本社工場できのこの試験栽培を続けたのは、生産技術を農家へ渡して資材の売上を拡大するためだった。しかし農地の宅地化で野菜の作付面積は60万ヘクタール割れ寸前まで減り、小規模な農家をあてにしていては売上が安定しない。1989年4月、水野正幸社長は[資材の供給から自社での量産へ主軸を移し](/tse/1379/decisions/mushroom-production-entry-1989/)、長野の柳原と福岡の広川へ消費地向けのきのこセンターを開設した。1983年12月に設けたきのこ総合研究所で品種を自前で開発し、研究と生産と資材を一社に集めた構えが、日本たばこや新日鉄など十数社が参入して撤退した市場に残る条件を作った。"
    },
    {
      "label": "現況",
      "text": "セグメント利益の8割弱を、国内で育てるきのこが作っている。2026年3月期の連結売上高は859億円、営業利益70億円、純利益70億円である。内訳は国内きのこが売上560億円・利益72億円、化成品が136億円・4億円、海外きのこが82億円・11億円、加工品が80億円・5億円で、売上の4分の1を占める化成品と加工品は利益では1割ほどにしかならない。2013年8月に21億円で取得したレトルト食品のアーデンは加工品事業になったが、その利益は現在も国内きのこの14分の1にとどまる。"
    },
    {
      "label": "競合",
      "text": "値を決めるのは同業ではなく、その日の野菜相場である。ブナシメジとエリンギに寄った収益の構成を分散させるため、ホクトは2001年に[まいたけへ参入して赤字を織り込んだ値下げを続け](/tse/1379/decisions/maitake-entry-price-war-2001/)。同じ品目へは[雪国まいたけのブナシメジとエリンギへの参入](/tse/1375/decisions/mushroom-war-2002/)も入り、相互参入は値下げ合戦になった。もっとも2023年3月期の営業損失29億円を作ったのは競争ではない。天候に恵まれて果菜類の生育が順調となり野菜相場が安値へ振れたためで、電力費と包装費の上昇を売値へ移せなかった。相手の増産ではなく果菜類の豊作が赤字を招いたため、水野雅義社長が打った手は値下げでも増産でもなく、計画比1,700トンの減産だった。"
    }
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  "profile": [
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      "label": "祖業",
      "value": "食品包装資材と容器の販売"
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    {
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      "label": "現在の注力課題",
      "value": "きのこの生産調整と米国・台湾での増産",
      "tags": [
        "増産投資",
        "海外展開"
      ]
    }
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  "foundingStory": true,
  "foundingChapters": 2,
  "summary": {
    "description": "ホクト（旧ホクト産業）の歴史。1964年、水野正幸氏が長野市でデラップス商事を設立し包装資材の販売を開始。新潟地震が生んだ割れない栽培ビン、1989年の自社きのこ生産への参入、きのこ戦争までの沿革と経緯を執筆。"
  },
  "chapters": [
    {
      "start_year": 1964,
      "end_year": 1988,
      "main_title": "新潟地震が変えた包装資材の販売会社、きのこ資材のトップメーカーへ",
      "subsections": [
        {
          "title": "新潟地震が生んだ割れないポリプロピレン製栽培ビン",
          "text": "1964年7月、長野県長野市大字箱清水にデラップス商事株式会社が設立され、一般包装資材の販売を開始した。扱ったのは食品包装資材、容器、包装機械で、これを量販店と食品工場へ売った。水野正幸氏は設立と同時に専務取締役に就任した。1968年には水野正幸氏が米国から持ち込んだ食品トレーの企画と開発に成功し、これを売り出した。フィルムやラップなどの包装資材とあわせ、長野県と新潟県の量販店と食品工場を売り先にした。得意先が食品業界であるため、この商いは景気の波を受けにくかった。デラップス商事は包装材を製造販売するかたわら、きのこ栽培に使うガラスビンも手がけた。\n\n設立の前月にあたる1964年6月に新潟地震が起き、きのこ栽培農家のビンはほとんどが破損した。これを契機に、デラップス商事は割れないポリプロピレン製のきのこ栽培ビンを他社に先駆けて開発した。軽くて割れないこの栽培ビンは、きのこ業界へ広く行き渡った。包装材で培った成型技術をビンの生産へ回した。受注が急増したため、1968年4月に本社工場を設置してポリプロピレンビンの製造を開始した。同年6月には本社を長野県長野市南堀へ移し、10月に長野県松本市へ松本営業所を開設した。1970年6月には新潟県新潟市に新潟営業所を開設した。ビンの生産に続けて、各種の栽培用資材の販売へ扱いを広げた。\n\n1969年11月、設立時に専務取締役だった水野正幸氏が代表取締役社長に就任した。きのこの栽培は、空調のある部屋で温度と湿度を管理しながらビンに培地を詰めて育てる方法をとり、長野県にはこれを手がける農家が多かった。デラップス商事はビンと並行して、独自の発想からコンテナやキャップなど栽培きのこの生産性と品質を上げる生産資材を農家へ送り出し、きのこの生産効率が高まった。地元の長野をはじめ新潟、九州、北海道と、人工栽培ビンによる生産農家が年ごとに増え、デラップス商事はきのこ資材のトップメーカーになった。",
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              "title": "ホクト 有価証券報告書【沿革】",
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          "start_year": 1964
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        {
          "title": "資材を売るために自ら踏み出した試験栽培とホクト産業への改称",
          "text": "デラップス商事は1971年8月に試験的な栽培工場を開設し、自らきのこを育て始めた。翌1972年には長野県の本社工場でも栽培を始めた。売り先は栽培農家で、長野県にはきのこを育てる農家が約4800戸あった。きのこは空調設備のある部屋で温度と湿度を管理しながらビンに入れて育てるため、資材の出来がそのまま収量を左右した。水野正幸社長は、開発した生産技術を農家へ提供して普及させれば、栽培用資材の売上増に結びつくと考えていた。自ら育てることは製品を売るための事業ではなく、売り先の生産力を引き上げるための投資だった。\n\n1972年2月、デラップス商事は商号をホクト産業へ変更した。同じ月には北海道にナメコの栽培工場を新設し、寒冷地での栽培にも手を伸ばした。設立から8年で、一般包装資材の販売を目的として付けた社名は消えた。もっとも包装資材の商いを畳んだわけではない。水野正幸社長が1968年にアメリカから持ち込んで開発した食品トレーは、フィルムやラップとともに長野県と新潟県の量販店と食品工場へ売られ続けた。得意先が食品業界であるため景気の波を受けにくく、この部門は年率5%から8%の伸びを保って、1994年の時点でも総売上高の3割ほどを占めた。\n\n農業資材部門が担ったのは、きのこの種類ごとに違う資材を最適な形で揃えることだった。ブナシメジにはブナシメジに最も適したビンを、エノキダケやナメコにはそれぞれ違うビンを使う必要があり、ビンの大きさと幅が変われば、収容する棚も変わる。ホクト産業はきのこ生産用機器、栽培用ビン、コンテナ、収納棚、ユニットのほか、果実用コンテナまでを品目に並べた。自社製品を売るだけでなく、低コストと効率的な生産をどう実現するかまで栽培者へ指導した。1994年の時点で、この部門の年商は20億円ほどだった。種類ごとに資材を作り分ける手間は、指導する立場を得ることで回収された。",
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        {
          "title": "民間初のきのこ総合研究所と、純白のエノキタケが変えた菌の売り方",
          "text": "1983年12月、ホクト産業は民間のきのこ企業として最初のきのこ総合研究所を長野市に設置した。場所は本社の近くで、1976年に設けたホクトきのこの会と同じく、開発した生産技術を農家へ提供して普及させるという方針の延長にあった。研究所はバイオテクノロジーの技術を使い、新品種の開発、品種の改良、生産技術の確立に取り組んだ。きのこの菌は技術で支えなければ老化し、活力を失って収量が落ち、形も悪くなる。それまで農家へ売っていたのはビンやコンテナといった器具であって、栽培の中身そのものではなかった。研究所は以後、数多くの実用品種を世に出していく。菌を自ら作るという選択は、資材の売り手が栽培の成否まで引き受ける立場へ移ることだった。\n\n1986年4月、ホクト産業はエノキタケの新品種ホクトM-50を開発した。純白色の実用品種としては第1号で日本で最初に開発されたものであり、純白系のエノキダケとしては世界で初めてでもあった。従来のエノキタケは淡いクリーム色から黄色に着色し、光が当たるとさらに色が濃くなった。そのため農家は暗い栽培室を用意する必要があったが、この品種は明るい場所でも全体が真っ白なまま育つため、暗室が要らなくなった。栽培設備の条件が一つ減ったことで、菌そのものが農家の投資額を左右する資材になった。翌1987年には、サラダ用の純白エノキタケであるホクトM-70を開発した。\n\nホクトM-50は業界の注目を集め、栽培農家へ広がった。1994年の時点でエノキタケは年間500億円ほど栽培されており、その約8割がホクト産業の菌を使ったものだった。菌を農家へ渡し、その農家がビンと棚を買うという流れができた。ただしこの構造は、買い手である農家の規模に縛られていた。長野県の栽培農家は約4800戸あったが一戸あたりの栽培は小規模で、資材の売上を安定して伸ばすには足りなかった。県全体のきのこ生産量は1990年に9万1270トンと全国のおよそ3割を占め、エノキダケでは6割強に達したが、それを担っていたのは小規模な農家の集まりである。全国的に農地の宅地化が進み、野菜の作付面積も年々減っていた。菌という最上流を握っても、需要の大きさを決めるのは農家の設備投資だった。",
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        },
        {
          "html": "品種の開発も同じ線の上にある。1983年に民間のきのこ企業として最初のきのこ総合研究所を置き、1986年に純白のエノキタケ、ホクトM-50を実用化したとき、ホクト産業が農家へ渡したのは種菌という資材だった。光が当たっても白いまま育つ菌は、暗い栽培室という設備条件を農家から取り除き、栽培に要る投資を軽くした。菌が良くなれば収量が増え、収量が増えればビンも棚も売れる。資材と菌を同じ売り先へ束ねたこの構造は、しかし一戸あたりの規模が小さいままでは伸びしろも小さいという弱点を、初めから抱えていた。"
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      "start_year": 1989,
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          "title": "資材の売り先が細ると見て回った自社量産",
          "text": "1989年4月、ホクト産業は長野市に柳原きのこセンターを開設し、エノキタケの自社生産に踏み切った。背景にあったのは国内農業の縮小である。全国で農地の宅地化が進み、野菜の作付面積は60万ヘクタールを割る寸前まで減っていた。農林水産省の見通しでは2000年に56万3000ヘクタールまで減り、176万トンの野菜が不足するとされた。農業の人手不足も深刻になっていた。農家の小規模な栽培をあてにしていては栽培用資材の売上を安定して伸ばせないというのが、水野正幸社長の判断だった。きのこは天候と無関係に大量生産ができ、農家の経営安定の助けにもなる将来性の高い事業だと見て、量産に踏み切った。\n\n柳原に続いて、1989年5月には福岡県広川町の営業所にエノキタケの工場を開設した。順調に事業化できたため翌年には第2工場を増設し、1990年4月には長野県の更埴きのこセンターからブナシメジの栽培部門を譲り受けた。1991年4月には新潟県紫雲寺町に、同年6月には富山県八尾町に、それぞれブナシメジを中心とする工場を開設した。新潟の工場は敷地が約2万平方メートルあり、国内最大級のきのこ工場だった。全工場がフル稼働すれば長野県の生産量の1割近い年間7000トンの生産能力になる計算で、1993年4月には福岡県八女市にも八女きのこセンターを設けた。工場を全国へ広げたのは、消費者へより新鮮なきのこを届けるためだった。\n\n変則決算だった1990年9月期と1991年3月期を合わせて年度換算すると、ホクト産業の売上高は85億8400万円だった。うちきのこが稼いだのは2割弱の16億円である。水野正幸社長は、次の期にきのこを前期比2.5倍の40億円、売上高全体の4割まで増やす見通しを語った。1992年3月期の売上高見込みは100億円、従業員は220人、資本金は5億5750万円だった。当面はきのこ、栽培用資材、包装材を経営の3本柱とし、新設工場がフル稼働する2年から3年後にはきのこが主力になると見ていた。資材を売るために始めた栽培が、3年で売上の柱そのものへ変わろうとしていた。",
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              "title": "日経ビジネス 1991年11月11日号",
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          "text": "きのこ総合研究所は年々拡張され、用地代を除いた総投資額は6億5000万円にのぼった。1991年3月には、日本のきのこ栽培研究で五指に入る山中勝次農学博士を奈良県林業試験場から招き、所長に据えた。山中氏は、設備が良くスタッフも多いので研究を進めやすいと研究所を評価した。研究開発も生産も販売もすべて自前でできることが、ホクト産業の特徴になった。種苗を自ら開発して自社で生産し、販売も独自に行う。自社で量産を始めたことで、研究所が作った菌は農家を経由せずに自社の工場で試され、その結果が次の品種へ返るようになった。\n\nホクトM-50をめぐって、ホクト産業は1991年8月、ある農協を相手取り生産と販売の差し止めの仮処分を長野地方裁判所に申請した。発端は、この品種の開発にあたって長野県経済連の要請を受け、種菌を県下の農家や農協へ無償で提供したことにある。試験栽培を通じて品種改良の意欲を高めてもらうのが目的だったと、水谷俊大取締役は語っている。ところがその直後、ある農協が純白系のエノキダケが突然変異によって発生したと発表し、独自に育て始めた。この品種はやがて全国へ広がった。ホクト産業は無断使用ではないかとみて話し合いをしたが、折り合いはつかなかった。この一件を機に、新品種は必ず種苗登録するようにした。\n\n新品種を速く出せたのは、菌糸の段階で優秀かどうかを判断できるスクリーニング技術があったからである。野生のきのこを取ってきて栽培し、優れたものになるかを見分けるには普通3年から4年かかるが、ホクト産業は独自の技術で半年ほどで見分けた。1990年10月にブナシメジのホクト5号菌を、1991年11月には栽培サイクルを縮めて苦味のないホクト6号菌を開発した。1993年6月のホクト8号菌は苦味がないうえ傘の黒褐色が薄くて丸みがあり、生産日数も短かった。同年8月のホクト7号菌は傘のそろいが良く、弾力性があった。農林水産省に種苗登録されたブナシメジ6品種のうち、4つがホクト産業の菌だった。",
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          "title": "店頭公開から東証一部へ、きのこが売上の7割を占めるまで",
          "text": "1994年3月期、ホクト産業はエノキタケ、ブナシメジ、ナメコなどを8178トン生産し、全国一の生産量を記録した。1994年5月には新潟きのこセンターの第二工場が完成し、生産能力は日産35トンに達した。競争の激化に備えて設備と人員を一層充実させる必要があり、そのための資金調達と知名度の向上を狙って、1994年末までに株式を公開する意向を早くから示していた。同年11月22日、ホクト産業は日本証券業協会に株式を店頭登録した。資材と包装材で積んだ売上に自社生産のきのこが重なり、1995年3月期の売上高は113億5700万円になった。\n\nきのこの市場には有力企業が相次いで参入していた。油揚げ最大手のオーケー食品工業は1991年春からエノキダケの量産に着手し、培地に油揚げの副産物であるオカラと米ぬか、トウモロコシの芯を使って高収量化を実現した。エノキダケのみとはいえ1992年3月期には60億円近い売上を見込み、ホクト産業を一歩リードした。宝酒造はハタケシメジの大量栽培法を開発して長野県経済連に栽培と販売を委託し、王子製紙も同種のシメジの人工栽培に成功、合同酒精もニオウシメジの生産工場の建設を決めた。それでも大手の参入は続かなかった。1994年の時点までに、日本たばこや新日鉄など十数社の大企業がきのこ市場へ入ってきたが、いずれも撤退している。きのこは生き物で1年365日の管理を欠かせず、それが大手にとっての参入障壁になっていると水野正幸社長は見ていた。\n\n1999年11月29日、ホクト産業は東京証券取引所市場第一部に上場した。店頭登録から5年、創立35周年の年である。この間に売上高は1995年3月期の113億5700万円から1999年3月期の223億1200万円へ倍増し、経常利益は12億6700万円から39億2300万円になった。1999年3月期の販売実績はきのこ生産が152億2000万円で全体の68.2%を占め、包装資材43億3000万円、農業資材25億2300万円が続いた。ぶなしめじで30%、エリンギで70%のシェアを持ち、工場は全国10か所、従業員は426人になっていた。1964年に農家へビンを売った会社は、そのビンを最も多く使う会社になった。",
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          "html": "1989年の量産参入は、きのこの将来性に賭けた決断というより、資材の売り先が細ることへの備えだった。全国で農地の宅地化が進み、野菜の作付面積は60万ヘクタールを割ろうとしていた。農林水産省は2000年に56万3000ヘクタールまで減り、176万トンの野菜が不足すると見通す。農家の高齢化と後継者不足も重なり、小規模な栽培農家を束ねて資材を売る商いには需要の上限が見えていた。天候に左右されず工場で作れるきのこは、その上限を自分で外せる数少ない商材だった。"
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          "html": "工場を消費地の近くへ置いたことが、この参入を単なる増産と分けた。長野の柳原に始まり、福岡の広川、新潟の紫雲寺、富山の八尾、福岡の八女と、ホクト産業は産地ではなく売り場のそばへ生産を並べた。鮮度が値段を決める商材で、輸送の距離は品質の差に直結する。1994年3月期の生産量8178トンは全国一となり、1999年3月期には売上高223億1200万円の68.2%をきのこ生産が占めた。資材を売っていた側が、資材を最も多く使う側へ回った。1964年に農家へ渡したビンは、自社の工場で回るようになった。"
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